静岡市清水区に「IAIパラスポーツパーク」誕生!ペナルティ・ヒデ「静岡から障がい者サッカーを広げていこう」
SBSラジオの静岡サッカー熱血応援番組「ヒデとキトーのFooTALK!」に、NPO法人静岡FIDサッカー(知的障がい者サッカー)連盟理事長の瀬戸脇正勝さんをお招きしました。聞き手はパーソナリティのペナルティ・ヒデさんと鬼頭里枝さん(2024年12月3日放送)
鬼頭:障がい者サッカー、パラフットボールの話題です。12月7日(土)、静岡市清水区庵原町に、全国初の障がい者スポーツ優先の「IAIパラスポーツパーク」がオープン。この施設や最近のパラフットボールの状況について、瀬戸脇さんに話を聞きます。
ヒデ:2年ぶりですね。瀬戸脇さんがいなかったら、連盟の仕事が回らないと聞いています。障がい者サッカー普及の第一人者であり、今もトップで活動されています。
鬼頭:12月7日に静岡市清水区に全国初のパラスポーツ優先の施設、IAIパラスポーツパークがオープン。ここまでの道のりは長かったですか?
瀬戸脇:2年半ぐらいになりましたね。ワクワクしていました。
ヒデ:ついにこういうことが国内でも。しっかりと考えられて、形になった第1歩ですね。
瀬戸脇:ここからどんどん全国に広げていくことが大きな狙いです。
ヒデ:障がいの度合いや具合に合わせて、練習場も変わってくるんですか?
瀬戸脇:そうですね。サッカーはもちろん、フットサルも室内の体育館でできます。フットサル場とバスケットコート程度のテントハウスですが、電動車椅子サッカーなどは屋内で行うので、それにも対応できるように作ってあります。
ヒデ:人工芝の設備はありますか?
瀬戸脇:人工芝のグラウンドもありますし、体育館みたいな形で電動車椅子を動かせるところもあります。
ヒデ:ちゃんと対応しているんですね。
瀬戸脇:7つのサッカーの練習ができるようになっています。
鬼頭:以前、ブラインドサッカーの取材に行ったことがあります。目が見えない方や視力が弱い方のために、コーナーの端や横にぶつかっても安全なボードがありました。そういう設備もあるんですか?
瀬戸脇:はい。パラフットボールエリアには、ブラインドフットボール専用のフェンスを常設していて、ぶつかっても怪我をしないようにしてあります。
ヒデ:思い切って練習できますね。こういうことを静岡が1番最初にやってくれたことが嬉しいです。
鬼頭:夜も練習できますか?
瀬戸脇:夜間用の照明も完備しています。
熱意が形となった!
ヒデ:パークができたきっかけは何だったんですか?
瀬戸脇:夢みたいな話だったんですが、IAIの石田徹社長が障がい者サッカーに興味をもたれて、ちょっと話を聞かせてくれないかとおっしゃったんです。それで、パソコンにある資料を全部集めました。そしたら2時間以上話をしていました。
鬼頭:瀬戸脇さんの熱が伝わったんですね。
ヒデ:海外ではどういう状況なんですか?
瀬戸脇:僕が韓国にブラインドサッカーを見に行った時には専用の施設がありました。
ヒデ:日本は遅れてるんですか?
瀬戸脇:そうですね。道具に関しても日本製のものは非常に少ないです。
ヒデ:はあ、それは知らなかった。
瀬戸脇:例えば、今では日本製のボールもあるんですが、まだ海外から輸入したものを使うことが多いですね。
ヒデ:ようやく大きな1歩を踏み出したところなんですね。
瀬戸脇:個数が出ないとなかなか販売ルートには乗らないので、そういった意味では諸外国の方が環境が整っていますね。
初めて自力出場したパリパラ
鬼頭:今年はパリパラリンピックがありました。また、ブラインドサッカー、5人制のCPサッカー(脳性まひ)、IDサッカー(知的障がい)などの新しい全国大会も開催されました。こうしたイベントを通じて、障がい者サッカーが年々広がっていると感じてらっしゃいますか?
瀬戸脇:そうですね。パリパラリンピックのブラインドフットボールはエッフェル塔の下で開催されて、景色がとっても綺麗でした。時間帯もよくて、皆さんがテレビで観戦できたのはすごく大きかったと思います。
結果は8チーム中8位だったんですけど、これまで日本のブラインドフットボールは自力で出場権を獲得したことがなかったんです。今回のフランス大会は自力で予選を突破しました。東京大会は開催国枠での出場でしたが、今回対等な立場で試合ができたことは大きかったなと思います。
ヒデ:これをきっかけにサッカーを始めたり、勇気をもらったりした方がたくさんいらっしゃるでしょうね。
静岡から障がい者サッカーを広げたい!
