復元塩田で昔の塩づくりを体験
国内最大級の塩田復元施設がある赤穂市立海洋科学館・塩の国で、地元住民を主な対象とした体験見学会がこのほどあり、海水から塩を作り出す作業の一端を体験した。
同施設がある兵庫県立赤穂海浜公園の一帯は、江戸時代から昭和20年代まで「東浜塩田」が広がっていた場所。「塩の国」には海水を砂に染みこませて水分を蒸発させる「入浜式」や枝条架(しじょうか)と呼ぶ設備に海水をかけて塩分濃度を高める「流下式」などの塩田施設が復元されている。
体験見学会は、塩の神様をまつる塩竈神社や塩を運ぶ舟が行き来した水路など、日本遺産「『日本第一』の塩を産したまち播州赤穂」の構成文化財が点在する地域の歴史を学ぼうと「尾崎のまちを考える会」が主催。子どもから大人まで34人が参加した。
参加者らは、入浜式塩田にひしゃくで海水をまく「潮かけ」や、海水を染みこませた砂を「万鍬」と呼ぶ道具でひきならす「引き浜」を体験。塩分濃度を高めた「かん水」を釜で焚いて煮詰める「釜屋」では出来たての塩を道具でかき集める作業も行った。
かつて夫の祖父が塩田で働いていたというパートの久田優希さんは「たくさんの時間と過酷な重労働で塩がつくられていたのだと感じました」と当時の作業を思いやった。