夏のボーナス増加は4割 苦しい事情も「利益は減少したが…」 企業間の格差は拡大
■大企業の47.2%がボーナス増額 小規模企業は29.2%で10ポイント減少
民間の調査会社・帝国データバンクが全国1000を超える企業を対象に、夏のボーナスに関するアンケートを実施した。昨年よりボーナスの金額を上げる企業は約4割を占めた。ただ、中には利益は減少したが、ボーナスを増額せざるを得ない苦しい事情を吐露する企業もある。
帝国データバンクによると、夏のボーナスを昨年より増やす企業は39.5%で、前年より2.1ポイント増加した。金額は変わらない企業は34.2%、減額は11.3%。ボーナス自体がないと回答した企業は10.3%だった。
ボーナスの増額は大手企業で4.9ポイント増えて47.2%。一方、中小企業は1.7ポイント増の38.2%で、小規模企業に限ると10ポイント減の29.2%まで数字が下がる。企業の規模による格差は拡大している。
ボーナスを増やす企業の割合が昨年より多くなっている調査結果は、歓迎すべきことのように見える。ただ、実情は数字以上に厳しい。ボーナスを増額した企業からは次のような声が上がっている。
「大企業における賞与支給が増えているといったニュースが流れて景気が良いと思われがちだが、中小企業では利益を上げることが難しい中、ベースアップや賞与の増額などで人件費の割合が上昇して厳しい状況(娯楽サービス)」
「利益は減少したが、賃上げと賞与アップをしないと従業員の定着が困難になってくる(情報サービス)」
■建設業からは悲鳴「ボーナス支給どころではない」
ボーナスの減額や支給なしを決めた企業からは「円安に伴う仕入れ価格の高騰分を十分に価格転嫁できず、利益が大幅に減少してしまったため、前年比50%減の支給になった(輸送用機械・器具製造)」、「いまだコロナ前の売上に戻らないため、賞与の減少はやむを得ない(飲食)」、「2024年問題の対応でボーナス支給どころではない。受注単価が上がらない中、工期の長期化が利益を圧迫している(建設)」と悲鳴が上がる。
帝国データバンクは今回のアンケート結果を受け「賞与支給予定の企業は多いものの、今後はエネルギー価格の高騰に対する政府の補助金の終了などによる電気代の値上がりや、円安の進行などを背景とした食品の値上げなどにより、消費拡大への効果は限定的にとどまる可能性もある。物価の高騰に負けない賞与を含む賃金の上昇、および持続的な賃上げが実現できるかが注目されている」とまとめている。
アンケートは6月7日から11日までインターネットで実施された。有効回答企業数は1021社だった。
(SHIZUOKA Life編集部)