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2歳で自閉症診断、年中から保育園入園。「加配が必要では?」不安の中相談すると…

LITALICO発達ナビ

2歳で自閉症診断、年中から保育園入園。「加配が必要では?」不安の中相談すると…

監修:新美妙美

信州大学医学部子どものこころの発達医学教室 特任助教

2歳で発達障害の診断。3歳ごろから療育へ

発達障害の診断を受けて3歳ごろから療育に通っていたマユユ。希望通りの児童発達支援に通えており、そこは数時間の預かりタイプで生活的にも助かっていたのですが……成長していくにつれて「保育園にも通わせたい」と思うようになりました。

それは家庭の事情もさまざまありますが、成長してきて少しずつ人との関わりを受け入れることが増えたマユユにいろんな体験をしてほしい、という親としての願望も大きかったです。はじめは年少入園を目指したのですが、それは叶わず年中になるときにようやく入園のお知らせを受け取ることができました。

集団での活動が難しかった

マユユははじめて診断を受けた時から、5歳の現在も引き続き「社会性や人との関わり」に大きな難しさがあります。
”成長してきて少しずつ人との関わりを受け入れることが増えた”と前述しましたが、それは主に身近な保育者に対しての部分的なものでした。周りのお友だちの様子を見て一緒に動いたり、先生の出す一斉指示に注目したりすることは今でもまだ難しいことが多いです。

入園前から通っていた児童発達支援は10名ほどの小集団でした。何度もモニタリング面談に伺いましたが、そのたびに、補助のない集団行動が困難な様子が伺えました。

加配制度については聞いたことがあったので、「間違いなくこの子には必要だろう」と思いながら保育園探しをしました。

入園後に顔合わせの面談があった

保活の際、園への問い合わせでは真っ先に「加配がなければ難しいと思っている」ことを伝えました。(加配を付ける判断は自治体によって違うと思いますが、それでも園からはどういったお話や反応があるか気になりました)そうやって何件も問い合わせる中、特に「ここに入れたらいいな」と思える園が見つかり……マユユは幸運にもそこに入園することができました。

入園が決まるとまず、担任になる先生と詳しくお話しする時間を設けてくださいました。マユユの自然な様子を見てもらいながら、特性や難しい部分・好きなことや喜ぶことなどについてできるだけ詳しく、包み隠さず伝えました。

この時も、やはり待つことが難しく自由にウロウロしはじめたマユユ。大きな声が出たりもしていて、私はいつものように焦りだし不安な気持ちになっていたのですが……園長先生や周囲にいらした先生が自然とマユユを、強くとがめたりすることなく観察しながら見守ってくださっていたのが印象的でした。

加配が必要だという気持ちに変わりはありませんが、この時の先生方の対応や空気が心地よく、心強く感じたのを覚えています。

通園開始後しばらくして市の面談も

無事に通園がはじまると、しばらくして「加配についての市の面談」もありました。市の職員・園の先生・マユユと私とで、園での様子について話したり、マユユの様子を見てもらったり簡単な発達検査のようなやり取りも行いました。

家庭と園ではまた様子がちがうため、私が見ることができない園での様子(難しいこと)などは先生が伝えてくださいました。(実はこの時もマユユは、やはり状況が理解できていないため、途中で「帰る」と癇癪を起こして大変でした……。しかしそれも含め困難さを知ってもらう場だったと思います。)

地域によって手続きは違うと思いますが、これは”加配が必要かどうかの判定”をするための面談だったのかと思います。これは年度ごとに行われるようです。

「加配が必要だと思っている」と伝えていたためか、入園してすぐからついてくださっている先生がいたのですが、この市の面談後、正式に判定がおり加配の先生として配置されたと説明を受けました。

加配保育中の様子

加配の先生は保育中、基本的にずっとマユユについていてくださいます。市の面談での判定によるのかもしれませんが、マユユの場合は一人に対して一人の先生がつきました。クラスの子たちと一斉に移動することができなくてもマユユのペースに合わせてくださるのですが、”無理強いはしないけど、できる時はいっしょに”という完全に別行動ではない点もうれしかったです。

