大妻女子大学 学生が高齢者見守り 民生委員の欠員受け
多摩市は現在、大妻女子大学と連携し、民生委員の欠員地区で大学生による高齢者の見守り、訪問活動を期間限定で実施している。民生委員の欠員を学生という地域の力でカバーし、新たな見守り体制の構築をめざす狙いがある。
厚生労働大臣から委嘱を受け、ボランティアで住民の見守りや相談活動を行う民生委員と児童委員。担当する地域の身近な相談相手として、さまざまな活動を行っている。支援内容は多岐にわたり、介護や医療の悩み、地域・子育ての不安、生活困窮の不安など福祉に関する相談、行政などとの連携を行い、地域行事といったものにも参加している。
全国的に不足
しかし、全国的になり手不足が進んでおり、一人あたりの世帯数をもとに算出した定数に満たない自治体が増えている。都内でも不足しているところがほとんどだ。多摩市(4地区で構成)でも定数104人に対して71人(2024年4月1日時点)と定員割れしており、欠員地区もニュータウンエリアを中心に複数ある。
今回、このような課題を克服しようと、市が同大学と連携して始めたのが「多摩市民生・児童委員友愛フレンズ事業」だ。同大学人間関係学部人間福祉学科の飛田和樹専任講師と飛田専任講師のゼミ生6人が参加している。対象学生は「多摩市民生委員友愛フレンズ」として登録し、月1回程度の見守り活動を実施。昨年12月から行われ、今年の3月まで訪問する。
認知度向上へ
飛田専任講師は「災害時には地域の住民同士の支えあいが必要不可欠であることは全国的に同じこと。多摩市はニュータウンをかかえ高齢化率が高い、そういう課題のある地域では、今後(災害時に)どうしていけばいいか考えるのが重要なこと。学生が活動することで民生委員をサポートすることができ、学生にとってもこの経験が貴重な財産になる。今回の活動を通して地域の方に民生委員という制度を知ってもらういい機会になるのでは」と話した。
見守り活動の対象者は欠員地区に住む75歳以上の単身世帯で、3人1組での訪問を原則にしている。対象世帯は永山1・2丁目などの7世帯となっている。
地域の課題解決に
活動に参加した学生らは「友愛フレンズ事業に3人一組で取り組んだ。実際に訪問してみると様々な状況の方がいることを知った。実習で学ぶこととは違い、地域の方々と直接かかわることでリアルな現状や地域の課題が見えてくることも大きな学びとなった」「活動では新しい発見がありました。私たち学生だからできるコミュニケーションがあることを改めて感じた。若い世代が訪問することで高齢者の方も刺激を受けたり、楽しんでもらえたりしていると思った。地域の方々や民生委員の方々のためになっているとしたらうれしい」などと振り返った。
多摩市民生委員協議会の小山貞子代表会長は「民生委員一人あたりの負担は増加している現状。欠員地区をほかの民生委員でカバーするのは難しい。今回学生にご協力いただき、大学生が訪問することで地域の方が話しやすい雰囲気だったと思います。今回の実施結果をふまえて今後の展開も改めて検討していきたい。若い方を中心に新たな担い手が増えてくれたら」と今後の展望を述べた。