人生はきっと「不安定なほうが面白い」。タレント・上田まりえが語る、“安定したキャリアの手放し方”
日本テレビを退職後、フリーランスの“タレント”として活動を続ける 上田まりえ さん。近年はMCだけでなく、朗読劇への挑戦や、歌手活動など、新しい表現に活躍の場を広げています。
安定したキャリアを手放し、挑戦を重ねてきた上田さんに、 変化を恐れず働くためのヒント を伺いました。
※前後編の前編。後編:11月7日(金)公開予定
「楽しい時に辞める」上田まりえ流、後悔しない選択のルール
――2016年に日本テレビを退職して、フリーランスになりました。今の肩書はなんですか?
タレントです。日本テレビのアナウンサーを辞める時から、 “フリーアナウンサー”ではなく“タレント” でやると決めていました。現役のアナウンサーの責任の重さや努力を知っているからこそ、アナウンサーとは、名乗らないようにしています。
――なぜ日本テレビ退職を決断したのですか?
「表現の仕事をしてみたい」ことが一番の理由でした。
今はマネージャーもつけず、裏方業務もすべて自分でやっています。自分でやるようになってから、会社や人へのありがたさを改めて感じる機会が増えました。
――独立後、人気YouTubeチャンネル『上原浩治の雑談魂』を4年半にわたり担当されていましたが、昨年、降板を決断されました。その理由も教えてください。
日本テレビを辞めた時と同じで、「新しいことに挑戦したい」と思ったからです。
上原さんは本当に偉大な方で、経歴も人柄も素晴らしい。街を歩いていても、海外に行っても「『雑談魂』、見ています!」と私が声をかけられるほど、大きな存在です。
でも、ふと「このままだと上原さんがいないと生きていけない人になってしまう」と思って、それが怖かったんです。甘えることなく、自分の足で立ちたいと思いました。
――目指していたチャンネル登録者数100万人の、達成直前に降板したのも印象的でした。
一生やるのかな、やりたいなと、もともと思っていました。上原さんの人柄も含めて大好きで、自分のホームとも思えるほど大切な番組でした。気がつけばリラックスして臨めるほど、安心感のある場所になっていたんです。でも私は“緊張できる現場”にいたい。安心できることは幸せだけど、より緊張できる場に身を置きたいと思うようになりました。
辞めると考えてからは、「100万人達成してからではズルいのではないか」と考え、チャンネルの今後のためにも、達成前に辞めさせていただきました。
――なにかを辞める時に心掛けていることはありますか?
振り返ると、どれも自分の中で「楽しいな」と感じられているタイミングで、辞めさせてもらえたと思います。ネガティブな気持ちではなく「 楽しいし、辞めたくない。でも他にやりたいことがある 」というほうが、いい選択ができる気がして。
それと、お世話になった人たちに迷惑をかけず、恩返しすることも心掛けています。「アナウンサー」を名乗らないのもそうですし、たとえば「アナウンサーの暴露モノ」みたいなバラエティにも絶対に出ない。「雑談魂」に対しても、野球関連の仕事でこれからも活躍すれば、少し恩返しができるのかなと考えています。
――「独立や転職に興味はあるけど、一歩踏み出すのが怖い」と感じる人は多くいますが、上田さんのキャリアはまさに“一歩を踏み出してきた人”という印象があります。
いいのか悪いのかわからないですが、踏み出してはいますね(笑)。
私は「安定はいらない」と思っているんです。もちろんご飯を食べるための、生活の安定は頑張って生み出す。でもそれ以外は、不安定なほうが面白いと思っています。
想定外の新しい挑戦で、“作品をつくる夢”が形に
――安定を捨てて、今、力を注いでいるのはどんな仕事ですか。
ずっと変わらないです。私の大好きな野球、日本語、そして故郷・鳥取に関すること。
それに加えて、最近は「歌」というクリエイティブな仕事が加わりました。もともと“作品をつくること”をしたくてアナウンサーを辞めたので、やっと形になりましたね。まさか「歌」になるとは思わなかったですけど(笑)。
――歌を出したきっかけは?
