「夏の釣りのイメージあるけれど・・」冬もシロギス投げ釣りを楽しもう【時期ごとの釣り方を解説】
投げ釣りの人気ターゲットのシロギス。近年は温暖化の影響か、釣期も長続きする傾向があり、冬でも十分狙えるターゲットだ。今回は冬のシロギスの時期ごとの狙い方と実釣の模様をレポートする。
冬のシロギス投げ釣り
なかなか釣りに行けない時、30~40年前の釣り雑誌や釣り場ガイドのバックナンバーに目をやることがある。当時の釣りの世界では今よりも投げ釣り熱が高く、結構投げ釣りの記事が目に入る。冬場はカレイやアイナメ狙いの記事が多いが、中には越冬ギスを狙った釣行記もちらほら見られる。冬場でもキスを狙うことは可能である。
さらにここ数年、冬季の海水温が高めに推移する傾向にあることは確かで、それが温暖化の表れと見ることができるかどうかはわからないが、暖かい海域を好むキスを狙う場合に、悪い条件であるはずがない。当時と比べ、竿やリールは言うに及ばず、ラインや天秤、針などすべてのタックルが進化していることも考えれば、キスの釣期も昔と比べ確実に長くなったといえるのではないだろうか。
冬シロギス釣りの時期
初冬から真冬まで時期ごとのシロギスの狙い方を紹介する。
12月中旬から1月初旬
この時期、近畿南部の太平洋岸や四国の東南部、神奈川西部から静岡県など黒潮の影響を受ける暖地では、まだ水温が16~17℃を保っているところも多い。投げてみれば実感できると思うが、回収した錘や釣った魚は暖かい。
夏から秋のような高活性ではないものの、投げ釣りの実釣エリア内にかなりキスはいるし、漁港内の砂泥底などでもチョイ投げで充分チャンスがある。
木枯らしが吹いても海の中はまだ秋、冬場の中では最もチャンスが多い、逆に言えばボーズになりにくい時期でもある。うまく落ちギスに遭遇できればウハウハであるし、夏場のような他魚のエサ取りも少なくなってくるので結構釣りやすい。
1月中旬から2月初頭
寒さも本格的になってくるが、良い日並みと潮回りに恵まれれば、2ケタ釣果もまだ充分可能な時期である。
ただ正月までの時期と比べ、ややポイントが限られてくる。浅場にはキスは少なくなり、その周辺でやや水深のある場所や、大きな川の河口部でも日当たりが良くて常に風裏になる場所などに集まってくるのではないかと思われる。
この時期は水温が低下していく時期であり、強い寒波が襲来した直後などはいくら好天でも、活性は大きく低下する。暖かい日が数日続いた後に釣行できればベストだ。
2月中旬から3月上旬
年間で水温が最も低くなる時期だけに、2月初旬までにくらべると、とてもシビアな釣りになってくる。冬場キスが釣れる定番のポイントであってもキスの動きは鈍く、超スローにさびいてカケアガリをゆっくり引いている時や、少し止めてじわっとサビキ始めたときに、一瞬モゾッという感じで来ることが多い。
少し止めて竿を軽く持って様子を見ても、次の魚信がくるまでにかなり時間を要する時もある。陸上では桜が咲き始めたり、暖かくなってきているが、そのギャップに驚くばかりである。数はうんと少なくなるが、キスを手にした時の喜びは大きなものがある。
12月22日に紀ノ川河口に実釣
前日の夜から午前中は木枯らしが強く、時々あられも混じるとても寒い日であったが、水温の安定する午後2時半から、紀ノ川の右岸、河口大橋の橋脚の上流側から投げる。
竿はスカイキャスター33号405、道糸はPE0.6号+力糸、オモリはズーム天秤の24号に砂ズリ代わりにナイロン3号の単糸50cmを直結し、先に自動ハリス止めを介してスーパーキス6号の4本針の仕掛けをつないだ。
