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没後50年 浪華の女性画家 島成園

アイエム[インターネットミュージアム]

現在、大阪市立美術館では、同館コレクションによる島成園の特集展示が開催中です。

有名な《無題》《自画像》《鉄漿(おはぐろ)》をはじめ、《上海にて》《若き婦人》、雑誌表紙の原画や文展入選時の賞状など約100点の作品や資料が紹介され、成園の画業を振り返ることができます。

《無題》島成園 大正7年(1918年) 大阪市立美術館蔵


20歳にして《宗右衛門町の夕》、その翌年にも《祭のよそおい》が文展に入選し、成園は一気に注目されました。

京都の上村松園、東京の池田蕉園と並び、美人画を描く「三都三園」と称されるようになりますが、成園は徐々に内面を表現する作品も制作します。それが《無題》です。


実際にはない痣を描いた自画像で「痣のある女の運命を呪い世を呪う心持ちを描いた」といいます。

当時の女性画家で若くして文展に入賞するなど、注目を浴びる反面、誹謗中傷も多かったにちがいありません。そんな世間に対して投げつけるような強い眼差しと同時に、悲しみや虚無感のある作品は、現代の私たちの心も揺さぶります。


第7回文展入賞褒状 大正2年(1913年) 大阪市立美術館蔵


色紙集 美人(大首) 島成園  16枚のうちの1枚 大阪市立美術館蔵


本展では、その他にも華やかな女性像、浄瑠璃を題材にしたもの、子どもや花など、幅広い題材の作品が紹介されています。

バラエティの豊富さから、腕の良さ、美術に対する情熱の深さを見てとれますが、それ以外に世間に対して意地のようなものがあったのでは……とも思えてきます。


《幼弟子》 島成園 昭和26~30年(1951~55年) 大阪市立美術館蔵


結婚、夫の転勤など生活が変わるにつれて、作品も変化していきます。

自分の感情を露わに表現していた若い頃とは打って変わり、一歩引いたような淡白な作風になります。それが、緻密さやデザイン性を感じさせるようになっています。


《朱羅宇》 島成園 昭和9年(1934年)大阪市立美術館蔵


例えば《朱羅宇》。

画面の端に、一部分だけ描かれている羅宇(キセルの火皿と吸い口をつなぐ竹の管)を見てください。

着物の青色に対して羅宇の朱色が補色となり、際立っています。

過去に感じていた成園とは違う面を知ることができました。


展示風景


成園の作品をみていると、いつの間にか彼女の人生をも追っていることに気づきます。それは彼女が真面目に、人生そのものを制作につぎ込んだからではないでしょうか。

そう感じさせる成園に一層魅力を感じずにはいられません。


[ 取材・撮影・文:カワタユカリ / 2020年9月8日 ]


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