演劇ユニットunratoがローレン・ガンダーソンの『Silent Sky』を日本で初上演 朝海ひかる、高橋由美子ら出演
2024年10月18日(金)~27日(日)東京・俳優座劇場、11月1日(金)~4日(月・休)大阪・ABCホールにて、演劇ユニット「unrato」がアメリカの劇作家ローレン・ガンダーソンの『Silent Sky』(演出:大河内直子)を上演することが決定した。
本作は1900年代前半に実在した米国の天文学者、ヘンリエッタ・スワン・レヴィットの物語で、日本初演となる。女性には研究者としての地位がなかった時代、ハーバード大学天文台で研究を続け天文学史に残る発見をしたヘンリエッタの生涯をベースに、妹マーガレットとのあたたかなやりとり、同僚たちとの交流など、科学と芸術を融合させた美しい作品。ローレン・ガンダーソンは科学と芸術を題材に多くの作品を書いており、戯曲がアメリカ国内で最も数多く上演された劇作家としても知られている。夫はウィルス学者のネイサン・ウルフで、2021年には彼に取材した新作で話題となった。
地球の外側、遥か遠くにあるものに思いを馳せ、今へと続く女性の位置を開拓していった約100年前の女性たち。彼女たちの姿が、星々のきらめきのように現代に光を放てればと、この舞台を企画しました。
出演は、聡明で几帳面な研究で天文学に大きな足跡を残した主人公・ヘンリエッタに朝海ひかる。音楽を愛しあたたかで家庭的なマーガレットに高橋由美子、ヘンリエッタが勤めるハーバード大学天文台のピッカリング台長の直属の部下、ピーターに松島庄汰、膨大な数の恒星を分類で成果を残し女性の参政権運動家でもあったアニー・キャノンに保坂知寿、家政婦から天文学者となったウィリアミーナ・フレミングに竹下景子と、実力と実績を備えた、信頼する俳優が顔を揃えた。
翻訳は『レオポルトシュタット』など数々の作品で評価を集める広田敦郎。また、NHK連続テレビ小説『らんまん』の音楽も記憶に新しい阿部海太郎が音楽を手がける。翻訳劇の日本初演にふさわしい劇場で、2025年の閉館が発表されている俳優座劇場での上演にも注目しよう。
【あらすじ】
ヘンリエッタ・レヴィットは家族の支えもあり大学卒業後、ケンブリッジにあるハーバード大学天文台で働き始める。しかし、そこでの女性は望遠鏡に触ることもできず、ピッカリング天文台長の指示で星の色や明るさ、スペクトルなど、膨大なデータの処理や集計、分類などの作業を行っていた。ピッカリングのもとには“コンピュータ”と呼ばれる分析や記録作業をする女性の計算手が集められており、ヘンリエッタもその一人だった。
ヘンリエッタはピッカリングの部下のピーター、同僚のアニーやウィリアミーナたちと交流する中、休憩時間も無給で独自の研究を続ける。音楽を愛する妹、マーガレットの支えもあり天文学を追求するヘンリエッタは、科学と芸術を通し、自分の道を模索しながら、大きな研究成果を残していく。
出演者コメント
■朝海ひかる
この度、ヘンリエッタ・レヴィットを演じます。私自身、天文学にはとても疎いのですが、ヘンリエッタを通じて宇宙の素晴らしさをこの機会に学べたらと思っております。1900年代初頭、女性が思い通りの職業に就く事が叶わなかった時代の登場人物達の奮闘にも胸を熱くするこの戯曲。是非一人でも多くのお客様にご覧いただけます様、登場人物に負けない様に私達も頑張って参りたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
■高橋由美子
今回は女性が大多数を占めるお芝居で、妹役というのは初めてだと思います。姉・ヘンリエッタの熱い想いに振り回されながらも彼女の生き方に賛同し、それぞれの人生を闘っていく・・・。
「私が本当にやりたかった事は?」 まさに今50歳を迎え、色々な経験と体験を重ねて来た自分自身に問いかけていました。今回のお芝居を通して見つけることが出来たらいいなあ、と期待をしつつ、周りの皆様の足を引っ張らない様に頑張ります。
■松島庄汰
unratoは原作をそのままに、空気までも生き返らせる挑戦を毎公演されていると思ってます。でも、そこには確かに今に通ずるものがある。経験と実力のある共演者の方々に囲まれて、日本初演という名に恥じぬよう、板の上で生きたいと思います。僕が初舞台を踏んだ思い出のある俳優座劇場。閉館前に立てることが幸せでもあり、寂しくもあります。皆様、劇場でお待ちしております。
■保坂知寿
『Silent Sky』に参加させて頂きます。unratoさんとは、これまで3作、ご一緒させて頂きました。その芝居作りには、いい作品に真正面から誠実に、繊細に向き合い、挑んで行く熱がありますし、演出の大河内さんの作り出す生々しくも透明感ある美しい世界が大好きです。今回も素敵な作品を取り上げられました!
初稿の台本を読み、脳内には無限の宇宙が広がり、そこに純粋に果敢に生きる登場人物が、動き出しています。また、新たな世界を勉強し、模索しながら紡いでいく日々が今から楽しみです。そして、今回、キャストの皆様は初めてご一緒させて頂く方ばかりです。この偶然の出会いに感謝しながら素敵な時間を過ごせたらと思っています。
■竹下景子
「なんて美しい戯曲」と思いました。星に彩られた世界です。と同時に、信念を持ってまっすぐに進むヘンリエッタに勇気をもらいました。激動の時代ゆえに、ヘンリエッタは果敢に生きたのかとも思います。私は彼女の同僚ウィリアミーナを演じます。スコットランド系。「癇癪持ち」で茶目っけとユーモアを忘れない。辛い時こそ笑顔を見せる深い懐の持ち主。ヒナを守る母鳥のようなウィリアミーナが大好きです。みずみずしく演じたいと思っています。
■演出 大河内直子 コメント
「苦難の日々には、何か地球の外側にあるもの、何か卓越した遠くにあるものを慰みとするのがよい」
この戯曲の前書きにあるアニー・ジャンプ・キャノンの言葉が、きっかけで読み始めた作品でした。
女性の働く地位がまだ確立されていなかった時代に天文学の世界を切り拓いたヘンリエッタたち。
彼女たちを軸に、各々の生き方がいきいきと描かれています。
1900年代初頭に生きた彼女たちの信念と浪漫が、現在に生きるわたしたちの生命の力を目覚めさせてくれますように。
敬愛するキャストとスタッフによって素晴らしいチームが生まれました。劇場でお待ちしています!