局アナ時代にナレーションやニュース読みを上達させたくて、ボイトレのレッスンに通っていたんです。その延長で「もう一度、ちゃんと学んでみよう」と思って通い出したら、先生に「自分の歌を持っておくと、いつでもどこでも歌えるよ」と勧められて。
最初は驚きましたが、一度人前で歌う機会をいただいたら、MCで話すのと歌で伝えるのはまったく違っていて、新しい面白さを感じました。先生が曲を作ってくださるというので、私は歌詞を書かせていただき、レコーディングして発表しました。
――2曲目の「だんだん」は、地元で開催されたフェスイベントで、初めて人前で歌われたそうですね。
前日にラジオで初解禁して、翌日に初めて人前で歌いました。思っていた以上に温かい反応をいただけましたが、マイクを持つ手が異常に震えました(笑)。
アナウンサー時代も初めて地上波の昼ニュースを担当した時は、CM中に手にした紙コップから水がこぼれるほど震えて、飲むのを諦めたほど。今回も同じくらいの震え具合でしたね。
――そういう挑戦を続けるのが、上田さんらしさなんですね。
苦しむのが好きなんです(笑)。リラックスしてできる仕事だけを選ぶこともできるかもしれませんが、私は“仕事は試合”だと思っていて。勝ち負けではないですが、一つひとつの現場がオーディションのようなもの。だから常に全力で、いい状態で臨むようにしています。
自信がないからこそ、心が向くことをやる
――上田さんのキャリアを見ると、さまざまなことに迷いなく挑戦して、自信にあふれているように感じます。
それは逆なんですよね。まったく自信がないんです。
――そうなんですか? いつも楽しそうな姿が印象的ですが……。
アナウンサーになりたての頃、「上田まりえ」と検索すると、第二検索ワードに「ブス コネ」と出てきたんですよ。「貞子みたい」と言われたこともあります。本当に暗くて、自信のなさが表情に出ていたんですね。
そういうネガティブな言葉をかけられるうちに、そんなキャラクターじゃなかったはずなのに、「自分を下げること」が癖になってしまいました。その生きづらさは最近まで抱えていて、歌詞に書くことでそれを昇華しました。
だから、挑戦しているように見えるかもしれないけど、実は自信がないからやっているんです。ないからこそ、「 楽しいこと 」「 心が向くこと 」をやるようにしています。
――今のマインドをつくるきっかけとなった、キャリアのターニングポイントはありますか?
入社4年目くらいまで、「アナウンサーに向いていないのかも」と本当に苦しんでいました。悩みに悩んで、転職しようと他の仕事を調べたこともあります(笑)。
そんな時、ゴルフ中継の現場でプロゴルファーの方に「頑張っているのはわかるから、もう少し笑ったほうがいいよ」と言われたんです。そこから、口角を上げるように意識したら、仕事も上手く回り始めました。
『スッキリ(日本テレビ系)』で共演していた加藤浩次さんにも、「上田さん、最近仕事楽しいでしょ? ぜんぜん違うよ」と言ってもらえて。人をよく見ている加藤さんにそう言われると、自分を少し肯定できるようになって「もっと自信を持ってやってみよう」と思えました。
――その時の学びは「いつも笑顔でいること」でしょうか。
そうですね。ネガティブな気持ちって、なにも良いことを生まないと思いました。それと、たとえ自信がなくても「自信がない態度」は失礼なんだなって。プロとしての姿勢を間違えていたと気づかされて、そこからすごく変わりましたね。
当時は私なりに頑張っていたつもりだったんですが、その方法を間違えていたなと。私は「がんばる」という言葉を使うときは、ひらがなを使うようにしているんです。漢字の「頑張る」はもともと「忍耐する」という語源をもつという説があり、がんじがらめになるというニュアンスがあるように感じるので、意識して「がんばる」を使っています。
1stデジタルシングル「はじまる」の歌詞では、あえて漢字の「頑張る」を使っています。
頑張るほど 今日が怖くなって
動けずにいた
はじまる/上田まりえ
<YouTube 上田まりえ「はじまる」Music Video>
過剰な自信は良くないけど、ハッタリも大事だと思うんです。ハッタリをかましたら、やるしかなくなるから頑張れる。無理やりにでも笑うのが、良いキャリアをつくるためにも意外と大事なのだと思いました。
※前後編の前編。後編:11月7日(金)公開予定
プロフィール
上田まりえ タレント/日本語検定委員会審議委員
1986年9月29日、鳥取県境港市生まれ。2009年、専修大学文学部日本語日本文学科卒業後、日本テレビにアナウンサーとして入社。2016年1月末に退社し、タレントに転身。現在は、MC、ラジオパーソナリティ、ナレーター、スポーツキャスター、ライター、講師など幅広く活動中。2019年、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修士課程1年制コース修了。2025年2月、1stデジタルシングル「はじまる」をリリースし、歌手活動を開始。2025年8月、2ndデジタルシングル「だんだん」をリリース。
<現在の主な出演>
JERAセ・リーグ公式配信番組『JERAセ・リーグ レジェンドLIVE』MC、BS10『ダグアウト!!!』MC、MBS毎日放送『住人十色』リポーター、fmGIG『上田まりえの話したいことがあるんだ!』
X(旧Twitter) @MarieUeda929 Instagram @marieueda929 YouTube 上田まりえ Marie Ueda 公式サイト MARIE UEDA OFFICIAL WEB
取材・編集:求人ボックスジャーナル編集部 内藤瑠那
執筆:前多勇太
撮影:fort 岩田慶
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