5色半程投げて少しさびくと早速キスの魚信が、1投目は13cmクラスの2点だった。その後、単発も多かったが、釣れてくる魚体は暖かく、魚信も結構明瞭である。
主に4色ゾーン以上で魚信が多く、5~6色ゾーンでは、落ちギスサイズも混じった。ハリのサイズを小さくすればもう少しアタリを釣果に結びつけることができた可能性もあるが、結構早くさびいてもキスが食ってきたので、活性はまだ高かったといえる。この日は5時過ぎまで釣って、キス19cmまでを13匹。他魚はほとんどこなかった。
12月29日&1月5日田ノ浦漁港チョイ投げ編
12月29日、先週の紀ノ川河口の釣りが短時間ながら楽しめ、キスの活性も高かったことから、チョイ投げでもまだ可能性があるのではないかと考え、早速チョイ投げキスにチャレンジ。ポイントは北風の風裏になる田ノ浦漁港を選んだ。
縁起かつぎに天ぷらうどんの昼食を食べた後、午後2時半ごろから釣り始める。寒さと風のせいか、漁港全体でも数人のアングラーが見えるだけで釣り場はガラ空き状態である。竿は改造ルアーロッドの10ftに中型投げ専用リール、PEライン0.8号+力糸、半遊動天秤木オモリ10号を付け、砂ズリ代わりにナイロン3号40cmを天秤のアームに直結、やはり自動ハリス止めを介してスーパーキス6号の2本針をつないだ。
ワンドの中を60~70m投げてゆっくり引くと、かなりはっきりしたキスの魚信、1投目は13cmクラスの2点だった。その後、寒かったがキスは順調にアタリを見せ、小型中心ながら5時に終了した時、クーラーのキスを数えると22匹。年末チョイ投げを好成績で終了することができた。
年末に短時間で好釣果だったことから、まだ水温が高めであると判断、明けて5日も夕方2時間程チョイ投げで試したところ、1投目からいきなり18cmクラスの落ちギスサイズの2点、驚かされた。下げ潮周りであったが、その後ぽつぽつとアタリを拾い、3時間ほどでキス7匹。終了直前にキスとは違うゴツゴツした魚信に驚く。フグかと思ったが、なんと18cmのヒネハゼ。しばらくこのサイズのハゼを見ていなかったのでなんだか嬉しくなった。
今後の見通し
お正月くらいまでは、数は徐々に減ってくるが、まだまだキスと接近遭遇できるチャンスが多い。2月、3月に狙えるポイントは、どちらかというと黒潮の分枝流に近いところ、和歌山県下でいうと御坊以南に移行すると思う。これから3月にかけても釣行を予定しているので、トピックがあればまたレポートする予定です。
冬シロギスの面白さ
年内からお正月位までは、キスはまだまだ投げで届く範囲に結構いる。にもかかわらず寒くなってくると釣り場も空いてくるので、遠近、結構広く探ることができるのも魅力である。また、チョイ投げというと初夏から夏のイメージがあるが、この時期も意外性のある釣りができる。できるだけ風裏になる暖かい場所を選ぶのが一つのポイントといえる。
年明けでもポイントによってはまだチャンスがあるので、初釣りをキスでというのも面白い。2月、3月になるとアタリも少なくなり、かなり厳しくなってくる。置き竿で狙う方法もあるが、竿1本で探って付き場を探すような、アクティブな釣り方の方に私自身はより興味を惹かれる。
また、水温が低下すると、ポイントによっては遠くに魚が付くことも多い。遠投力に優れたキャスターが本当にパワーを発揮されるのはこの時期であるような気がする。
水温が本格的に下がってくるとアタリ自体も少なく、小さくなるがサビキ方を工夫したり、遠近広く投げて探ったり、そんななかでキスとうまく接近遭遇できたら、面白さが一層感じられるのではないだろうか。
<牧野博/TSURINEWSライター>