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新型レクサスES:新しい“セダンの美”を打ち立てる

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新型レクサスES:新しい“セダンの美”を打ち立てる

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photographylexus international

LEXUS ES (レクサス ES)新型ESはHEVとBEVの2本立てで、多様なニーズに応えつつカーボンニュートラル社会をめざすレクサスの「マルチパスウェイ」戦略を具現化した構成。

Lexus ES500e(プロトタイプ)
全長×全幅×全高:5,140×1,920×1,560mm ホイールベース:2,950mm 電気モーター2基 全輪駆動 システム最大出力:252kW 乗車定員:5名 一充電走行距離:約610km(CLTC 目標値/19 インチタイヤ装着時)Lexus
(新型 ES は2026年春頃、日本で発売予定)

「月の光とラブソングはけっして時代おくれにならない」。いま観てもたのしめるハリウッド映画『カサブランカ』(1942年)の劇中歌「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」のよく知られた一節だ。

 服飾の世界だと、それはスーツ。誕生は1666年。イングランド王チャールズ2世が、上着、ボトム、ベスト、シャツ、タイというセットを考案し、それが「いわばOSとして今にいたるまで続いている」と、スーツ研究家の中野香織氏は語っている。

 スーツに相当するものを自動車界で探すと、セダンだ。おおざっぱな定義としては4人用の座席と固定式ルーフをもつ車型。もとは馬車、その前はひとがかつぐ輿(こし)でもセダンという言葉がつかわれていた。こうなると、歴史はスーツより古い。

 いまはSUVとかミニバンが市場の趨勢を占めている感がある。思い返すと、1990年代後半にSUVが台頭したとき、セダンとことなる斬新さがあった。大人数を乗せつつ流麗にも見えるスタイリングコンセプトで、新風が吹いてきた感があった。

ウィンダム(上)は2代目「レクサスES」とプラットフォームを共用し、デザイン的にもつながりを感じさせたセダンで、短いルーフ前後長でスポーティさを強調。

 レクサスが2025年4月に新型「ES」のプロトタイプを発表したとき、こんどはセダンのデザインに斬新な風が吹き込んできた、とうれしい驚きを感じた。パワフルさを感じさせるロングフードに、トランクが短く見えるファストバックのシルエット。車輪の存在感も大きくて、躍動感がある。

 新型ESは、環境性能が高く、ハイブリッドとBEV(バッテリー駆動EV)の2本立て。駆動用の大型バッテリーを床下に収める必要がある。結果、ボディ全高が100mm前後あがる。

「全長や全幅は従来の型と同寸のまま全高だけ上げると、バランスの悪いデザインになってしまうので、そのぶん、全長を延ばして、全幅も拡大し、これぞというプロポーションを実現しました」

 デザインをまとめたレクサスインターナショナルの熊井弥彦プロジェクトチーフデザイナー(PCD)の言葉だ。

 美しさにはこんな理由があるのだ。もうひとつ、大胆なデザイン手法が採用されている。車体を前と後ろとふたつのかたまりととらえ、それをフロントドアのあたりで嵌合(かんごう=噛み合わせ)させている。

ESのデザインを読み解くES開発中のレクサスのデザイナーによるイメージスケッチでは、2ドアクーペに見えるぐらいスポーティだ。ファストバックのルーフラインと張り出した前後フェンダーが印象的。「スピンドルボディ」と呼ばれるフロント部分の塊(かたまり)と、後輪の強い駆動力を表現したリアの塊を嵌合(かんごう)させたデザイン。あたらしいセダン像の確立に対してのレクサスの意欲が伝わる造型だ。

 ESの歴史をたどると、初代(1989年)はカムリ・プロミネントを、その後はウィンダムをベースに開発されてきた成り立ちがある。セダンの肝を抑えた、いい意味でベーシックなデザインだったが、そこから時代を経た2025年、第8世代の新型ESは、そこから大きく進化したと思わせるデザインになった。セダンでもこんなふうに新鮮なデザインがありうるのだ。

 スーツの上着も、芯地をなくしてふわっとした仕上げにしたり、新素材を使ったりと、時代に合わせて変わってきた。英国式のテーラードを好むひともいるし、ようは選択肢が増えることで市場性を維持してきた。新型ESも、伝統をうまく革新へとつなげたプロダクトである。

BEV

HEV

新型ESでは、BEV(バッテリー駆動EV)と、2リッターと2.5リッターのエンジンと組み合わされるHEV(ハイブリッド)とで、フロントマスクの意匠が変えられている。いずれも開口部を目立たなくしたので、従来のスピンドルグリルでなく、ボンネットのキャラクターラインを含めてあらたに「スピンドルボディ」なる意匠が作りあげられた。トランクは独立式で容量も大きい。

 セダンの美しさを追求したというES。ルーフラインが後ろにいくのにしたがって下がっていくファストバックスタイル。外観上は後席がすこし小さく見えるが、じっさいは空間的な余裕がある。

「着座位置を高く設定することで、乗降性を向上させるとともに、視点の高さがもたらす見晴らしも確保しました」

 新型ESの開発を指揮したレクサスインターナショナルの千足(ちあし)浩平チーフエンジニアはパッケージングのこだわりを話す。

 クリーンな造型感覚は、座っているとゆたかな気分になる。まさにリビングルーム感覚だ。それだけでなく、レクサス らしい世界観を体現する最新技術を採用している。「レスポンシブヒドゥンスイッチ」は、なにもないように見えるダッシュボードに手をかざすと、スイッチのビジュアルが出現する。タッチスイッチでなく物理的スイッチという世界初の技術だ。

水平基調のダッシュボードと、物理的な操作系を整理したコントロールパネル、それにやはり水平基調のドア内張でクリーンな印象が強い前席まわり(見えにくいけれどステアリングホイールのLEXUSの文字の意匠も新鮮)の組合せがグッドデザイン。ロングホイールベース化とともに床下の設計見直しで後席の空間的余裕は、最上級セダンのLSをしのぐほどに。リムジンなみに使える。

 もうひとつが「センサリーコンシェルジュ」。音楽とイルミネーションと空調と香りなどによって、走行中の車内空間をいろどってくれる。「高揚」「集中」「リラックス」と3つのモードが設定されていて、ドライバーを中心に乗るひとを感覚的にもてなしてれる(地域や仕様によって内容が異なる)。

 クルマの素性を鍛えあげ、電動化技術で静粛性や乗り心地のさらなる進化を追求したレクサス。

「いつまでも運転していたいと思える操縦性と、すべての乗員がおのずと笑顔になれる乗り心地と快適性を高い次元で両立すること」(資料)としている。

 そもそも乗り心地や快適性において高いポテンシャルをもつセダン。加えて新型ESは、さらにその先へといこうとしている。あたらしいラグジュアリーのかたちが、おおいに注目に値するのだ。

機能性と良質なデザイン性の両立にこだわったという「レスポンシブヒドゥンスイッチ」(写真上ふたつ)。手をかざすと反応(レスポンス)して、隠れていた(ヒドゥン)スイッチの存在が浮かび上がる仕掛け。「センサリーコンシェルジュ」(写真下ふたつ)は、ドライバーの気分に合わせて室内の照明、香り、音楽のBPMなどが変わる仕掛けとなっている。

上海モーターショーにて初披露

新型ES(プロトタイプ)が一般にお披露目されたのは2025年4月に中国で開催の「上海モーターショー」が初。中国ではSUVやミニバンが大人気だけれど、中国仕様と北米仕様、2台のESはセダンながら大きな注目を集め、ブースは常に人だかりという状態だった。

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