数年ぶりに「大戸屋」に行ったら時代が大戸屋に追いついていた / コスパ悪いイメージが一転した理由
有名だけど足を踏み入れないチェーンってのは人それぞれあると思う。私(中澤)の場合、それが大戸屋だ。数年に1回、ちょうど良い店がなくて入ることはあるけど、あまり「また来よう」という気分にならないのだ。
ちょっと高い割に……そういういまいちさを感じてしまう。要するにコスパが悪い。だが、今回また数年ぶりに訪れてみたところ、なんかちょっと感触が違った。なぜだろう?
・大戸屋の印象
前回行ったのは2021年だった。と、そう言い切れるくらいには覚えている。たまにしか行かなさすぎるゆえに、印象が強く残っているのだ。
で、ずっと変わらない大戸屋のパブリックイメージとして、「ちょっと高めだけど質も比較的高め」というものがある。しかしながら、今まで私は値段相応の満足感を大戸屋で味わったことがない。前回においても、やよい軒派であることを再確認したにすぎなかった。
夕飯時に行ったのに客も私含めて2人だったので、「よくこれで潰れないなあ」と思ったことも覚えている。ただ、今回、代々木駅前店を通りかかったところ、そこそこ人が入っているのが外から見えた。
・入店してみたところ
昼時だし、並ぶというほどでもなかったので入店してみたところ、店内はもうちょっとで満席という感じ。8割くらい埋まっている。立地なんだろうか? でも、駅前とは言え、ここは裏通りだし、表通りにも飲食店は多い。微妙に大戸屋のイメージとの違いを感じながら、メニューを見てみると……
安めのメニューがある!
メニュー名は「大戸屋ランチ(税込930円)」。冷静に考えると安めというほどでもないんだけど、定食ランチ1000円超えが普通になりつつある今においてはちょい安めに感じる。松屋のハンバーグ定食が余裕で1000円超えしていることを考えると、大戸屋は平均1500円くらいになっていてもおかしくないイメージなのだ。だがしかし……
大戸屋風チキン南蛮定食(税込990円)、もろみチキンの炭火焼き定食(税込990円)、チキンかあさん煮定食(税込990円)など、ギリ耐えているメニューが意外と多い。まさか大戸屋が耐えているとは。
・しっかりした量
そんなわけで大戸屋ランチの定食増量(税込1090円)を注文してみたところ、出てきた皿には竜田揚げ6個とカボチャコロッケが乗っていた。
まず、コロッケがカボチャというのが独り身としては嬉しいところ。サイドもキャベツだけでなく小鉢が乗っていて皿をフルに使っている。
食べてみると、衣がカリカリで「揚げ物食ってるなー!」って感じがした。しっかり食べられる分量だと言えるだろう。定食にはソースがついていて、卓上にも醤油、ごま塩、七味が用意されているところは、味変の幅が広い。特に七味は2種類あるところにちょっとしたこだわりを感じる。
・小鉢に衝撃
さらに、小鉢は金柑の甘露煮だろうか? スイーツ的なポジションのちょっとしたものがついているのもまた良し。そう思いながら、最後に残しておいた小鉢を食べてみたところ……
卵黄の醤油漬けだった。
最初にご飯にぶっかけるべきだったァァァアアア!
それにしても、安めの定食でただの卵より手間がかかる卵黄の醤油漬けがついてくるのはなかなかである。というわけで、大戸屋経験値の低さが出てしまう局面もあったものの、悪くない満足感を得られた。むしろ、なかなかいいじゃないか。おかずで言うとやよい軒より満足度は高い。
4年ぶりに来てみたら満足度が上がっていた大戸屋。これは周りの状況ももちろん関係あるだろう。今のインフレはもはや数字の安さを捨てて満足度を重視するより他ない状態。
そんな全体の激流の中で大戸屋の定食を見るとちょうどよく感じる。もちろん大戸屋も値上げしているのだが、内容と価格だけ見た時のバランスが良いのだ。店を出る時には客はもっと増えていたし、これは時代が大戸屋に追いついたと言えるのではないだろうか。
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.