「虹のふもとは永遠にたどり着けない」理由を気象の専門家・荒木健太郎さんが解説
私たちにとって身近な空や雲、天気ですが、実は分からないこともたくさんありますよね。そんな空や天気の素朴な疑問に、雲研究者の荒木健太郎さんが優しく答えてくれているのが、書籍『空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑 』(KADOKAWA)です。荒木さんは、話題の映画やドラマで気象監修を務めた、まさに空のスペシャリスト。雲はもちろん、雨、雪、虹、そして時には驚異となる台風や竜巻まで、空にまつわる面白くて、知っておくと役に立つお話を、わかりやすく解説してくれます。読み進めるうちに、何気なく見上げていた空が、ぐっと身近に感じられるようになるでしょう。
※本記事は荒木健太郎著の書籍『空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑』から一部抜粋・編集しました。
虹のふもとには永遠にたどりつけない
「虹のふもとに行ってみたい!」。そう思ったこと、ありませんか?しかし残念ながら、虹のふもとにたどりつくことはできません。
虹は、対日点を中心に丸いかたちをしています。ある方向の地平線からちょうど反対側の地平線までを180度としたときの空の見かけ上の大きさを視角度といい、主虹と副虹は対日点からそれぞれ視角度で42度、50度の位置に現れます。空を眺めている場所から見える虹の位置はどこにいても変わらないので、虹をいくら追いかけても、虹に近づくことができないのです。そのため、虹のふもとにはたどりつけず、虹をくぐったりすることもできません。これは朝や夕方に太陽を背にしてできた自分の影に追いつけないのと同じです。
とはいえ、虹のふもとの風景を絶対に見られないわけではありません。最近のデジタルカメラやスマホのカメラは高倍率でズームして撮影できます。美しい虹のふもとの景色にズームインしてみましょう。
虹のかかる街をズームで撮影すると、こんなにも美しい光景が......。
主虹の内側にできた過剰虹
はっきりとした明るい主虹の内側(紫側)や、副虹の外側には、何色も重なったような虹色の過剰虹(干渉縞)が見えることがある。
豆知識
はっきりと見える明るい主虹の内側(紫側)や、副虹の外側には、何色も重なったような虹色の過剰虹(干渉縞)が見えることがあります。明るい虹を見かけたときには、よく見て探してみましょう。