加配つきで預けるにあたって、マユユの場合は誤学習しやすい点や注目行動が起こりやすい点について、療育の先生と相談した内容や対処法を特にしっかりお伝えしました。これは私自身が家庭でも難しさを感じている点であり、先生との生活でも重要になってくると思ったからです。それからコミュニケーションのきっかけになる“その時マユユがハマっているもの“についての共有もしっかりするようにしています。

私自身もマユユとの生活には試行錯誤をたくさんしてきて、「対処法が分からない・この対応で合ってる?」ということがいつも不安でした。なのでマユユにはもちろん、先生にも少しでも楽しく過ごしてほしい気持ちがありました。それで結果的にマユユの心地よい居場所になるといいなと思っていました。

活動への参加はむずかしいことが多いけれど

園でイベントが行われた日のお迎えでは(参加は難しかっただろうか)と落ち込んでしまうのですが、「イベントのお部屋に一緒に入るところまではできましたよ!」「今日は最後までいられました!」など報告を受け、先生も諦めず、でもマユユや周囲のお友だちにも負担のないような形で臨機応変に動いていただけていることが伝わりました。

マユユが拒否した場合も、先生がスモールステップで向き合ってくださっているようです。マユユも成長や経験にともない提案に応じることが少しずつ増えてきました。

また、加配や担任ではない先生方からも「今日マユユちゃん〇〇できていたんですよ!もう聞かれましたか?」とうれしそうに声をかけていただけることが何度もありました。ほかの先生も、他人事でなく見守ってくださっていることには胸が熱くなりました。

加配保育に不安もあった

約一年がたちマユユは年長さんになりました。

加配保育について、ほかの子たちとは違うんだと改めて感じてしまったり、不安にもなりましたが、今は「加配つきで保育してもらえて本当に良かった」と思えています。

また、お友だちとの関係が築きにくくなることを心配していましたが……お迎えに行くと、すれ違ったクラスのお友だちが「今日マユユちゃんはね」と本日のマユユの連絡をしてくれたりします。やりとりして遊ぶことは難しくても、イベントにいないことが多くても、当たり前に”クラスのお友だち”として接してくれます。

最後の一年、イベントも多く不安な気持ちも大きいですが、園や療育と連携してマユユが楽しく過ごせる環境をつくれたらと思います。

執筆/サチコ

(監修:新美先生より)
加配保育士がついての保育園生活について詳しく聞かせていただきありがとうございます。加配保育士は、園の集団生活の中で特別な支援が必要な場合に、追加される保育士で、明確な設置基準のようなものは定められていないため、自治体や保育園(幼稚園)により、基準や運用はさまざまのようです。このため、お住まいの自治体や通っている園によって、様子が異なる可能性があることはご承知おきください。

園の集団生活で、お子さんが困る場面があったり安全が確保しにくかったりする場合に、加配保育士をつけてもらえることがあります。個別に担当の加配保育士がつく場合もあれば、複数の対象児に一人の加配保育士がつく場合や、クラス全体としてつく場合などさまざまです。また午前中だけなど、時間が決まっている場合もあります。集団の活動に乗りにくかったり、全体に対する言語指示のみでは伝わりにくかったり、衝動的な行動が目立って安全が確保できない場合など、加配保育士がついてくれることで、ご本人も無理なく、安全に過ごしやすくなります。集団の活動に興味が向かない時は加配保育士と別の活動をして過ごしたり、集団の中で不安な時にそばにいてもらったり、他児との仲介をしてもらうことでお互いに安全に遊べたりということがあります。

マユユちゃんも、集団活動に入る時間が多くはなくても、同じ園に通うことでお友だちとの交流ができたり、徐々に慣れたりしていくことにつながっていますね。本人が楽しく安全に通うために、加配の先生がいることは心強いですね。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

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