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今は亡き姿に想いを馳せる 意外とある!東京都内の鉄道「廃」スポット

鉄道ホビダス

text & photo(特記以外):鉄道ホビダス

▲旧万世橋駅プラットホーム上は、カフェとデッキに生まれ変わって今は自由に出入りできる空間となっている。

 廃線跡や廃駅など、現在では使われていない鉄道施設を追うことを趣味とするレイル・ファンも多くいますが、そうしたスポットというのは山間や人里離れた場所にしかないと思われがちです。ですが、意外に都市部にもそうしたかつて鉄道があった場所というのは点在しています。今回は、東京都内にある鉄道「廃」スポットをいくつか巡ってみました。

【写真】今はこうなってるんだ!東京都内にある鉄道遺構や跡地を写真で見る!

■万世橋駅跡

 中央本線の神田駅と御茶ノ水駅の間、ちょうど神田川と並行するあたりに廃駅が存在します。それがこの万世橋駅跡です。開業したのは1912(明治45)年で、当時は中央本線の起点・ターミナル駅として機能していたため、の舎は東京駅と同じ辰野金吾設計による豪華な駅舎が与えられ、東京市電が近くを走り、駅前は活気に満ち溢れていたといいます。

 ですが1919(大正8)年に中央本線は東京駅へと延伸し、同時に万世橋駅と東京駅の間に神田駅が開業。さらに1923(大正12)年9月1日にはあの関東大震災が万世橋駅を襲い駅舎が焼失してしまいます。以降はターミナルとしての機能を完全に東京駅へ移した格好となり、万世橋駅の存在感は薄れていくことに。1936(昭和11)年に東京駅からのちの交通博物館である鉄道博物館が移転。太平洋戦争中の1943(昭和18)年に休止となります。実は駅としてはこの当時休止になったままとなっており、正式に廃止はされていないものの、すでにこれ以降は駅として機能したことはなく、事実上の廃止といえます。

 そんな万世橋駅ですが、この場所で営業していた交通博物館が2006年に閉館し、その後は博物館の建物が取り壊され、2012年に万世橋駅遺構を再開発した「mAAch ecute」が開業。現在階段の遺構は自由に見学できるようになっているほか、ホーム跡地を利用したカフェが営業しているなど、約100年前の活気を徐々に取り戻しつつあります。

■上野駅18番線ホーム跡

 現在の上野駅在来線は17番ホームまでで、新幹線ホームは19番線から22番線までとなっています。となると気になるのが欠番の「18番線」の存在です。かつては在来線地平ホームは20番線までありましたが、新幹線開業に前後して19・20番線は廃止になる一方、18番線までは残された状態で上野駅新幹線ホームが開業。新幹線ホームは新たに19番線から振られ直されました。その後JR化後の1999年に18番線が追って廃止となり、ほぼ現在と同じ配置になりました。こうした経緯によって18番線だけがない状態ができあがったというわけです。

 旧18番線ホーム端こそ埋められていますが、17番線をそのまま大宮方へと歩いていくと、線路が剥がされた跡と旧ホームが残っています。ここは現在、関係者用の通路になっているようで、時折職員さんが行き交う様子を見ることができます。また、ホーム跡をよく見ると黄色い点字ブロックも残っており、廃止当時を偲ぶことができます。

■京成博物館動物園駅跡・寛永寺坂駅跡

 さて、18番線跡と同じく上野近辺の「廃スポット」として、京成電鉄の博物館動物園駅跡と寛永寺坂駅跡も忘れてはいけないでしょう。両駅ともに京成上野〜日暮里間に残っているもので、博物館動物園駅は1997年に休止、そのまま復活することなく2004年に正式に廃止。現在では非常時の避難口となっています。寛永寺坂駅に関してはそれよりさらに前、戦後間もない1947年に休止となり、1953年に廃止されています。

 両方とも地下駅ということもあり、駅のあった跡の様子は車窓でしか基本見ることができないことや、寛永寺坂駅に関してはホームすら撤去されているため、「幻の駅」としてメディアでも度々取り上げられています。
 博物館動物園駅はここ数年で内部の公開イベントやVR空間として駅内部が再現されて公開されたりなど、文化的な活用も見られるようになりました。廃止から時が止まったままの駅ということで、その注目度も非常に高いものとなっています。

■北王子貨物線跡

 京浜東北線の王子駅を降りると、2番線の隣に、錆びついた線路が見えます。この線路を辿っていくと、東北本線から弧を描いて分岐していきます。ですが、しばらくすると線路自体が途切れてしまい、その後は線路があったと思しき空間だけが残されています。何を隠そう、これが2014年まで現役の貨物線だった北王子貨物線跡です。
 王子駅より北西方向へ約1kmくらいの地点で、この錆びついた線路は突然途切れます。そこから先は2024年現在すでに線路や周辺設備の撤去は完了しており、線路跡の空間のみが、今も感じ取れる当時の面影となっています。
 元々貨物駅や製紙工場の倉庫があった場所は現在、再開発によりマンションやスーパーなどに変貌しており、廃止からたったの10年で街の様子は一変しました。そんな中でも、マンション脇の歩道に目をやると、レールが埋め込まれているようなモニュメントが残されており、確実にここにも鉄路があったことを今に伝える貴重な存在になっています。

 目まぐるしく変貌する東京の景観ですが、こうして数十年スパンで変わり続ける都市部には、鉄道遺構や鉄道跡地というものと密接に関わり合っているように思えます。

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