【倉敷市】令和7年春の有隣荘特別公開「有隣荘へようこそ!現代アートでおもてなし」(2025年5月11日まで開催) 〜 壁・天井・畳・雨どいなど修繕後初の一般公開
倉敷が誇る文化施設である大原美術館。
その真正面に、緑色の瓦屋根が特徴的な建物があります。建物の名前は「有隣荘(ゆうりんそう)」。
普段は非公開となっていますが、2025年は春と秋に特別公開されます。
2024年度は改修工事のため特別公開が中止となっていたため、2023年10月以来の特別公開です。
2025年春の有隣荘特別公開のタイトルは「有隣荘へようこそ!現代アートでおもてなし」。足を運んでみました。
有隣荘内は通常、撮影禁止です。今回は特別に撮影許可をいただいています。
「有隣荘」とは
有隣荘は、1928年(昭和3年)に完成した「大原家の旧別邸」です。
本宅は現在の「語らい座 大原本邸」で、当時から歴史的にも由緒ある建物でしたが、どこからでも出入りでき、家族だけの生活空間を持ちにくい状況だったそうです。
そこで、大原孫三郎(おおはら まごさぶろう)は壽惠子(すえこ)夫人を気づかい、家族だけの生活ができる住まいとして、「洋式住宅」の建築を依頼します。
そして、当初の家庭的な洋式住宅から、当時倉敷にはなかった「迎賓館」としての機能が設けられた結果、広い洋間の娯楽室と大規模な和風建築様式を併せ持つ「本格的な邸宅」へ大きく変わりました。
これが現在の有隣荘です。
しかし、建設から100年近く経ち、老朽化が目立ってきました。このため、2024年に改修工事を実施し、壁や天井、畳、雨どいなど、なるべく当時の姿を維持しながら修繕したそうです。
令和7年春の有隣荘特別公開「有隣荘へようこそ!現代アートでおもてなし」
令和7年春の有隣荘特別公開は、「有隣荘へようこそ!現代アートでおもてなし」と題し、改修工事できれいになった有隣荘をお披露目するとともに、現代アーティストの作品を展示しています。
また、今回は瀬戸内国際芸術祭2025の開催にあわせて、「瀬戸芸美術館連携プロジェクト」に参加しており、例年よりも会期が長めになりました。
2019年以降の特別公開については、以下にまとめています。
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2020年春(令和2年)から2022年春(令和4年)までは、新型コロナウイルス感染症の影響で特別公開は中止となりました。
展示作品
展示作品は以下のとおりです。
・福田美蘭《モネの睡蓮》
・福田美蘭《色絵黍文角皿にむらすずめ》
※富本憲吉《色絵黍文角皿》とあわせたユニット作品として
・福田美蘭《馬形土器のリュトンから酒》
※イラン《馬形土器リュトン》とあわせたユニット作品として
・伊庭靖子《UNTITLED》
※洋間に2点
・小沢剛《ベジタブル・ウェポンーばら寿司/倉敷》
※写真・レシピボード
・会田誠《愛ちゃん盆栽(松)》
・会田誠《愛ちゃん盆栽(松)お庭にて》
・山口晃《倉敷金刀比羅圖》
・福田美蘭《雪舟『山水図』》
・渡辺おさむ《Sanctuary 白鳥》
・花澤武夫《ゴールドベルグ(倉敷眺望)》
・福田美蘭《有隣荘の瓦と笹》
・伊庭靖子《UNTITLED》
※和室に1点
会場のようす
それでは、会場のようすを写真中心に簡単に紹介します。
おわりに
企画を担当した大原芸術財団 学芸員の長谷川祐里(はせがわ ゆり)さんは、以下のように語っていました。
長谷川さんの解説
今回洋間・食堂・和室の1階・2階に作品を展示しております。
それぞれのお部屋の特徴を、展示している作品で表現しました。たとえば洋間ですと、ティーカップなど食事をイメージする作品があったり、建設当時に飾られていた作品をオマージュしたような作品が飾られていたりします。
それぞれのお部屋の特徴を楽しみながら、現代の作品も楽しんでいただければと思います。
また、昨年(2024年)改修工事を実施後、初の一般公開となりますので、有隣荘の姿・邸内のようすもご覧ください。
令和7年春の有隣荘特別展示は「2025年4月18日(金)から5月11日(日)」までです。
また、「瀬戸芸美術館連携プロジェクト」として開催されている関係で、すでに秋の特別公開予定も公開されています。
令和7年秋の有隣荘特別公開 森村泰昌展(仮称)
2025年10月7日(火)~ 11月9日(日)
瀬戸内国際芸術祭2025の共通パスポートで一回のみ入場できるそうなので、瀬戸芸に足を運んだ現代アートファンはもちろん、きれいになった有隣荘を見たいかたもぜひ足を運んでみてください。