【高齢者】歩かないで楽しめる・バリアフリー充実な旅行スポット<関東編>
「旅行を楽しみたいけれど、あまり歩かずに観光したい」
「足腰に負担をかけず、ゆっくり過ごせる場所を探している」
――そんな方に向けて、関東エリアには電車やケーブルカー、バス、人力車などを活用して移動でき、比較的ラクに巡れる観光スポットがたくさんあります。
本記事では、駅やバス停からのアクセスが良く、バリアフリー設備も整った“楽々観光”スポットをピックアップしました。
移動中の段差や歩行距離をできるだけ少なくしながらも、各地ならではの魅力を十分に味わえるスポットばかり。ぜひ、ご家族やご友人と一緒にお出かけの計画を立ててみてください。
箱根エリア
アクセスと特徴
新宿から小田急ロマンスカーで約85分というアクセスの良さに加え、箱根湯本駅から強羅・早雲山・大涌谷といった高地へは、箱根登山電車やケーブルカー、ロープウェイを利用して行くことができます。
おすすめの観光ポイント
箱根の魅力は何と言っても四季折々に変化する美しい山々の景色です。春には山肌を彩る桜と新緑、夏には深い緑に包まれた涼やかな景観、秋には燃えるような紅葉、冬には時折雪化粧をまとう山並みと、訪れる季節ごとに異なる表情を見せてくれます。
箱根湯本の温泉街では、江戸時代から続く老舗旅館や、地元の職人が作る伝統工芸品を扱う土産物店が軒を連ねています。特に寄木細工や箱根細工の実演を見学できる工房もあり、日本の伝統技術に触れることができます。
大涌谷では、活火山ならではの迫力ある噴煙と、その場で茹で上げる名物の黒たまごを楽しむことができます。黒たまごは殻が硫黄成分で黒く変色しており、食べると七年寿命が延びるという言い伝えも相まって、多くの観光客に人気です。
芦ノ湖では、和風の優美な外観の遊覧船や、まるで海賊船のような個性的なデザインの船に乗って、湖上から箱根の山々を一望することができます。春には湖畔の桜、秋には対岸の紅葉など、季節に応じた景色を湖上からゆったりと楽しめます。船内は完全バリアフリー設計で、車椅子の方でも安心して利用できます。
バリアフリー情報
主要な駅や施設ではエレベーターやエスカレーターも整備されており、観光案内所やホテルで車椅子を貸し出してもらえるケースもあるので、出発前に調べてみるとよいでしょう。
浅草・スカイツリーエリア
アクセスと特徴
都内でも屈指の人気観光地でありながら、駅から観光スポットまでの移動距離が比較的短いのが特徴となっています。
おすすめの観光ポイント
浅草寺は東京都内最古の寺院として知られ、雷門の大提灯は浅草のシンボルとして多くの観光客を魅了しています。参道として賑わう仲見世通りには、江戸時代から続く老舗店舗が軒を連ね、人形焼や揚げまんじゅう、どじょう料理など、下町ならではの伝統的な味を楽しむことができます。
通りの両側には浅草らしい和雑貨や伝統工芸品を扱う店も多く、ゆっくりと見て回るだけでも江戸情緒を十分に味わえます。
人力車での観光は、車夫さんの丁寧な案内付きで浅草の街を巡ることができる贅沢な体験です。車夫さんは地域の歴史や文化に精通しており、普段は気づかないような路地裏の魅力や、建物にまつわる逸話なども楽しく解説してくれます。座って移動できるため体力的な負担も少なく、雨の日でも屋根付きなので安心して観光を楽しめます。
東京スカイツリーの展望デッキからは、東京の街並みを360度のパノラマで眺めることができます。天気の良い日には富士山まで見渡すことができ、夜になると輝く街の光が織りなす夜景を楽しむことができます。展望デッキまでは高速エレベーターで一気に上るため、体力的な負担もほとんどありません。
