「参加できて幸せです」杉咲花の“電話の相手”は、菅田将暉だった!『ミーツ・ザ・ワールド』
芥川賞作家・金原ひとみが歌舞伎町を舞台に描き、「第35回柴田錬三郎賞」を受賞した同名小説を、監督に松居大悟、主演に杉咲花を迎えて映画化。映画『ミーツ・ザ・ワールド』が、全国公開中だ。このたび、菅田将暉が声で出演していることが明らかに。
ある日迷い込んだ“ワンダーランド=歌舞伎町”
歌舞伎町を舞台に、擬人化焼肉漫画「ミート・イズ・マイン」をこよなく愛するも自分のことは好きになれない27歳の主人公の新たな世界との出会いを描いた本作。原作は、「第35回柴田錬三郎賞」を受賞した金原ひとみの同名小説。自著の映画化は、「第130回芥川賞」を受賞したデビュー作「蛇にピアス」以来、17年ぶりとなる。監督を務めるのは、これまで青春という一瞬の輝きを描き、若者から圧倒的な支持を得る松居大悟。初めて“生きること”についての映画に挑み、新境地を開いた。撮影は本作の舞台である歌舞伎町で敢行。この街で生きる人々の居場所をスクリーンに焼き付ける。
主人公の由嘉里を演じるのは、演技力に定評のある杉咲花。擬人化焼肉漫画「ミート・イズ・マイン」の推しカプに全力で愛を注ぐも、自分を好きになれず、仕事と趣味だけで生きていくことへの不安と焦りを感じる等身大の主人公の姿を体現する。由嘉里が歌舞伎町で出会う住人、希死念慮を抱えた美しいキャバ嬢・ライを南琴奈、既婚者で不特定多数から愛されたいホスト・アサヒを板垣李光人、人が死ぬ話ばかりを書いている毒舌な作家・ユキを蒼井優、街に寄り添うBAR「寂寥」店主・オシンを渋川清彦が演じる。歌舞伎町を舞台に新たな世界との出会いを描いた本作は、まさに現代版“不思議の国のアリス”。生きづらさを抱えるすべての人に贈るマスターピースが誕生した。
主人公が望みをたくした“電話の相手”は、菅田将暉!
菅田が演じたのは、希死念慮を抱えたキャバ嬢・ライ(南琴奈)のかつての恋人である鵠沼藤治。自分に新たな世界を見せてくれたライにこれからも生き続けてほしいと強く願う由嘉里(杉咲花)が、ライが今でも想いを寄せる藤治に望みをかけて実家を訪ねるも不在。家族から話を聞いた彼が由嘉里のケータイに電話をかけてきたのだ。ふたりは約6分にわたって電話で話をし、由嘉里はライへの思いや生きることへの渇望を藤治にぶつけ、藤治は自分の思うライについて語る。
菅田が松居大悟監督とタッグを組んだのは、山内泰延による学園ギャグ漫画を松居監督が実写化し、菅田が主演した『男子高校生の日常』以来12年振り。松居監督がとある打ち合わせのためにTopCoatを訪れた際に、そこにたまたまいた菅田と久しぶりに再会したことが大きなきっかけとなったよう。松居監督は、「哀愁を漂わせながら酸いも甘いも呑み込んで第一線で闘っている“ギリギリで生きている感”が藤治と重なったんです。その上で、由嘉里が胸に抱えていた想いをぶつける相手ながら、電話のみでやり取りする役どころになるので、圧倒的に芝居が上手い人にお願いしたいと思い、菅田くんに“現代の生きづらさを代弁してもらえないか”とオファーしました」と、オファーの理由を語る。
菅田は声のみの出演となったが、事前に松居監督と何度か電話ですり合わせをした上で撮影現場に足を運び、実際に電話から聞こえてくる由嘉里の言葉を聞きながらの収録となった。さらに、藤治としての衣装も用意され、それを着用して撮影に挑んだ。
菅田は、今回の出演を振り返り、「杉咲さんの声を聞いた瞬間に、これまでの由嘉里の日々がものすごいエネルギーで入ってきたのを覚えています。松居監督たちと作り上げてきた時間が流れ込んできた気がして、震えました。ほんとにその1秒で、素敵な現場なんだなと感じました。瑞々しく脂っこい登場人物たち、吐き出すように貪る焼肉。ずっとよくわからない自分。香ばしい思い出も愛しく感じてくる映画だと思います。参加できて幸せです」とコメントを寄せた。
『ミーツ・ザ・ワールド』は全国公開中