サカナを揚げない『焼き南蛮漬け』のススメ しっかり焼いて強めの酢に漬ける
南蛮漬けは美味しいけれど作るのが面倒……という人におすすめの、簡単なレシピをご紹介します。
小魚の南蛮漬けは美味しいけれど…
アジやカタクチイワシ、シシャモなど小型の魚が手に入ると作りたくなる「南蛮漬け」。カリッと揚げた魚を熱々のうちに調理酢に入れ、玉ねぎや鷹の爪などと一緒に漬け込んだものです。
カリッと香ばしく揚げた魚を酢につけることで、頭部や尾びれの硬い部分も柔らかくなります。更に油っぽさがなくなりさっぱりとするので食べやすくなります。酒のあてにも御飯のおかずにも最適の料理と言えます。
ただしこの南蛮漬け、一つ大きな欠点があります。それは「作るのがかなり手間」ということ。揚げるという工程が入ると準備するものが多くなるので、ついつい避けてしまいがちです。
手軽に美味しい「焼き南蛮漬け」
そんな「南蛮漬けは食べたいけど、揚げるのはヤダ」というあなたにピッタリの料理があります。それは「焼き南蛮漬け」。
これは名前の通り、揚げるのではなく焼いた魚を酢に漬け込んだものです。焼いただけで柔らかくなるのかと思う人もいるでしょうが、少しの工夫で柔らかく食べやすく仕上げることができます。
まず、魚は遠火の強火、なければ弱火でじっくりと焼きあげます。焦げる寸前くらいまでしっかり火を通します。そして漬け込む酢は普通の南蛮漬けのような甘めの調理酢ではなく、三杯酢や生酢など酢の成分が多めのものがおすすめ。焼きたてをすぐに漬け込むことで、中まですぐに酢が浸透し骨まで柔らかくなります。
焼き南蛮漬けに最も適した雑魚とは
焼き南蛮漬けはどうしても、普通の南蛮漬けと比べると酢を中まで浸透させるのに時間がかかります。長時間つけることで解決できますが、カタクチイワシのようなより小さな魚で作ったほうが美味しく仕上がります。
個人的に、焼き南蛮漬けに最も向くと思う魚はサッパです。小魚な上に偏平であり、すぐに骨まで柔らかくなります。サッパをどこよりも好む岡山県では、サッパの焼き南蛮漬けは非常にポピュラーな料理です。
このほか、シシャモやワカサギのような骨が柔らかい魚にももちろんおすすめです。焼くと脂がしたたるような小魚で作った焼き南蛮漬けは最高に美味しいものです。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>