監督の哲学 勝利の鍵は「基礎」にあり 柳ケ浦高校野球部・鈴木聡監督 【大分県】
20年ぶりのセンバツ出場を果たした柳ケ浦高校野球部。その躍進の裏には、監督就任3年目の鈴木聡監督が選手たちに植え付けた「基礎の徹底」と「一体感」があった。掃除や時間厳守といった生活習慣の見直しが、勝利へとつながった。守備を軸に粘り強く戦うチームは、選抜の舞台でどのような成長を遂げるのか。鈴木監督が語る指導哲学と選手たちへの期待とは―。
Q:柳ケ浦としては20年ぶりのセンバツ高校野球の出場となります。監督に就任されて3年目ですが、どのようにチームを立て直されたのでしょうか?
「立て直す」という考えは、実は持っていませんでした。壊れていたわけではありませんので。ただ、私自身が「これは必要だな」と思うことを粘り強く伝えてきたつもりです。例えば掃除や靴、カバンをきちんと並べること。些細なことですが、そういった生活態度を改めることで、選手たちに「一緒にやろう」という気持ちを浸透させたつもりです。もちろん「やろうよ」という優しい言い方ではなく、少し厳しく言うこともありました。
Q:そのような生活習慣を改善することで、競技にどのように繋がるのでしょうか?
生活でいい加減なことをしていて、野球だけ真剣に取り組むなんてできません。例えば、集合時間を守れないと試合はできないし、忘れ物をすればプレーにも支障が出る。野球にはルールがあるし、どこの社会でも規則や約束を守るのは当たり前のことです。その基本を徹底することが、自然と野球にもつながるのだと思います。
Q:結果としてプレー面で変化は感じられましたか?
目に見える成果はあまりないかもしれません。ただ、一つ勝てば「次はもっと頑張ろう」となる。そして、それが積み重なって結果につながった部分もあります。勝利は偶然かもしれませんが、選手たちが「こうすれば良い結果が出るんだ」と少しずつ理解してきたように感じます。
選手にはプレーだけでなく生活態度を改めることを求めた
Q:九州地区県予選、九州地区大会を振り返っていかがでしたか?
県予選では6試合も公式戦を戦えたことが一番の収穫でした。試合を重ねることで選手たちも成長しました。準々決勝で大分商業に勝ち、ベスト4に進出したことが大きかった。ここ数年の壁だった「ベスト8を越えた」という達成感が、チームに良い勢いを与えたからだと思います。その後の準決勝も「思い切りやろう」という気持ちで臨み、勝てたという感じです。
Q:今年のチームの特徴を教えてください。
ピッチャーを中心とした守りのチームですね。失点を減らし、守備のミスを最少限に抑えることを目指しています。打撃面はまだまだ技術的な課題は多いですが、ランナーを進める粘り強い攻撃を意識しています。
Q:センバツに向けて、この冬で特に強化した点はありますか?
特定のスキルに絞って強化したわけではなく、「体力」「気力」「集中力」「継続力」など、幅広い能力を伸ばすことに注力しました。選手たちには「いい加減なことをすれば、いい加減な力しか付かない」と常に伝えています。やるからには全力で、という意識を徹底しています。
Q:センバツのメンバーは決まっていますか?
監督:大枠の16人は決まりましたが、残り4人は未定です。部長やコーチと相談して決めていきます。
Q:センバツで選手たちにどのような経験をしてほしいですか?
甲子園で何を感じ、どう成長するかが一番大事だと思います。私自身、甲子園に行くのは初めてなので、選手たちと同じ気持ちで臨みたいです。この経験を通して、夏に向けてどうするべきかを考えられるチームになってほしいですね。
「甲子園を楽しみたい」と語った鈴木聡監督
(柚野真也)