奥多摩に行ったら駅前も山もスルーしてまず温泉に入るべき理由
東京で山と言えば高尾山。とは言え、高尾山口駅は整えられた駅前だったんだなあ。そう感じたのは奥多摩の駅前に降り立った時だった。
コンビニはもちろんのこと定食屋すらない。いや、食事できそうなところはマップ上には数軒あるんだけど開いてないのである。結局、観光案内所で聞いて、かろうじて開いていた名前すら不明の雑貨店で薄皮クリームパンを買い、駅前の肉屋でメンチカツを買って昼ご飯にした。奥多摩はガチである。
・ここしかねえ
駅前の肉屋には順番待ちができていた。おそらく、今、奥多摩の駅前にいる人は全員ここで昼ご飯を買っているのではないだろうか。そんなオーラすら感じる肉屋の孤軍奮闘状態だ。ちなみに、メンチカツは150円で肉がしっかり詰まっている。
もの自体は満足できる一品であったため、とりあえず昼ご飯はそれで切り上げて山に登った。よく「東京と思えない」と言われる奥多摩の山の自然。そこについては十分満足することができた。確かに東京と思えない。
・素朴な温泉
帰りに、疲れを癒そうと駅前から徒歩10分のところにある温泉「奥多摩温泉 もえぎの湯」にも行ってみた。ここはサウナとかはない素朴な温泉であった。
源泉について書かれた看板によると循環方式らしい。湯舟が内湯と外湯の2つあり、内湯はさっぱりしていて、外湯はトロみがありぬるっとする肌触りの違いがある。
外湯は方向的に川が見えるかもと思ったけど、木が茂っててあまり見えなかった。ただ、森林に囲まれているゆえ、露天風呂では空気の良さみたいなのが感じられ、疲れを癒すには十分だった。
・謎のメニュー
そんな奥多摩を味わえる湯に浸かっていて、改めて心に浮かんだのは「食でも奥多摩を味わいたかったなあ」ってこと。そこで念のため、もえぎの湯のお食事処へ行ってみたところ、謎のメニューがあるのを発見した。
その名は「根っ辛そば(税込1100円)」。どうやら奥多摩産のわさびを丸ごと使用したもののようだが、気になるのはポスターに書かれていた「奥多摩のB級グルメが帰ってきました!」という文言である。ポスターの文言からはお待たせオーラが感じられるけど、そもそも奥多摩にB級グルメがあることを知らなかった。
しかも、B級グルメっぽくない。B級グルメのジャンクフード志向な旨みよりも、普通に質の良さで勝負しているように見えるのは私だけだろうか。それとも、食べてみたらB級グルメで納得できるのだろうか。謎すぎる。
・食べてみた
そこで注文してみたところ、出てきたそばにはやはり質の良さが感じられた。わさびに鰹節という組み合わせがまず上品だし、よく見ると、乗ってるわさびにも葉とか茎が混じっていてこだわりを感じる。
食べてみたところ……
うん、普通にウマイ。平べっために切られたそばにつゆがしっかり絡んで、かつおとわさびとのコンビネーションも綺麗にマッチしていた。
特徴を感じたのはつゆの甘さで、つゆが甘めなことで、わさびの鋭い辛みとコントラストになっている。このウマさはガチだ。
どこがB級グルメなのかは最後まで分からなかったけれど、奥多摩は味わえた気がした。そうそう、こういうのが欲しかったんだよ。
・ランチ難民はもえぎ温泉へ行け
まさか帰りに寄った温泉のお食事処で出会うと思ってなかったけど、これを知ってたら駅前スルーでもえぎの湯に来てランチを食べていたかもしれない。ちなみに、もえぎの湯の入館料は1050円だけどお食事のみの場合300円で入れる。
返す返すもこの事実を知っていれば……。そんなわけで、もし、奥多摩に行った時、駅前ランチに絶望したら、とりあえずもえぎの湯に行くことをオススメしたい。変に都会感がなく、うどんも丼物もカレーライスもひと通り揃ってるから、ふわっと「こういうの!」って満足が得られるだろう。
・今回紹介した店舗の情報
店名 奥多摩温泉 もえぎの湯
住所 東京都西多摩郡奥多摩町氷川119-1
営業時間 4月~11月10:00~20:00(受付終了19:00)/ 12月~3月10:00~19:00(受付終了18:00)
定休日 月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日)
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.