東京ソラマチには、レストランやカフェ、ファッションブランド、雑貨店など、約300の店舗が集まっています。日本各地の名産品を扱うショップや、江戸文化を今に伝える和雑貨店なども充実しており、買い物だけでなく、すみだ水族館やプラネタリウムといった体験型施設も併設されています。全館空調完備で快適に過ごせるため、真夏や雨の日の観光スポットとしても重宝します。
バリアフリー情報
高齢の方や車椅子利用者にも配慮された構造で、多目的トイレなども各フロアに充実しています。
お台場エリア
アクセスと特徴
東京湾岸地域に位置し、ゆりかもめの各駅やりんかい線の東京テレポート駅から直結または徒歩圏内で商業施設やアミューズメントスポットを楽しめます。
おすすめの観光ポイント
お台場の大型ショッピングモール群は、それぞれが個性的な特徴を持っています。アクアシティお台場は海に面した開放的な空間で、レストランからは美しい東京湾の景色を眺めることができます。
デックス東京ビーチは、お台場の代表的な商業施設として、ファッションブランドや雑貨店、フードコートなどが充実しており、屋上には大観覧車もあります。ダイバーシティ東京は、実物大のガンダム立像が話題を呼び、最新のエンターテインメント施設や、ファッション、グルメなど、幅広い世代が楽しめる施設が揃っています。
お台場海浜公園は、都心にいることを忘れさせてくれる、開放感あふれる憩いの場です。園内には遊歩道が整備され、ベンチも多く設置されているので、東京湾の潮風を感じながらゆっくりと散策を楽しめます。砂浜からは自由の女神像やレインボーブリッジを望むことができ、都会的な景観と自然が調和した独特の雰囲気を味わえます。
レインボーブリッジは、夜になると七色にライトアップされ、東京湾の夜景のシンボルとなります。お台場の各商業施設からの眺めは格別で、特に夕暮れ時から夜にかけては、徐々に灯りが増していく様子を楽しむことができます。海沿いのレストランでディナーを楽しみながら、美しい夜景を眺めるのもおすすめです。
バリアフリー情報
ペデストリアンデッキやエレベーター、エスカレーターが充実し、雨天時も快適に移動できます。
みなとみらいエリア
アクセスと特徴
首都圏に住む人々にとってもデートスポットや観光名所として親しまれていますが、実は高齢者にも優しい設計が随所に施されています。
おすすめの観光ポイント
ランドマークタワーの展望フロアは、地上273メートルという高さを活かした「スカイガーデン」として人気を集めています。展望フロアからは、横浜港や東京湾、晴れた日には富士山までもが一望でき、特に夕暮れ時から夜にかけての景色は絶景です。高層階には高級レストランも入っており、横浜の夜景を眺めながら特別なディナーを楽しむこともできます。展望フロアまではエレベーターで直行できるため、高齢の方でも気軽に横浜随一の眺望を楽しめます。
赤レンガ倉庫は、横浜の歴史を今に伝える重要な建造物として知られています。かつての倉庫建築を活かしながら、現代的なショッピングモールとして生まれ変わった施設内には、おしゃれなカフェやレストラン、こだわりの雑貨店などが並んでいます。広場では季節ごとにイベントが開催され、春には花々が咲き誇るガーデンが出現し、冬には幻想的なイルミネーションやクリスマスマーケットが開かれます。
カップヌードルミュージアムは、日本が世界に誇るインスタントラーメンの歴史と発明のストーリーを、楽しみながら学べる体験型ミュージアムです。特に人気なのが「マイカップヌードルファクトリー」で、自分だけのオリジナルカップヌードルを作ることができます。具材の選択から、パッケージのデザインまで、創造性を活かした体験ができ、作ったカップヌードルはお持ち帰りいただけます。館内はバリアフリー設計で、車椅子の方も快適に見学できます。
バリアフリー情報
動く歩道やエレベーターが充実し、館内の段差も最小限に抑えられています。
上野公園エリア
アクセスと特徴
