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京都発、チームラボ国内最大級の“無限空間”へ! ― 「チームラボ バイオヴォルテックス 京都」(レポート)

アイエム[インターネットミュージアム]

京都に新たな文化拠点が誕生。チームラボによる国内最大規模の常設アートミュージアム「チームラボ バイオヴォルテックス 京都」が、2025年10月7日にオープンしました。

施設では、チームラボならではの“質量”や“存在”の概念を問い直す大型インスタレーションをはじめ、50以上の作品を公開。鑑賞者の身体と認識を巻き込み、環境そのものが作品となる体験を提示します。


「チームラボ バイオヴォルテックス 京都」入口


他のチームラボ施設と同様に順路は設けられていませんが、来場者が最初に足を踏み入れる空間を彩るのは、大壁面いっぱいに花々が咲き誇るおなじみの作品です。花々が誕生と死滅を永遠に繰り返す、生命の営みが描かれています。

単に美しい花が描かれるだけではなく、鑑賞者が作品に触れると花は散り、立ち止まると周囲に多くの花が生まれるというインタラクションも特徴です。


永遠の今の中で連続する生と死


この施設で注目作品のひとつが「変容する連続体」。無数の球体が特異な環境下で宙を舞い、無数の要素が秩序を生み出し、一つの存在として現れます。空間に生まれた存在は、地面や空中に出現しながらも、その輪郭は曖昧です。

チームラボは、この“エネルギーの秩序”からうまれる概念を「High Order Sculpture(ハイオーダースカルプチャー)」と呼び、生命の根源的な構造との共鳴を示唆します。


変容する連続体


「Infinite Crystal World」は、光の点の集合による立体的な彫刻空間です。お台場の「ボーダレス」でも人気を博したチームラボの代表作の一つです。

次々に新たな光の立体が生成され、空間全体が変化。鑑賞者がスマートフォンから選んだ世界を投げ込むことも可能で、まさに“無限に進化する宇宙”のような体験ができます。


Infinite Crystal World


「呼応するランプの森」は、季節の色名や重ねの色を思わせる複雑な光のグラデーションが魅力です。人が近づくとランプが輝き、光が次々とつながっていきます。

ランプの配置は数学的に導き出されており、光は必ず全てのランプを一度だけ通ります。人と他者の動きによって生まれる光の連続性を通し、つながりの美しさを体験できる作品です。


呼応するランプの森


「生と回帰の無常の抽象」は、人の存在によって水面のようなオイル模様が動き、変化し続ける作品です。

さらに、長靴を履いて実際に作品空間に入る体験も可能です。新感覚の作品で、生命の循環と無常の美を表現しています。


生と回帰の無常の抽象


アブダビの「チームラボ フェノメナ アブダビ」で発表された「質量も形もない彫刻」は、日本初公開。泡の海から生まれる巨大な彫刻は、空間の中ほどを漂いながら、形や大きさを変化させていきます。

泡と空気、水という環境から生まれ、ここでも「High Order Sculpture」の理念が通底。人が中に入っても存在は維持され、壊れても自ら修復していきます。


質量も形もない彫刻


「開いた宇宙の永遠の存在の中のメガリス」は、佐賀の「チームラボ かみさまがすまう森」にある「廃墟の湯屋のメガリス」とも通じる作品です。林立する直方体の塊が、異なる時空を圧縮したように並びます。

こちらも作品がリアルタイムで描かれ続けて変化を続けます。記録映像ではなく、常に生成し続ける空間として、永遠の一瞬を体験することができます。


開いた宇宙の永遠の存在の中のメガリス


「質量のない太陽と闇の太陽」では、光と闇が交錯する空間が広がります。人が光に近づくと輝きが連鎖し、周辺も次々と呼応。やがて闇の球体が姿を現しますが、それはカメラにも写らない“存在しない存在”です。

体験者自身の動きと認識によって形づくられる「認識上の彫刻(Cognitive Sculpture)」として、存在とは何かを問う哲学的な作品です。


質量のない太陽と闇の太陽


「世界を身体で認識し、立体的に考える」をコンセプトにした「運動の森」には、身体を動かしながら楽しく体験できる作品も用意されています。

「あおむしハウスの高速回転跳ね球」は、踏むと跳ねる球体の作品です。人が近づくと高速回転が止まり、球体を踏むことができます。

同じ色の球体を連続して踏むと、内部が弾けてあおむしが生まれ、空間全体に生命のような変化が広がっていきます。身体の動きが直接ビジュアルを変える、遊びと生成の融合作品です。


あおむしハウスの高速回転跳ね球


「マルチジャンピング宇宙」は、飛び跳ねる床の上で星の誕生と成長を体験する作品。星屑が集まり、やがて恒星が生まれ、進化し、超新星爆発を経て再び星屑へと戻る。宇宙の循環が身体感覚で感じられます。

この体験の背景には、重力や時空のひずみなど、科学的な星の進化の原理が取り入れられています。チームラボがアートとサイエンスを融合し、宇宙そのものを遊びとして表現したダイナミックな作品です。


マルチジャンピング宇宙


デジタルアートを通して「存在」と「環境」、「生命」と「認識」の関係を問い直す「チームラボ バイオヴォルテックス 京都」。

テクノロジーを超えた、アートと自然、そして人間そのもののあり方を考えさせる新たな体験空間として、京都から世界へ発信されていきます。

[ 取材・撮影・文:坂入美彩子 / 2025年9月30日 ]

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