YOJI BIOMEHANIKAインタビュー! なぜ今、再びVIVAなのか…さらには彼の目に映る令和のシーン、そして若いDJへの提言も
先日、突如アナウンスされた「VIVA」の復活……VIVAとは1990年代後半から2000年代初頭にかけ、シーンに旋風を巻き起こした伝説のパーティで、それを率いていたのは日本が誇る鬼才YOJI BIOMEHANIKA。
独特なルックスとハードなサウンド、圧倒的なオリジナリティで世界を席巻し、DJ MAGの「Top 100 DJs」に度々ランクイン。そのキャリアは四半世紀を超え、今なお「EDC」をはじめとする世界屈指のフェスで活躍する彼がなぜ今VIVAを再起したのか。もちろんファンにとっては歓喜以外ないが、果たしてYOJI BIOMEHANIKAの真意とは……!?
まずは最も気になる部分をストレートに伺いつつ、今回は彼の目に映るダンスミュージックシーンの現状、そして令和に羽ばたく若いDJたちへの提言も。YOJI BIOMEHANIKAが“今”を語る。
EDC LasVegas 2025でプレイ中のYOJI BIOMEHANIKA
――今回、久々のVIVA開催(8月2日(土)@ZEROTOKYO)となりますが、率直に今、再起した理由は?
YOJI BIOMEHANIKA:僕は長年自分の直感に従って生きてきたので『理由は?』と聞かれると『とにかくやるべき時が来たと感じたから……』としか答えようがありません(笑)。
近年、「90s Festival」、「Back To Old Skool」、「Hard Trance Reunion」、「London Hard House Reunion」、そして「Dance Valley」は今年30周年の“Jubilee Edition”を開催するなど、かつて世界が熱狂した90年代中期~00年初期頃のダンス音楽カルチャーに回帰したビッグイベントが世界各地で頻発しています。僕自身、実際にそういったイベントに数多く招聘され、レイヴ・ファッションを身に纏ってエナジティックなサウンドに熱狂するクラウドをステージから見てあの時代を思い出し、当時のムーブメントがいかに素晴らしかったかを再認識しました。
実は、僕は予てよりVIVA開催のチャンスを見計らっていたのですが、そんな背景もあり、今がその時だなと思ったわけです。VIVAとNU-NRG、そしてハニカーが増殖した現象、(また同時期に大阪で開催していたOzaka3000やUltra Pumpin’も同様に) それらは日本のクラブシーンで起きた稀有な“ムーブメント”だと思っています。なので『じゃあ、ここいらで一発やるか!』っていうのがVIVA開催のモチベーションになっていると思います。
――VIVA復活に際して、周囲の反応、SNSなどの反応はどうでしたか?
YOJI BIOMEHANIKA:想像以上に反響が大きくてビックリしましたね。当時をよく知る人達からはREUNIONに歓喜する声、そしてその時代を体験できなかった後世代の人達からは追体験への期待感などを感じますね。また、当時リリースしたアルバムやミックスCDなどをず~っと聴き続けてくれていた人達もたくさんいたようで、それも嬉しい限りですね。
――今回の舞台ZEROTOKYOはVIVAの依代LIQUID ROOMと同じ新宿・歌舞伎町でほぼ同じ場所。このデジャヴ感も往年のファンにとっては感慨深いところだと思いますが、もしかして復活するならZEROTOKYOと思っていたんですか?
YOJI BIOMEHANIKA:先に言いましたが、開催のチャンスを見計らっていたところ、僕のマネージャーがある場面でその話をZEROTOKYOに話してくれて、幸運にも賛同して下さって実現に至ったってところです。おっしゃる通り、ロケーションにはデジャヴ感があるのでいい感じですね。新宿LIQUID ROOMは当時のシーンの聖地でしたからね。
――今回は副題に「-NU-NRG REUNION-」とあり、さらには盟友LAB4との共演。古くからのファンにとっては「NRG ESSENCE」や「TECHNICOLOR NRG SHOW」の頃の再現かと勘繰ってしまいますが……そのあたりどうなんでしょう?
