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パートナー企業と取り組む『プラコップリニューアルプロジェクト』|ラグビー・トヨタヴェルブリッツの取り組みの裏側をインタビュー

Sports

ラグビー リーグワンに所属するトヨタヴェルブリッツでは、2022-23シーズンよりホストゲームで使用したプラスチックコップを回収し、シーズン終了後にオリジナルグッズ化、ファン向けの販売を行い、“プラスチックの循環”を実現しています。
トップレベルのラグビーの試合という多くのファンが集まる場で行われるプラスチックコップの循環は、トヨタヴェルブリッツだけではなく、パートナー企業である前田産業株式会社、三甲株式会社の協力があってこそ実現したものです。

ラグビーチームが描くパートナー企業とのSDGs実現の形、そしてスポーツの場だからこそできる環境のためのアクションについてトヨタヴェルブリッツ 事業リーダーの吉野和也さん(以下、吉野)、事業スタッフの水野翔太さん(以下、水野)、前田産業株式会社の杉浦佑介さん(以下、杉浦)にお話を伺いました。

「一緒に社会課題解決に取り組もう!」トヨタヴェルブリッツとのパートナー実現

ーー今回はトヨタヴェルブリッツさんと、前田産業株式会社さん、三甲株式会社さんによる協働の事業として取り組まれている『プラスチックコップリニューアルプロジェクト』について伺います。まずはこの活動の概要について教えてください。

トヨタヴェルブリッツ 吉野)トヨタヴェルブリッツは、「ラグビーを通じて地域やパートナー企業、応援してくれるファンの方々に勇気や感動を届ける」ことだけでなく、「グラウンド上ではない場所でも社会課題解決に繋がる活動をしていく」というビジョンをもって活動しています。

2022-23シーズンからは、そうした社会課題解決に繋がる活動の一環として、前田産業株式会社さん、三甲株式会社さんとともに『プラスチックコップリニューアルプロジェクト』をスタートさせました。

私たちのホストゲームにおいてキッチンカーなどで使用するドリンクのプラスチックコップを、飲み終えたファンの方々はスタジアム内外の専用の回収コーナーに戻します。そのコップを前田産業さんが持ち帰り、砕いて原料化し、その後、三甲さんでグッズに再生します。翌シーズンには、そのグッズをファンの方向けに販売することで“プラスチックコップを循環させるプロジェクト”になっています。

ーー前田産業さんは、こうした“プラスチックの再生・循環”に関してこれまでも取り組まれてきていたのでしょうか?

前田産業 杉浦)弊社は、長野県飯田市に本社がある1916年創業の会社です。私のいる豊田営業所は2008年に開業し、もともと行っていた鉄や金属のリサイクルだけでなく、プラスチックにもその輪を広げました。トヨタ自動車さんが自動車部品を輸送するときに使用するプラスチックの物流資材の引き取り、原料化をして三甲株式会社さんにお渡しし、原料化をしてまた物流資材を作り、トヨタ自動車さんに納品するという完全国内循環のプラスチックリサイクルを実現しています。

今回のプロジェクトは、こうしたプラスチック循環の流れをトヨタヴェルブリッツさんのホストゲームにも導入させていただいた形になります。

前田産業株式会社 杉浦佑介さん

コロナ禍を乗り越え、スポーツ観戦でのプラスチック循環が実現

ーー前田産業さんとトヨタヴェルブリッツさんとの取り組みのきっかけを教えてください。

杉浦)2021年から『リーグワン』という新しいリーグになり『トヨタヴェルブリッツ』として活動をスタートする際にパートナーになりました。チームを応援するだけでなく、SDGsの一環としてカーボンニュートラル実現に向けて一緒に何かしたいと思い、現在行っているプラスチックの循環フローをご提案しました。

「プラスチックは環境にとって悪いもの」と考えられている風潮もありますが、適切にリサイクル処理をすれば持続可能な原料として流通させることができると私たちは信じています。現在では、ヴェルブリッツさん、ファンの皆さま、三甲さんをはじめとした事業者の皆さんが、難しいことをするのではなく、1つ1つできることをやることでこのリサイクルの輪ができあがっています。

ーーヴェルブリッツさんとしては、『プラスチックコップ循環』のアイデアを実現させようと思った際にハードルはあったのでしょうか?