上野駅から公園口を出れば、正面には広大な上野恩賜公園が広がり、その周辺には数多くの美術館や博物館、上野動物園、アメ横などが点在しています。
おすすめの観光ポイント
国立西洋美術館は、ル・コルビュジエの設計による建築物として世界遺産にも登録されている、日本を代表する美術館です。モネやゴッホなど、印象派の巨匠たちの作品を中心に、中世から20世紀までの西洋美術を幅広く収蔵しています。館内はスロープや広々とした通路が確保されており、車椅子の方でもゆっくりと芸術鑑賞を楽しむことができます。定期的に企画展も開催されており、世界的な名作に間近で触れる機会も多いです。
東京国立博物館は、日本最古の博物館として140年以上の歴史を持ち、国宝・重要文化財を含む豊富な収蔵品を誇ります。本館では日本美術の流れを時代順に辿ることができ、平安時代の仏像から江戸時代の浮世絵まで、日本の文化史を一望することができます。東洋館では中国や韓国など、アジアの文化財も展示されており、日本美術との関連性も学ぶことができます。各展示室の解説は分かりやすく、初めて日本美術に触れる方でも楽しめる工夫が施されています。
上野動物園は、1882年に開園した日本最古の動物園で、特にジャイアントパンダの展示で知られています。シャンシャン、シンシン、リーリーなど、愛らしいパンダファミリーの様子は多くの来園者の人気を集めています。園内は東園と西園に分かれており、それぞれの動物の生態に合わせた環境が整備されています。ゴリラやライオン、キリンなど、世界中の希少動物たちを間近で観察することができ、動物たちの解説も充実しているため、教育的な価値も高いです。休憩スポットも随所に設けられており、ペースに合わせてゆっくりと園内を巡ることができます。
上野駅から徒歩数分の位置にあるアメ横(アメヤ横丁)は、活気あふれる商店街として知られ、地元の人々や観光客にとって人気のスポットです。この商店街は第二次世界大戦後、闇市として発展した歴史を持ち、現在では約400店もの店舗が軒を連ねています。
アメ横では、新鮮な食材や海外の輸入食品、さらにはファッションアイテムやお土産品まで、さまざまな商品がリーズナブルな価格で手に入ります。特に、魚介類や乾物、スパイスなどの食品が豊富にそろっており、地元の主婦や料理好きの方にも大人気です。市場の中を歩けば、威勢の良い掛け声や値段交渉を楽しむことができるため、独特のエネルギッシュな雰囲気を味わえます。
また、アメ横は食べ歩きスポットとしても見逃せません。串焼きやたこ焼き、ケバブといった多国籍グルメの屋台が点在し、小腹を満たしながら散策を楽しむことができます。特に新鮮なマグロを使った海鮮丼や寿司は観光客に人気で、気軽に本格的な日本の味を堪能することができます。
バリアフリー情報
公園内は舗装された遊歩道があり、ベンチもあちこちに配置されています。館内施設はバリアフリー設計が進んでいます。
鎌倉エリア
アクセスと特徴
歴史深い寺社仏閣と海辺の風景が融合した独特の空気感があり、観光地としての人気が根強いです。
おすすめの観光ポイント
鶴岡八幡宮は、鎌倉を代表する神社として、多くの参拝客を集めています。源頼朝が創建した由緒ある神社で、境内は四季折々の花々で彩られ、特に桜の季節は圧巻です。本殿までは石段がありますが、車椅子やベビーカー用のスロープも設置されており、段差を避けて参拝することが可能です。また、境内の鎌倉国宝館では、貴重な文化財や美術品を鑑賞することができ、雨天時の観光スポットとしても重宝されています。
鎌倉大仏(高徳院)は、鎌倉時代から約750年以上もの間、風雨に耐えて座し続けている国宝です。高さ約11.3メートル、重さ約121トンの青銅製の阿弥陀如来座像は、その荘厳な姿で訪れる人々を魅了し続けています。境内は比較的平坦で、大仏様を様々な角度から拝観することができます。また、大仏殿跡には江戸時代からの石垣が残され、歴史の重みを感じさせます。大仏の胎内拝観も可能で、内部の製造技術を間近で見学することができます。
