パラ・パワーリフティング 日本女性初 100kg達成を報告 市内在住の田中秩加香(ちかこ)選手
日本工学院八王子専門学校で3月2日に開催された「第25回全日本パラ・パワーリフティング国際招待選手権大会」の女子79kg級で、市内在住の田中秩加香さん(41)が日本新記録となる100kgを挙げて優勝。大会結果を初宿和夫市長に報告するため、4月4日に市役所を訪れた。
二重のハンディ
パラ・パワーリフティングは、足などに障害のある選手が台の上に横たわり、上半身の力でバーベルを持ち上げるベンチプレス競技。1964年からパラ五輪の正式競技になっている。
田中さんは視覚と下肢の二重のハンディがあり、車いすを利用している。4年前、コロナ禍の運動不足解消を目的にジムへ通い、視覚障害者のガイドヘルパーをしている長田洋平トレーナーに勧められた運動種目の一つがベンチプレスだった。田中さんは当初、「たくましい人がするものというイメージがあり、自分に向いているとは思わなかった」と振り返るが、長田さんにトレーニングメニューを組んでもらい、徐々に重量が挙げられるようになっていく過程を「面白い」と感じるようになったという。
一方で「障害があると競技の準備を整えることから大変」という思いもあり、続けるか悩んだが、長田さんから無理強いされることなく「やってみましょう」と言われたことが背中を押した。
22年から本格的に競技に取り組むようになり、長田さんとの二人三脚のトレーニングで記録は右肩上がりに急伸。1年後に初出場した全日本選手権では73kg級で80kg、2度目の全日本では79kg級で95kgを挙げていずれも優勝。今大会では、ついに日本人女性初となる100kgの大台を挙げる快挙を成し遂げた。
ロスパラ五輪に焦点
長田さんと市長表敬に訪れた田中さんは「地元会場で開かれた大会で公式に100kgを達成することができてうれしい。これを励みに今後も記録を伸ばしていきたい」とあいさつ。初宿市長から投げかけられた競技や日頃の練習についての質問に笑顔で答えた。
体調不良やスランプもありパリパラリンピック出場は逃したが、「考えられる原因を洗い出し、一つずつメニューを組んで取り組んだ」という長田さんのサポートもあり、今回の快挙につながった。「(ロスパラまで)3年ある。じっくりと技術を磨いてロス出場を目指したい」と力強く語る田中さんに、初宿市長は「希望が叶うよう、活躍を期待している」とエールを送った。