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androp、15周年の感謝と愛、決意を真っ直ぐに伝えるアルバム『hooray』をドロップ「ここまでやってこれた感謝を伝えたい」

SPICE

androp 内澤崇仁

今年CDデビュー15周年を迎え、アニバーサリーイヤーを突き進むandropが12月11日(水)に最新アルバム『hooray』をリリースした。「フレーフレー」と、聴く者にエールを贈るような今作は、これまで支えてくれたすべての人々への感謝と愛、これからも共に歩んでいくための決意が込められた、まさに15周年にふさわしい1枚。年明け1月11日(土)には15周年を締め括る集大成のライブ『androp -15th. Anniversary Special Live-』を東京 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で行う彼ら。今回SPICEでは、アルバムを中心に「感謝の気持ちが増えた」と語るこの1年の活動について内澤崇仁(Vo.Gt)に話を聞いた。

●野外フェスをするバンドになっているとは思ってなかった

androp 内澤崇仁

ーー10月12日(土)~14日(月・祝)に東京の海の森公園 森づくりエリアにて開催された『TOKYO ISLAND 2024』の3日目は、「androp 15th Anniversary day」としてジャックし、andropの15周年をフェス全体でお祝いされていました。終えてみていかがですか?

1年半前から準備をしていたんですけど、色んなアーティストの方に出ていただいて、準備したものを無事にしっかり終えることができてホッとしました。ホッとしすぎて、僕、次の日熱が出ました。

ーーえ!?

2〜3日寝込みましたね。僕だけかなと思ったら、ドラムの伊藤(彬彦/Dr)も寝込んでました。相当疲れてたんだと思います。

ーー一生懸命走ってこられたからなのでしょうね。11月1日(金)には15周年ツアー『15th. Anniversary tour』もファイナルを大阪・BIGCATで終えられて。4人でのツアーは振り返ってみてどうでしたか?

サポートなしで4人で廻るのが7年ぶりで、7年ぶりに行ったライブハウスもあったりして。自分の地元の青森もそうなんですけど、そういう場所でもう1度4人で音を鳴らして、直接お客さんに音を届けることができたのはすごく嬉しかったです。特に最終日の大阪は、2011年の僕らの初めての全国ツアーの初日もBIGCATだったので、15周年の集大成のツアーのファイナルをBIGCATでできて、感慨深いものがありましたね。

ーー「Toast」の乾杯の時、みなさんのお顔が本当に輝いていて印象的でした。

デビュー時は顔も名前すらも出してなかったのに、15年で野外フェスをやって乾杯の曲ができて、ステージ上で乾杯できるようになるバンドになっているとは思ってなかったです(笑)。

●聴いてくれる方が前向きになれる音楽を作りたい

androp 内澤崇仁

ーーアルバム『hooray』は全ての人々への感謝と、これからも歩んでいくための決意を込めた作品ということです。前作『gravity』(2023年8月)以降、どういうふうに進んでこられたのですか?

自分の中で『hooray』が始まったなと感じたのが、1stアルバム『anew』(2009年12月)に入ってる「Image Word」を再レコーディングした頃でした。「Image Word(New Recording Ver.)」をリリースしたのが2023年の12月16日だったんです。8月に『gravity』を出してすぐレコーディングに進んでいったので、あまり前作から時間を置かずに次のアルバムがスタートした感覚です。

ーー『gravity』の次で「h」から始まる単語というのはあったと思いますが、アルバムタイトルを『hooray』にされたのは?

自分の中では15年を総括するアルバムというよりは、15年やってこられたのも聴いてくれる人がいるからだと思っているので、その方に感謝を伝えられるアルバムにしたいなと。それで「フレーフレー」と応援するような語源の言葉がいいなと思い、タイトルにしました。あと聴いてくれる方が前向きになれる、生活の中でプラスになる音楽を作りたいという想いがあったので、そういうコンセプトのアルバムにしました。

ーー感謝の気持ちは、年々大きくなっていくものですか?

はじめは「どんな人が聴いてくれてるのか、どういうライブにするか、ライブにどんなお客さんが来てくれるのか」という感じでした。15年続けてきてお客さんの顔を色々見てきて、すごい景色も見させてもらい、ライブ以外にも色んな方の力を借りて助けてもらっています。本当に関わる人が増えて、感謝の気持ちもすごくたくさん増えました。

ーーそういう意味では、本当にストレートな作品になったのですね。

そうですね。素直な言葉を入れたかったです。難しい言葉を使ってライブで聴き逃される言葉より、分かりやすくて伝えやすい言葉や、寄り添える言葉がいいなと思って、そういう言葉を敢えてたくさん選んで作ってきました。

ーー寄り添ってくれる楽曲と、愛が詰まった楽曲ですね。

愛、多いと思います今回。「好き」とか「愛してる」とか「愛す」とか。そういう言葉は15年前だったら言えてなかったし、使っていなかった言葉ばかり。それも歌にできるようになったんだなと改めて思いました。今作が1番そういう言葉が多い気がします。

●サウンドチェックもしつつ、お客さんも煽れたらいいな

androp 内澤崇仁

ーー1曲目の「Sound Check」のMVは、BIGCATファイナルでの映像でした。あれはライブ前に撮られたものですか?

ライブ前に時間がない中で撮りました。ライブのサウンドチェックも兼ねて、「Sound Check」を演奏しています(笑)。楽器隊がサウンドチェックで使う音を入れていて、ライブでも本当にできるような構成にしています。

ーーそもそも「Sound Check」という曲を作ろうと思ったキッカケは?

