自己表現、そして大胆さ — ロールス・ロイスの新たな個性
エンジニアリング、素材、テクノロジー、デザインなど、あらゆる分野で抜きん出た存在感。ロールス・ロイスが手がける「ブラック・バッジ・カリナン・シリーズ Ⅱ」は、新解釈されたラグジュアリー。”もうひとつのカリナン”とよばれるブラック・バッジこそ、SUVの頂点に位置するモデルだ。
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ロールス・ロイス車はまるで男性のスーツだ。用途に応じた選び方がある。セダンの最高峰であるファントムがテールコートなら、SUVのカリナンはモーニングコートだろうか。後者は乗馬のときにも着られるなど、フォーマルさとスポーティさが織り込まれている。
カリナンには、もうひとつの魅力が加わった。2024年登場の「ロールス・ロイス・ブラック・バッジ・カリナン・シリーズⅡ」だ。パーティに着ていきたくなる、しゃれたスーツを連想させる。
2018年にデビューしたカリナンは、ロールス・ロイスの顧客を大きく若返らせたといわれている。
「 (市場では)今日、自己表現、個性、そして大胆さがこれまで以上に求められています。これらがブラック・バッジのコンセプトの中核をなすものです」
ロールス・ロイス・モーター・カーズでデザインディレクションを手がけたアンダース・ウォーミング氏の言葉だ。
24年にカリナンがシリーズⅡになり、同時にブラック・バッジもさらに(いいかんじに)大胆なフェイスリフトを受けた際、「ブラック・バッジというラインの設定も、顧客の平均年齢を引き下げるのに大きく貢献した」と、プロダクトマネジャーから説明を受けたことがある。
たしかに、ブラック・バッジ・カリナン・シリーズⅡは、かなりスタイリッシュだ。カリナン・シリーズⅡ同様、フロントマスクは幾何学的なラインを特徴とする、凝った造型になった。加えて、主要な金属パーツがブラック仕上げとなる。運転席がベストといわれるぐらいドライブがたのしめるカリナンにふさわしい仕様だ。
スピリット・オブ・エクスタシー、パンテオン・グリル、さらにサイドウインドウのサッシュ(窓枠)とアウタードアハンドルなどブライトワークといわれる部分が、職人によって、凝りに凝った仕上げのブラック塗装がほどこされる。ブラック・バッジ・カリナンも各所に変更を受け、もともと持っていた魅力的な要素がさらに拡大した。
内装も同様で、そもそも素材や色の選びは無限に近いほどの自由度があるのに加えて、今回「デュアリティ・ツイル」という模様も仕上げも芸術的なシート素材が追加されている。
これを着こなすように乗れたら、紳士の無上のたのしみになるだろう。