「松竹創業130周年記念 2025-26年ラインナップ発表会」が開催 歌舞伎から尾上菊之助、尾上丑之助が登壇
2025年1月23日(木)都内にて、「松竹創業130周年記念 2025-26年ラインナップ発表会」が行われた。この度、演劇パートについて紹介する。
松竹株式会社は、創業者の大谷竹次郎が京都・新京極阪井座の仕打(興行主)となった 1895(明治28)年を創業の年としている。1902(明治35)年には白井松次郎、大谷竹次郎の活躍が、名前にちなんだ「松竹(まつたけ)の新年」の記事として大阪朝日新聞に掲載され、間もなく兄弟で松竹(まつたけ)合資会社を興すこととなった。そして、2025(令和7)年、松竹は創業130周年を迎えた。
「松竹創業130周年記念 2025-26年ラインナップ発表会」には、劇場関係者・制作関係者・マスコミ関係者など総勢400名の観客を迎え、創業130周年の記念映像上映の後、松竹の迫本淳一会長と高橋敏弘社長の挨拶によって、ラインナップ発表会の幕が上がった。
「歌舞伎」から尾上菊之助、尾上丑之助、「アニメ」から原菜乃華、マイカ ピュ、「映画」から山田洋次監督、倍賞千恵子、木村拓哉、豪華ゲストが華々しく登場し、総勢9名による合同フォトセッションが行われた。
まず演劇本部長山根成之副社長が登壇し、創業130周年を寿ぐ演劇公演ラインナップが発表された。
はじめに、尾上菊之助改め八代目尾上菊五郎襲名披露 尾上丑之助改め六代目尾上菊之助襲名披露興行の劈頭を飾る、歌舞伎座5月『五月大歌舞伎』、6月『六月大歌舞伎』を紹介。江戸時代より連綿と続く歌舞伎界の大名跡の襲名披露興行は、7月大阪松竹座、10月御園座、12月南座と全国各地を回る予定だ。
歌舞伎座での3月『仮名手本忠臣蔵』、9月『菅原伝授手習鑑』、10月『義経千本桜』の三大名作一挙上演、4月『四月大歌舞伎』での市川染五郎主演・直木賞受賞作の新作歌舞伎『木挽町のあだ討ち』、人間国宝の講談師・神田松鯉と尾上松緑が共演することで話題の『無筆の出世』、片岡仁左衛門主演の『毛谷村』上演に加えて、7月以降の歌舞伎座公演では、松本幸四郎主演の『鬼平犯科帳』、松本幸四郎、片岡愛之助、中村獅童出演の三谷幸喜による新作歌舞伎、中村勘九郎主演・中村七之助出演の野田版『研辰の討たれ』、中村獅童の「超歌舞伎」が上演決定するなど、話題に富む意欲的なラインナップが発表された。
そのほか、7月新橋演舞場・8月博多座、南座にて上演される『刀剣乱舞』の新作、9月南座『流白浪燦星』再演といった歌舞伎トピックに加え、一般演劇トピックでは、2・3月新橋演舞場・4 月南座『浪人街』、5月新橋演舞場・6月大阪松竹座『反乱のボヤージュ』、5月日生劇場・6月新歌舞伎座「ミュージカル『ビートルジュース』」、4月南座・6月大阪松竹座・8月新橋演舞場の「OSK 翼和希トップスターお披露目公演」など多彩な公演ラインナップも発表された。
続いて、襲名披露を控える菊之助・丑之助親子が登場。この度の襲名への意気込みを問われ、菊之助は「襲名は名を継ぐのみならず、先人たちの知恵・技術・心を継承することも意味します。『古典作品を継承、発展させ、世界の皆様にお伝えする』をテーマに襲名に取り組みたいです」と松竹が掲げる「日本文化の伝統を継承、発展させ、世界文化に貢献する」というミッションに関連付けて決意表明。また、襲名興行の開幕に向けて、カウントダウンの「襲名カレンダー」を作り、「二人で手を取り合って稽古に励みたい」と親子そろっての襲名に向けて気を引き締めた。また丑之助は昨年の記者会見の際からの心境の変化を「お稽古やスチール撮影を重ねて、だんだんと菊之助になる覚悟ができました。菊之助になるのが楽しみです」と意気軒高に明かした。
襲名披露の演目について問われると、菊之助は 2025(令和7)年が祖父・七世尾上梅幸の没後30年の節目でもあることにちなみ『京鹿子娘二人道成寺』、現・菊五郎が当り役としてきた『弁天娘女男白浪』という音羽屋ゆかりの演目や、一昨年9月の「秀山祭」で初めて親子揃って演じた『連獅子』に親子で取り組む一方で、『菅原伝授手習鑑』といった、菊之助の岳父・二世中村吉右衛門の芸の継承にも励むと誓った。また、丑之助は弁天小僧菊之助の役を「楽しみにしていた役で、襲名で演じられるのがうれしいです」と笑顔で答えた。
おわりに、年男でもある菊之助は巳年に絡め、「同じく年男の丑之助とともに、ヘビのようにしなやかに脱皮し、襲名興行を勤めたいです」と締めくくった。