川尻八幡宮 「蛇の樹」を地域に公開 数年前に伐採のヒサカキ
城山地区の川尻八幡宮(川尻4171)で、数年前に伐採された境内の「蛇の樹」の幹部分を2025年の干支である巳年にちなんで、1月1日から境内で公開する。ヘビは古くから家内安全や五穀豊穣の神としても言い伝えがある。安西圭市宮司は「ぜひ多くの方にお参りいただければ。ご利益がありますように」と話す。
「蛇の樹」とは、川尻八幡宮の境内にあったヒサカキの木のこと。幹に巻き付くツルがヘビのように見えたことから、地域の人を中心に親しまれてきた。ある時から賽銭が置かれるようになるなど、訪れる人も増えていったが、数年前に木の老朽化により、安全上の観点から伐採。幹の部分だけは厳重に保管していたという。
このヒサカキは、境内に古くからあった木だったが、当所は境内の隅にあったため参拝者がその存在に気が付く事はなかったという。安西宮司によると、「境内の清掃の際などに姿は確認していたが、人がわざわざ見に来るような場所ではなかった」と振り返る。その後、境内の拡張によりヒサカキが人目に付くようになると「御蛇様」として、一気にその話題は広まっていったという。
「巳年の今年に」
数年前から木の衰弱が目立つようになったため、専門家らにアドバイスをもらい、肥料を与えるなどして木の回復に努めた。安西宮司は「肥料を与えたが、2メートル先にあるイチョウの木に吸い取られてしまったよう。枯れ葉が目立ち、小枝が落ちてくるようになったため、このままでは参拝者に危険を及ぼしてしまうとやむなく伐採した」と残念がる。
幹の部分は保管し続けてきたため巳年にあたる今年、「ぜひ多くの人に参拝、見学してほしい」と境内の金刀比羅宮の本殿前で参拝できるように公開した。安西宮司は「皆さんにぜひお祈りしていただけたら」と呼び掛ける。
今年は創建500年
川尻八幡宮は1525(大永5)年に創建したと伝えられ、今年で500年を迎える。江戸時代には南東にのびる参道に松の並木があったことから「並木八幡」と呼ばれ、祭礼には湯ばな・相撲興行などが催され、大いににぎわったと伝えられている。
1909(明治42)年の合祀令により、境内には八坂神社、春日神社、金刀比羅宮、天満宮などが祀られている。
現在、境内では老朽化した社務所を新しく建て替えており、5月5日(月・祝)には創建500年を記念した式典を予定している。