肉を選べば胃もたれしにくい? 肉より脂が肝機能を弱らせる!【眠れなくなるほど面白い 図解 胃と腸の話】
胃もたれだけじゃない! 脂っこい物は肝機能まで弱らせる
胃が重いのは肉ではなく脂のせい
「肉は消化に悪い」と思っている人がいまだに多いようです。たしかに肉の食べ過ぎで胃がもたれることは珍しくありません。しかし、この不調は肉ではなく同時にとった脂が原因で起きるものです。
私たちの体内では、自律神経やホルモンによって消化がコントロールされています。その中でもとくに重要な役割を果たすのが「ガストリン」「セクレチン」「コレシストキニン」の三大消化ホルモンです。ガストリンは胃酸の分泌を促進して胃の消化を助け、セクレチンは膵液の分泌を促すことで十二指腸や小腸での消化を後押しします。
そしてここがポイントですが、コレシストキニンには、胆汁を排出させて脂質の吸収を促しつつ、胃の働きを抑制する作用があります。これは胃から小腸へ、一度に大量の脂質が流れ込まないようにするため。小腸のダメージを避けるために制御しているわけです。するともともと脂質を消化できない胃に多くの脂が溜め込まれることで、胃もたれなどの不調が現れるわけです。
なお、胆汁は肝臓でつくられますが、脂っぽいものばかり食べていると、肝臓はたくさんの胆汁をつくることで疲弊し、やがて胆汁の量自体も減りがちに。すると少ない胆汁を引き出そうと、大量のコレシストキニンが分泌されることになり、胃の不調の慢性化を招きます。胃の働きを守るには、高カロリー脂肪食のとり過ぎに要注意です。
肝臓でつくられる胆汁が脂質の消化を助ける
三大消化ホルモン
【ガストリン】
胃酸の分泌を促進し、胃での消化を促す
【セクレチン】
膵液分泌を促進し、十二指腸での消化を促す
【コレシストキニン】
胆汁の分泌を促進し、胃酸の分泌を抑える
たくさんの脂質が十二指腸に流れるのを防いでくれる
【POINT】肉は消化に悪いのではなく、脂が原因
よく、「肉は消化に悪い」という方がいますが、たんぱく質は実はすぐに消化されます。胃に負担をかけているのは「脂」なのです。なので、脂が多い肉ではなく、鶏ささみなどの脂質の少ないお肉を選ぶとよいでしょう。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 胃と腸の話』著:福原 真一郎