ウソの「床下工事」で5700万円詐取…準暴力団「打越スペクター」ダマしの手口
「基礎にひびがある。今すぐ工事をしないと家が傾き、大ごとになります」
そんなだまし文句で訪問先の住人の不安をあおり、代金をだまし取ろうとしていた準暴力団「打越スペクター」の実質トップで、リフォーム詐欺を繰り返していた業者の経営者、斎藤竜実容疑者(35)が詐欺未遂の疑いで警視庁暴力団対策課に逮捕された。
斎藤容疑者は仲間と共謀し「三洋」「三農」など複数のリフォーム業者を名乗り、社名や社員を入れ替えながら同様の手口で床下工事の契約を結ばせていた。昨年3月までの約2年半の間に、1都5県の約100人から工事代金計5700万円を詐取していたとみられる。斎藤容疑者はリフォーム工事の契約全般を統括していた。
「点検商法」の生みの親とされる「スーパーサラリーマン清水」と名乗る男が今月10日に逮捕されたが、清水と斎藤容疑者らに接点はなく、スーパーサラリーマンは「屋根工事」なのに対し、打越スペクターは「床下工事」だった。
その手口はこうだ。
<以前、お宅の工事をさせていただいたものですが、その後いかがでしょうか>と、さも過去に工事を請け負ったことがあるように装い、<時間が空いたので、無料で点検させていただきます>と高齢者を中心にアポ電をかけて、自宅を訪問。
自宅に上がり込むと、<あー、これダメですね><床下の木部もズレており、これも今すぐ補強工事しないと家が傾きます><床下の湿気がすごいので、放置すると木が腐って崩れます><害獣駆除の工事をウチが引き継ぎました。前の工事から日が経ち、シロアリがいるので駆除しないとダメです>などとたたみかけ、不必要な工事を持ちかけていた。
■特殊詐欺との二刀流
「打越スペクターはもともと東京・八王子を拠点とする暴走族で、年齢を重ね、引退した元メンバーが半グレ化した。『三洋』『三農』は会社としての実態がなく、登記もしていません。斎藤はリフォーム詐欺がメインで、他のメンバーは主に特殊詐欺を繰り返し、だまし取った金はスペクターの資金源になっていた。昨年7月、メンバー4人がリフォーム詐欺で逮捕されたが、そのうち2人は特殊詐欺事件にも関わっていた。どちらも高齢者をターゲットとすることから、同じ高齢者の名簿が使われていた可能性もある」(捜査事情通)
このところ「点検商法」で工事代金をだまし取る悪質業者の摘発が相次いでいるが、戸建てに住む高齢者を狙う詐欺グループは、まだまだ全国で暗躍している。