YOJI BIOMEHANIKA:もちろんプレイするのは全て当時の音源です。僕が1996年頃~2002年あたりまでの期間にVIVAでプレイしていたトラックから厳選してプレイします。とにかく、当時のイメージをできる限り再現したいと思っています。
――VIVAの復活は今回限定ですか?それとも今後も続けていくのか、もしくは何かの布石なのでしょうか?
YOJI BIOMEHANIKA:継続は考えていません。僕も随分とジジイになりましたから、今やっとかないともう出来ないかもと。 布石といえば布石かもしれない。まだそれは言いませんけど。
――YOJIさんは今年も世界的なフェス「EDC」や「Dance Valley」に出演するなど現在も第一線で活躍されていますが、今のダンスミュージックシーンについてはどう感じていますか?
YOJI BIOMEHANIKA:音楽的傾向としては、オールドスクールなもの、もしくはクラブミュージックらしさへの回帰が感じられますね。でも、おそらくそれは意図したものではないような。
例えば、若いクリエイター達はシーン黎明期の音源やムーブメントを経験していないにも関わらずTB303、もしくはそれっぽいアシッドベースラインのリフを多用したり、 往年のサンプリングネタやループなどを使っていたり。見方によっては、まるでNU-NRGなものや、まるで古のBELGIUM NEW BEATのようなものをリリースしていたり。 海外ではEarly Hard Trance = Melodic Technoという刺さる見解もありますしね。 時代は変われどミュージックシーンは常に面白いですよ。
――音楽家としては1980年代から活動されていますが、YOJIさんはこの約40年間の日本の音楽、カルチャーシーンの趨勢をどう見ていますか? 成熟しているのか?ガラパコス化しているのか?
YOJI BIOMEHANIKA:日本に限らずガラパゴスな事象はどんな国にでもあると思いますよ、世界標準なんてものはありませんし。 僕は日本の音楽についてはかなり疎いですが、確かに色々と独特ですよね。 僕が知る限りでは、日本のVJは凄いと思いますよ。 研究熱心だし、グラフィックのセンスなんかは世界でもトップクラスじゃないでしょうか。
――これまで“NRG”や“TECH DANCE”など様々なサウンドを提言・体現してきましたが、今のYOJIさんのサウンド・音楽性を一言で表すとなると?
YOJI BIOMEHANIKA:僕は近年、自分自身の音楽と向き合って、ほぼ100%アーティストとして生きていますので 言える事は“This is YOJI BIOMEHANIKA!”ってとこでしょうか。
――令和の若いDJに対する印象は?
YOJI BIOMEHANIKA:「GIANTKILLERZ」1(avex EDMとNicky Rromero主宰レーベルProtocol Recordingsがタッグを組んだ次世代DJ/アーティスト発掘・育成プログラム)に応募してくるようなクリエイティヴマインドを持っている子達にはきっと未来があると思いますね。生きている以上はクリエイティブする事によってアイデンティティを確立してほしい。
――これまで世界を舞台に活躍してきたYOJIさんが考える、日本人DJが世界で活躍するために必要なこととは?
YOJI BIOMEHANIKA:世界で活躍しているのはDJである前にアーティストであって、自身のオリジナルアンセムを何曲も持っていないと。大きなフェスティバルのラインナップを見ればわかるでしょ。どこでもごく少数のローカルDJがサポート役をしていますが、メインの出演者はすべてアーティストですからね。それと、自分の世界観を持っているムーブメントメイカーであれ!
――最後に今後の展望を教えてください。
YOJI BIOMEHANIKA:今年は海外でのショーが多かったのでそのための制作が多かったんですが、落ち着いたらアルバムの制作に取り掛かりたいと思っています。コラボ制作も控えているので楽しみにお待ちいただければ。いつまでもYOJI BIOMEHANIKAとして生きていくのが展望です。
【YOJI BIOMEHANIKA伝説のパーティ「VIVA」復活!】
盟友LAB4をゲストに迎え、8月2日(土)に新宿ZEROTOKYOで「VIVA NU-NRG REUNION」開催!!!!!
https://zerotokyo.jp/event/viva-nu-nrg-reunion0802/
YOJI BIOMEHANIKA
https://yojibiomehanika.net
https://x.com/yojidotdj
https://www.instagram.com/yoji_biomehanika/