三世紀半続く獅子舞伝承 保存会に「ともしびの賞」
永年にわたりひたむきな努力を続け、地域文化の向上に尽くしたとして、兵庫県指定無形民俗文化財の「赤穂八幡宮獅子舞」を伝承する尾崎獅子舞保存会(馬場邦昌会長)に県から「ともしびの賞」が贈られた。
同会は1996年3月1日に結成。尾崎の赤穂八幡宮で360年以上続く獅子舞を継承する。雌雄の獅子と鼻高が太鼓に合わせて舞う迫力ある演舞が特徴で、2005年に県無形民俗文化財に指定された。
獅子の舞子は「オンタ」と呼ばれる雄獅子を5年間務め、続いて「メンタ」(雌獅子)を5年間担当する慣わし。舞子を経た者だけが太鼓の役に就くことができ、1年目を「下打ち」、2年目を「打ち出し」と呼ぶ。これら通算12年の経験を経ると宰領となり、祭礼には黒紋付羽織袴で参加する。
舞子と太鼓、鼻高、宰領を合計した24人が「会員」として活動の中心を担う。会員になる前の中学生世代は太鼓を補助する「走り太鼓」として祭りに参加し、宰領はある程度の年齢になれば会員を抜けて保存会活動を見守る参与となる。こうした慣習は保存会ができる前からあり、自然と世代交代が図られるようになっている。
宰領の有年庸平さん(37)は「若い子に教えていると上達する瞬間があるんです。それを見るのが楽しみ」と伝統継承のやりがいを話す。今回の受賞について馬場会長は「今までつないでくれた先輩方の活動が認められた証。支えてくれている地域のみなさんにも感謝したい」と語った。