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企業データと生成AIを接続、「最も賢い同僚」を仕事中独占できる? MindsDB

TECHBLITZ

企業活動で生じる膨大なデータとLLM(大規模言語モデル)を接続するオープンソースのプラットフォームを開発するMindsDB(本社:米カリフォルニア州)。データの利活用と生成AIの企業での普及という2つの課題は多くの企業が悩むところであるが、同社はその両方を解決しようとしている。共同創業者でCEOのJorge Torres氏は「MindsDBは、『最も賢い同僚』を独占するようなもの」だと語る。MindsDBはビジネスシーンにどのようなインパクトを与えるのだろうか。Jorge Torres氏に聞いた。

<font size=5>目次
膨大な企業データを保護性の高いLLMと接続
創業のきっかけは「SF作家の作品」を読んだこと
日本の有名企業もMindsDBを活用

膨大な企業データを保護性の高いLLMと接続

―MindsDBはどのような課題を解決するスタートアップなのでしょうか。

 MindsDBは、MySQLやOracleといった企業のデータベースやSlackやTeamsなどのコミュニケーションツールとLLMをつなぐ、オープンソースのプラットフォームです。

 企業活動の基盤となるデータと高性能のLLMを組み合わせることで、企業は売り上げ予測や投資、営業・マーケティングなどにおいて、高精度の意思決定を下せるようになります。また、MindsDB上では細かな質問を行うことも可能で、企業の担当者が身を置く環境に合わせて、カスタマイズして利用することも可能です。

 ユースケースとして、VCを例に挙げてみましょう。あるスタートアップに対して投資をするかどうか決める時、VCはCRMデータやCB Insights、ニュース記事などの情報を参考にします。また、その会社の代表者と会談した際のメモや過去の投資歴を示す社内文章などもMindsDB上で学習させることができます。

 こうした膨大な量の情報を下敷きにした上で、VCの担当者はLLMを通して個別の質問もすることができます。最終的に投資の可否を決断する際は、どの情報をどれだけ重要視したか、MindsDB上で表示させることも可能なのです。

 その他にも、日常の業務改善化をMindsDBに尋ねたり、顧客からの質問に対する的確な答えを作ったりすることも可能です。比喩的に表現すれば、MindsDBを日常的な業務に使うことは「最も賢い同僚」を常に自分の側に置いておけるようなものなのです。

 今日の企業の競争力の源泉は、データにあります。昨今はさまざまなデータ自動化ツールが発達したことで、企業活動の際に発生するありとあらゆるデータをリアルタイムで確認することが可能になっています。さらに、LLMの急速な発展は、推論・分析・定量化などの分野において非常に高い能力を持ち始めています。

 一方で、企業の課題としては「膨大なデータとLLMを組み合わせることができなかった」ことにあります。一般ユーザー向けのLLMは企業にとってデータ保護の観点から利用しにくいという問題がありました。MindsDBというプラットフォームはデータの保護を確実に行なっていることに加え、LLMが必要な情報を瞬時に獲得できる仕組みをつくっています。データを自動的にアップロードしても、人間が直接当該データに当たろうとすれば、Google DriveやDropbox、Snowflake、PostgreSQLのデータベースに逐一アクセスしなければならないのとは対照的です。

 MindsDBは現在では、40万件以上の導入があり、毎年オープンソースでの導入は倍増しています。また、企業向けのソリューションでは200万ドルほどの契約も結んでいるのです。

Jorge TorresMindsDBCo-Founder & CEOオーストラリア国立大学で情報システムの修士号を取得。Skillshareでシニアソフトエンジニア、CareJournery(2024年にArcadia Solutionsが買収)で主任エンジニアを歴任。Y Combinatorのプログラムに参加後、2018年2月にMindsDBを共同創業、CEOに就任。現職。

創業のきっかけは「SF作家の作品」を読んだこと

―Torresさんは2018年にMindsDBを創業しました。創業の経緯を教えてください。

 イアン・バンクスというSF作家が書いた「The Player of Games」という本を読んだことがきっかけです。同書の中には「マインズ」と呼ばれる、信じられないくらい賢いAIシステムが登場します。マインズは人間と協力して、とてつもない目標を達成するのですが、私たちは「機械学習とAIが組み合わされば、企業活動は大変革するだろう」と直感しました。

 具体的に動き始めたのは、2012年代にGPUが誕生した時です。その頃から私たちはAIについて学び始め、教師なし学習のシステムが開発されると、私たちも同じようなシステムの開発に取り組みました。

 その時に私たちが直面した最大の課題が「企業のデータソースを、どのようにAIに組み合わせるか」ということでした。そこでこの課題を解決するオープンソースプロジェクトを作ろうと考え、MindsDBを創業した、という流れです。

―2023年から企業はAIを積極的に取り入れ始めていますが、現在のトレンドはどのようなものなのでしょうか。

 近い将来、最終的にほぼ全ての従業員が今よりもはるかに多くの仕事をAIによってこなせるようになるでしょう。現在においても、AI検索とアナリティクスは、人間よりも100倍も1000倍も優れていることがわかっています。もちろん、人間が年を取れば取るほどリスクを恐れるようになるのと同じように、大企業であればあるほどAIを「リスク」と捉え、導入を見送るかもしれない。ただ、AIを導入しないことによるトレードオフはすでに甚大なものになっています。経営幹部にとって、AIとデータの力を自社の戦略にどう組み合わせるかが今日ほど問われている時期はないでしょう。

image : MindsDB HP

日本の有名企業もMindsDBを活用

―日本市場に参入する考えはありますか。

 名前は公表できませんが、数十億ドル規模の売り上げをもつ日本の有名な企業と契約しています。同社のコンサルティング部門で、MindsDBは日常的に使われています。さらに、日本の自動車会社とも話合いを進めていて、製品文章や仕様書などの非構造化データから情報も抽出しようとしています。

 その上で、日本市場へのさらなる進出はマストだと考えています。私たちの使命はAIの力で企業の能力を増強することですが、日本という世界経済の有力なプレイヤーを助けられる余地は大きいと思います。

 また、日本企業との親和性も高いと考えています。特にロボティクスや半導体の製造現場で、異常検知システムにおいて日本はAIを積極的に活用しています。さらに、MindsDBはすでに日本語に対応していることも大きいですね。

―日本企業とのパートナーシップを考えた時、どのような業界と、どんな形態で協業を望んでいますか。

 製造業、特に自動車関連産業がひとつ。さらに金融サービスも私たちの既存顧客が多く存在する業界です。さらに今年からは、ヘルスケア産業への本格的な進出を決めています。

 理想の形態としては、代理店契約でしょうか。というのは、我々は日本市場の専門家と話がしてみたいのです。例えばすでにソフトウエアを販売している代理店や、システム・インテグレータなど、市場の裏表を熟知する人たちと話がしてみたいですね。

従業員数なし

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