吉野)2022シーズンは、コロナ禍の影響もあり飲食の販売ができず、2022-23シーズンから開始することになりました。
「ヴェルブリッツファンの中で当たり前の活動にしていこう」と考えながらやってきた活動は、この2シーズンでの回収個数や回収率を見ると、少しずつファンの方々に根付いていっていると感じています。

杉浦)ファンの方々が用意した回収ボックスに入れていただくという“小さなアクション”が大きなエネルギーに繋がっていますよね。

2023-24シーズン トヨタヴェルブリッツ ホストゲームのプラスチックコップ返却数、返却率。80%を超える日もありました。

リサイクルの観点から考えたプラスの事象

ーーこのプロジェクトに取り組み始めて2シーズンが経過しました。プラスチックコップのリサイクルによる環境への効果だけでなく、その他にも何か実感された効果はありますか?

ヴェルブリッツ 水野)リサイクルを前提としたプラスチックコップを製作する際、ヴェルブリッツのロゴをどのように入れるかなども議論をしました。そのようにこだわったコップなので、SNSにアップしてくれるファンの方も多かったり、回収場所の掲示物なども選手を使ったパネルを用意するなど、さまざまな観点からファンの方々のこの活動への認知度が上がっていると感じています。

吉野)トヨタヴェルブリッツの持つ集客力などの強みを企業に使っていただいたよい事例になっているのではないかと思います。パートナー企業さんの持つ強みとの掛け合わせでできるこうした活動に対し、ほかの企業さんからも「なにか一緒にできませんか?」というお声掛けをいただくこともあります。
この活動自体は前田産業さんにとってビジネス的に大きな収益を生むものにはまだなっていないかもしれません。それでも、この取り組みを通じて強いメッセージを社会にしっかりと発信することや、この活動をもっと発展・拡大していきたいです。そして、協力いただく皆さんにとって価値のある活動にしていければと思っています。

ーー前田産業さんから見て、通常のプラスチック循環とは違う気づきなどはありましたか?

杉浦)もちろん使ってもらったコップを私たちが100%回収できたらいいのですが、それだけでなく「デザインがかっこいいから持って帰る」という人もいるんです。持って帰って再利用することもゴミの削減という意味では素晴らしいアクションになりますよね。

パートナーとともに社会的な利益を生む

ーー今回の取り組みは、トヨタヴェルブリッツ、パートナー企業、ファンとともに“社会的な利益”を生み出しているようにも感じます。

吉野)まさにおっしゃる通りです。トヨタヴェルブリッツとしても、社会変革をリードするような存在になっていきたいですし、そこに共感のあるパートナー企業さんとともに行うこの活動は本当にいい活動だと思っています。
売上や利益を一番の目的にしてしまうと長く続かなくなることもあるかと思います。もちろんそこも大事なのですが、まずは「社会変革をリードする」をキーワードにお互いの取り組みや考え方への”共感”が、この活動の原動力になっており、継続的な活動に結びついていると思います。

ーーこれからの発展に向けて、今シーズン取り組みたいことはありますか?

杉浦)お客さんにとって、もっとわかりやすいものにしていきたいと思っています。回収場所のパネルが目立つような工夫もそうですが、お客さんにとっての入れやすさなど、自然にリサイクルしたくなるような方法を模索しているところです。

今シーズンはいままで以上に回収率を上げていきたいですね。また、昨シーズンで回収したプラスチックコップで作ったグッズもアップデートさせます。

①折り畳コンテナ(右上):衣類やちょっとした荷物入れなど、使用用途は多岐に渡る商品!限定100個 ②折り畳み買い物かご(右下):買い物かごとして、車にちょっとした荷物を置くかごとしてなどなど。 使用しない際は折りたためて、置き場にも困らない商品となっております!限定150個 ※お求めはオンラインショップから!https://shop.verblitz.com/

杉浦)私たちは、もちろんトヨタヴェルブリッツのパートナー企業なのですが、それ以上にチームのファンなんです。コップを回収する業務のためだけでなく、社員も多く会場まで観戦に行きます。そんなチームと一緒に社会課題解決に取り組める嬉しさを感じています。

吉野)本当に前田産業さんを始めとしたパートナー企業さんのおかげで、私たちだけでは絶対に実現できない活動ができています。こうした活動が社会に浸透し、社会的な価値を生み出していくことができるよう継続していきたいです。

水野)パートナー企業さんとともに、社会課題解決のため、そしてお互いの理念のために一緒に取り組めることは本当に嬉しいことです。こうした活動をファンの方々への認知を上げることもそうですが、ラグビーファンやそれ以外の方々にももっと知っていただけるように、私たちも発信に力を入れていきたいです。

ーーありがとうございました!

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