武蔵小杉エリマネ 体制一新、課題解決へ 一部業務を外部に委託
武蔵小杉エリアに建つタワーマンションの自治会的な役割を担うために組織された(一社)武蔵小杉エリアマネジメント(通称エリマネ/松尾寛代表理事)が今春から体制を一新。一部業務を外部委託し、住民間の連携や災害対応など、課題解決に向け再始動した。
「エリマネ」は高層マンションが計画された2007年に川崎市主導で組織された。現在14棟のマンション入居者およそ7500世帯を対象に、住民がボランティアで運営。これまでコスギフェスタなどのイベント、行政や商店街、周辺町会など各団体との橋渡し役も担ってきた。
コロナ禍に減少した会員が自粛期間を経ても伸び悩んでいる上、多岐にわたる活動で事務局の負担は増え、理事の高齢化や後継者不足も課題に。松尾代表理事は「2年ほど前からエリマネを『持続可能な組織』とするため解決策を探ってきた」という。昨年開いた総会から協議を重ね、事務局機能はそのままに業務を分担することを決議。地域のにぎわい創出を目的としたプロジェクト「武蔵小杉エリアプラットフォーム」の窓口業務を地元企業に移譲。また、住民間のコミュニティーや防災分野については地域コミュニティーアプリの開発・運営を手掛け、地域社会の課題解決を目指すPIAZZA(株)(東京都中央区)に4月から業務委託している。
負担減で顔ぶれも一新
エリマネ事務局の抱える負担が減ったことで、30代から50代の4人が新たに理事に名乗りを上げるという効果も早速表れた。松尾代表理事は「自分も75歳になったし、他の理事たちの平均年齢も上がってきている。今までエリマネの活動に関心がありながら、参加することができなかった現役世代が加わったことは大きい」と語る。
業務を委託されたPIAZZA(株)が目指すのは、地域に特化したアプリを使った住民間のコミュニティーづくりをはじめ、防災情報の共有など地域で暮らす人々が集まるプラットフォームの構築。防災に関しては同社が実施した「地域の防災・災害対策アンケート」の調査結果を生かして、体制づくりを検討していくという。課題として懸念される運営費については、各マンションに設置されたデジタルサイネージや、住民の協力を得て行うマンション住民向けのポスティングなどを具体策に上げて収益化を狙うという。
同社まちづくり事業部エリアマネジメントチームのリーダー、有間旬治さん(36)は「エリマネを持続可能な組織とするためにもコンサル的な立場ではなく、住民の方々と並走して一緒に考えていきたい」と話す。