祝20回! 10.2(とうに)「唐丹の日」大会 住民の連帯、地域の誇り胸に住みよいまちを後世に
10月2日を数字の語呂合わせで「唐丹(とうに)の日」とする釜石市唐丹町。「地域の安全について考え、一人一人が今できることを」と、唐丹駐在所連絡協議会の呼びかけで2003年に始まった地域の日にちなみ、今年も地域安全大会が開かれた。東日本大震災やコロナ禍を経て、住民の連帯意識をより強めてきた同町。大会は20回目を迎え、住民らは安全で快適な生活ができるまちを後世につなごうと、さらなる結束を誓い合った。
同大会は4日、唐丹小・中体育館で開かれ、地域住民ら約150人が集まった。同協議会前会長の下村恵寿さん、今年度から会長を務める佐々木孝さんがあいさつ。釜石警察署唐丹駐在所の髙田敏宏所長が防犯、交通安全講話を行った。髙田所長は増え続ける特殊詐欺被害に関し、「+(プラス)から始まる電話番号は海外を拠点とする詐欺グループの可能性が高い。最近は警察や裁判所、市役所を名乗り、個人情報を聞き出そうとする手口も多い。そうした電話には出ない、出てしまってもすぐに切る」よう注意を促した。また、県内の交通死亡事故が多発している現状を示し、「速度超過、車間距離には特にも気を付けて」と安全運転を呼びかけた。
唐丹中3年の齊藤瑛飛斗さんは「わたしの主張釜石地区大会」で最優秀賞を受賞した弁論を発表した。保育園時代、いつも一緒に遊んでいた親友を病気で亡くした経験、唐丹小、中で得たかけがえのない仲間との信頼関係について語り、「今、私たちに親友がいることは決して当たり前ではない。事故や災害で、ある日突然いなくなってしまうかもしれない。今いる親友を大切にしてください。感謝の気持ちを伝えてください。『親友でいてくれてありがとう』と」。住民らは齊藤さんの思いを受け止め、大きな拍手を送った。大会では唐丹中(生徒27人)の金野学校長、唐丹小(児童38人)の三浦栄一副校長から、生徒、児童の近況も伝えられた。
会場では唐丹公民館まつりも同時開催された。同館などで活動する15の自主グループの紹介、手芸などの作品展示、日本女子大学生と住民が行ったワークショップ「唐丹 三世代の遊び場」の展示などがあり、来場者が地域活動への理解を深めた。産直や地元農家の販売、キッチンカーの出店も。
講話の後は住民お待ちかねの郷土芸能の披露。今や市内外のイベントに引っ張りだこの同町本郷の「桜舞太鼓」(鼓舞櫻会)が「神楽」「櫻響」「騎馬太鼓」など全5曲を演奏。地元が誇る芸能に盛んな拍手が送られた。過去にも招かれるなど唐丹住民らと深い絆を結ぶ同市鵜住居町出身の民謡歌手、佐野よりこさんは「釜石小唄」「南部俵積唄」「大漁御祝い」など6曲を歌って20回目の大会に華を添えた。
初回から欠かさず足を運ぶ住民の上村年恵さん(77)は「地域の人たちみんなで集まって交流できるのがいい。同じ町内でも遠く離れている人と会えたり…。生活のためになることや地域の現状も知ることができる」と、年に一度の楽しみに顔をほころばす。
佐々木会長(69)は「唐丹の人たちは団結力が強い。困難なことにも協力して立ち向かい、祭りなどでもみんなで地域を盛り上げようとする姿勢が根付いている」と話す。20回目を迎えた同大会もその象徴で、「幅広い年代が集い、人と人とのつながりも生んでいる。今後も続けていければ」と意欲を示した。