鬼頭:昔からコツコツと活動されてきたと聞いてますが、まだ大会自体は少ないとか。
瀬戸脇:そうですね。私が関わってもう30年になりますが、昨年名古屋でCPサッカーの練習を見てた時に、選手から「僕らは年に1回しか大会がないんだよ。静岡でなんとかならないですか?」と言われました。
ヒデ:練習は毎日しているんだけど、大会が少ないんですね。
瀬戸脇:IDサッカーも同じですが、練習相手がすぐ近くにいないんです。少年団や高校の部活みたいに、電話ですぐに対戦相手が来てくれるわけではありません。しかも、チームが少ないから、試合をするには県を越えなきゃいけない。その分お金も時間もかかるので、なかなか難しいんですよ。
ヒデ:我々にできることはありますか?
瀬戸脇:まずは多くの方に知ってもらいたいと思っています。いろんな大会に来ていただけるように、告知をしていただいたりとか。知ってもらうと応援したくなるんじゃないかなと思います。「静岡だからこれだけ席が埋まる」みたいな環境をつくりたいです。
鬼頭:静岡はサッカーの街ですからね。ここが先陣を切って、他の県を先導していく感じがしますね。
ヒデ:僕も期待しています。静岡県に旗を振ってほしいと思っていたら、実際に振ってくれたからね。
迫力満点のパラサッカー体験イベント情報
鬼頭:IAIパラスポーツパークでは、練習もイベントもできますね。
瀬戸脇:まず毎月何らかの大会が行われて、そこに地域のマルシェとかもかみ合わせて、サッカーだけでなく、何かやっているみたいな場所にして、賑わいを作っていければいいなと思っています。
鬼頭:取材に行った時に感じたのは、選手を支えている家族の方もめちゃくちゃ明るくて元気だし、それよりまた選手たちが明るくて元気でした。準備とか道具とか時間もかかるんですけど、応援したくなる選手たちの輝きがありました。その時、初めてブラインドサッカーをやる小学生の男の子がアイマスクをつけていました。
ヒデ:本当に見えないからね。
鬼頭:私も触らせていただきましたけど、全く見えないんですよ。ボールに入っている鈴の音などを聞いてプレーをするんですけど、先輩たちが「ほんとに見えてないんですか?」っていうぐらい上手いパスをするのを見ました。
ヒデ:俺やってみたことありますけど、全くできなかったです。
鬼頭:間近で見ると、すっごい迫力ですよね。
ヒデ:バーンと当たっていくのが怖い。
鬼頭:音が少ない分、息とか体がぶつかる「バチン」っていう音にすごい迫力がありました。
ヒデ:五感の研ぎ澄まされた状態で、選手たちは感じてるのかなと思うと、すごいですよね。
鬼頭:皆さんに見てほしい、応援してほしいです。願わくば、怪我のないようにして体験していただければなと心から思いました。
瀬戸脇:毎年フェスティバルを開催していまして、12月21日(土)に愛鷹広域公園スポーツ広場で「静岡東部パラフットボールフェスティバル」、来年1月11日(土)にエスパルスドリームフィールド清水で、12日(日)に清水ナショナルトレーニングセンターで「第10回静岡パラフットボールフェスティバル」を行います。新しくできたIAIパラスポーツパークも使って、色々な競技を見ていただこうと思っています。
「障害の有無は関係ない。みんなサッカーを愛する仲間」
鬼頭:静岡のサッカーファン、パラスポーツのファン、全国のリスナーにメッセージをお願いします。
瀬戸脇:パラスポーツの選手にとって、皆さんがサッカーの仲間として迎え入れてくれてることがとても嬉しいんですね。彼らにとってサッカーは目標や生きがいなので、ぜひ皆さんには障がいがあるとかないとかに関わらず声を掛けていただいて、サッカー談義をする仲間に入れてもらえればありがたいなと思います。
ヒデ:障害の有無は関係ない。ともにサッカーを愛する仲間ですね。先日行われた「千葉県知的障がい児・者サッカー教室」に、僕の母校である市立船橋高校のサッカー部7名が参加して、そこで交流して、自分たちが勇気づけられたっていうニュースをちょうど見たんですよ。学生時代からそういうことやってくと、本当にもっと大きな動きになりそうですよね。
瀬戸脇:清水東高校や清水桜が丘高校で何年も交流イベントを行っています。継続できているのは、きっと学校にもメリットがあるからだろうなと思ってます。
ヒデ:これからさらに大きなウェーブになるだろうね。