食中毒の原因の細菌とウイルスどう違う?【眠れなくなるほど面白い 図解 毒の話】
食中毒の原因となる細菌とウイルス、どう違う?
細菌とウイルスはまったく別物
食中毒の原因となる細菌とウイルスは似ているようで実はまったく異なるものです。
細菌というのは人間と同じ「生物」に属しています。そして、生物の条件である ①外界と膜で仕切られていること、②代謝を行うこと、③自己を複製する機能を持つことをすべて満たしているのです。細菌の感染の仕方には2種類のパターンがあります。ひとつは細菌が体内で増殖して毒素を放出するパターン、もうひとつはすでに増殖している細菌の毒素が体内に入り込むパターンです。
細菌に感染してしまった場合には、一般に抗生物質を投与して治療を行います。しかし、抗生物質に耐性を持つ細菌も増えており、治療は難しくなっているのが現状です。
一方、ウイルスは生物ではありません。感染する際は、体内で自身のコピーをつくり出して増殖し、細胞を破壊してどんどんほかの細胞も乗っ取っていきます。ウイルスは細菌とは異なり、一般に抗生物質は効かず、主な対処法としては、ワクチン接種が挙げられます。しかし近年では、まだわずかではあるものの抗ウイルス薬が開発されており、研究が進んでいます。
細菌もウイルスも感染する点は同じですが、増殖の仕方や対処法は異なっているのです。
細菌の感染と中毒症状の起こり方
体内で増殖パターン
食べ物などに潜伏していた細菌が体内に入り、特定の組織や器官で増殖して毒素を出し中毒症状を引き起こす。
体外で増殖パターン
食べ物などであらかじめ増殖していた細菌を摂取し、放出していたその毒素で中毒症状を引き起こす。
ウイルスの増殖の仕方
①ウイルスが体内に侵入。
②細胞に入り込んで、自身のコピーを次々とつくり出す。
③数を増やして細胞を破壊。
④ほかの細胞へと移り、次々と感染していく。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 毒の話』監修:船山 信次