《市民病院医療事故多発》いまだ明らかにされない事故原因と再発防止策 事故調報告書「作成していない」
赤穂市民病院の脳神経外科手術で2019年から20年にかけて発生した医療事故をめぐり、同病院の院内医療事故調査委員会(事故調)が事故調査報告書を作成していないことが病院への取材でわかった。
一連の医療事故から5年以上が経過してもなお、事故の原因と再発防止策が明らかにされない状況が続いている。
同病院の医療安全実施要項(当時)によれば、事故調はレベル4b〜5(機能障害などを伴う永続的な後遺症〜死亡)に該当する医療事故が発生した場合、院長の指示で設置し、院長、副院長、医療安全推進室長などのメンバーで事故の原因究明と再発防止策を検討することになっていた。開催時期の取り決めはなく、実際に委員会が開かれたのは一連の事故から約2年が経過した22年2月24日と3月11日だった。
赤穂民報が病院に事故調の報告書の開示を求めたところ、病院は「当該文書を作成していない」と回答。その理由を「医療安全実施要項では、『医療事故調査報告書』の作成規定がないため」(医療課)とした。「事故調において、事故原因の究明や再発防止策の検討を行った」としながらも、「その内容は公表していない」として明らかにしなかった。
病院は一連の医療事故を受けて22年3月に医療安全実施要項を改訂。事故調の設置対象をレベル3b(濃厚な処置や治療の必要性)の医療事故まで拡大したが、開催時期の取り決めや報告書の作成規定は変わらず記載がない。