長谷観音(長谷寺)は、本尊の十一面観音像で知られる古刹です。関東随一の規模を誇る観音堂からは、由比ガ浜の海や街並みを一望することができます。特に紫陽花の季節には境内に約2500株のあじさいが咲き誇り、「あじさい寺」としても親しまれています。境内には、江戸時代に作られた石仏群や、見事な庭園もあり、静かな時間の流れを感じながら散策を楽しむことができます。
小町通りは、鎌倉駅から八幡宮に至る約360メートルの参道で、鎌倉グルメや土産物店が立ち並ぶ人気スポットです。鎌倉彫や鎌倉漆工など、伝統工芸品を扱う老舗から、鎌倉野菜を使用した創作料理店、話題のスイーツ店まで、様々な店舗が軒を連ねています。
通りには休憩できるカフェも多く、買い物の合間に小休止を取ることができます。また、近年は店舗のバリアフリー化も進み、車椅子でも入店しやすい店舗が増えています。午前中や平日は比較的空いているため、ゆっくりと散策を楽しめます。
バリアフリー情報
場所により坂道や階段があるため、事前の経路確認が重要です。鎌倉大仏周辺は比較的バリアフリーに配慮されています。
旅行計画のポイント
事前準備のコツ
快適な旅行のために、まず重要となるのが移動手段の確認です。目的地までの経路を調べる際は、なるべく乗り換えの少ない路線を選び、利用する駅にエレベーターやエスカレーターが設置されているかどうかを事前に確認しておくことが大切です。最近では各鉄道会社のウェブサイトで、駅のバリアフリー設備の詳細が公開されていることが多く、車椅子対応トイレの場所や、段差の有無なども簡単に調べることができます。また、駅員による介助サービスは事前予約が必要な場合もありますので、必要に応じて利用する駅に問い合わせておくとよいでしょう。
各施設のバリアフリー情報の収集も欠かせません。観光地の公式ウェブサイトや観光協会のホームページには、バリアフリーマップが用意されていることが多く、スロープの位置や多目的トイレの場所、車椅子の貸し出しの有無などを確認することができます。特に寺社仏閣など、歴史的建造物を訪れる際は、階段や段差の状況を把握しておくことで、当日のルート選定に役立ちます。
館内マップは可能な限り事前にダウンロードしておくことをおすすめします。特に大規模な商業施設や美術館などでは、エレベーターやエスカレーターの位置、トイレの場所、休憩スペースなどが詳しく記載されています。スマートフォンに保存しておけば、現地でもすぐに確認することができ、効率的な移動が可能になります。
休憩スポットの把握も重要な準備の一つです。観光地周辺のカフェやレストラン、ベンチのある公園など、途中で休憩できる場所を地図上で確認しておきましょう。季節によっては暑さ対策や寒さ対策も必要となるため、空調の整った施設の場所も事前にチェックしておくとよいでしょう。また、最近では観光案内所やホテルのロビーなども、気軽に休憩できるスペースとして開放していることが多く、そうした情報も集めておくと安心です。
観光時の注意点
無理のないスケジュール作成が、快適な観光の鍵となります。一日に詰め込む観光スポットは2~3か所程度に抑え、それぞれの場所でゆっくりと時間を取れるよう余裕を持たせることが大切です。移動時間も含めて、休憩時間を十分に確保することで、体力の消耗を防ぎ、より長く観光を楽しむことができます。特に暑い季節や寒い季節は、天候による体力の消耗も考慮に入れて、より余裕のあるスケジュールを組むことをおすすめします。
おわりに
関東近郊には電車やケーブルカー、ロープウェイ、バス、人力車など、歩かずに移動できる仕組みが思いのほか整備されていて、高齢の方でも安心して旅を楽しめる場所が多々存在します。
本記事を参考に、ぜひご家族でお出かけください。