15周年で色々準備していたのがキッカケかもしれないですね。「準備してることが次に繋がっているんだ」というイメージを自分たちと重ねる部分があって、そういう曲を作りたいなと思ったのと、フェスやイベントで本番前にサウンドチェックする曲があったら面白いなと。前々から構想はしてたんですけど、今回ようやくできました。

ーーサウンドチェックの時は楽器の状態も見られていると思いますが、どういうことを考えておられるんですか。

バンドは楽器の状態と音の大きさ、ソロの時の音量感が適切か、エフェクターのディレイタイムが合ってるかどうか、ドラムだったらちゃんと鳴るか、というのをやっています。同期(音源)がある場合は、その音に対して合わせることをしなければならないので音量感を外で調整したり、タムがやけに膨らんでいないかバランスをみたり、僕たちだけではなくてPAさんもチェックできるようにしています。フェスとかでお客様の前でチェックするときは意外と毎回「何の曲やる?」と悩みがちではあったんですけど、この曲があれば大丈夫という気がします(笑)。サウンドチェックもしつつ、お客さんも煽れたらいいですね。

●歌録りでは思わず涙も。15周年だからできた再レコーディング

androp 内澤崇仁

ーーそこから「Massara feat.井上竜馬(SHE'S)」で素敵な幕開けをして、次が先ほどお話にも出た「Image Word(New Recording Ver.)」です。それこそ1年前に配信リリースされていますが、15年前に店頭に並んだアルバムに入っていた曲が、15年後にまたアルバムに入って店頭に並ぶ、そのドラマチックさを改めて感じました。

確かに、今聞いてドラマチックだなと思いました(笑)。再レコーディングは多分15周年がなければやらなかったと思います。これまでの経験上、僕が好きなアーティストも、大体再レコーディングをするとオリジナルの方が良かったなと思うパターンが多くて。自分もそうなるのが嫌だったんですけど、今だからできることや驚きもあるだろうし、やってみようかなと。勝ち負けではないんですが、「元の方が良かった」と絶対思われたくなくて、当時のものよりも良いと思えるものにしたいと臨みました。

ーー結果どうでした?

良いのができたと思います。当時のエンジニアさんと同じ方にお願いしましたし、楽器も種類は一緒のものにしましたし。

ーー当時のことも思い出しながら?

当時は初めてのレコーディングだったので、レコーディングの仕方が全くわからない状況でした。今はどういうことをすればいいかわかるし、自分の思い描いた音にできるノウハウが身についたので、当時よりもイメージに近づけることができました。歌詞はそのままなんですけど、歌う時に違うように感じるというか。当時は伝えたい相手の顔が見えない状態でしたけど、今回は色んな人の顔が見えて歌ったので、レコーディングの時にしばらく涙が出ちゃって、歌えなくなりました。

ーー思いがあふれて。そうなることは多いんですか?

あまりないですね。普段ボーカルは1人でレコーディングするんですけど、その時はたまたまメンバーがいたんですよ。それもあったのかもしれないですね……。確かメンバーはその時、ご飯を食べに行って席を外してたんです。佐藤(拓也/Gt.Key)くんだけいたのかな。そしたら僕が泣いてるもんだから「これはいいぞ」なのか「これは見とかなきゃ」なのかで、メンバーを呼んだらしいです。

ーーエピソードを聞いてから曲を聴くと、グッとくるものがありますね。

続けてこられなかったらできなかったことなので、結果やって良かったですね。

●照らし合う関係性を歌った「Lamplight」、継承を紡いだ「Bada-bing Bada-boon」

androp 内澤崇仁

ーー新曲の「Lamplight」と「Bada-bing Bada-boon」は、曲調と向ける視点は違いますが、どちらも寄り添う楽曲ですね。

「Lamplight」は「自分たちが音楽でお客さんを照らせたらいいな」という想いもあるんですけども、「お客さんがいるからこそ、僕らも照らされてるんだな」と思う瞬間もすごく多くて、照らし合う関係性を歌えたらと思いました。タイトルを「Lamp」にしても良かったんですけど、それだと「物」としてのランプになってしまう。照らされている様を描きたくて「Lamplight」にしました。

ーー「Bada-bing Bada-boon」は?

ちょっと物語っぽくしてみたいなと思って。周年でイベントをやっていると、先輩もいるし後輩もいるという状況を感じたりするんです。「受け継がれていくもの」というところで、音楽という大きなものの中では、僕らも先人の音を受け継いでいて、後輩たちに新しく受け継いでもらっていることもあるんだなと思って、それを物語という形で表現するのはどうだろうと。「バダビン バダブーン」は「一丁上がり」「はい、おしまい」「大丈夫なんとかなるさ」みたいな意味合いの言葉らしいんです。それを魔法の呪文と捉えて、おじいさんから若者が受け継いで、時間が経って若者がおじいさんになった時に、また新しい若者にその言葉を教えていくという物語にしています。そしてその言葉によって自分も救われていく。

ーー歌詞はスッと出てきたんですか。

どういうものにしようかと悩むのはすごく時間がかかるんですけども、方向が定まれば出てきます。今回もそんな感じでしたね。曲自体は「Lamplight」は多分10年か、もしかしたらもっと前から、「Bada-bing Bada-boon」は1〜2年くらい前からあったものです。ただ曲の内容は全然違って、方向性が定まるまでに結構時間がかかりました。

ーーandropに憧れてバンドを始める人も増えたと思いますが、自分の音楽が受け継がれてルーツになっていくのは、嬉しいものですか。

ありがたいです。頑張ろうと思いますね。音楽だけではなくてアートワークや照明でそう言ってくださる方もいて。いつまでも活動できるわけじゃないと思ってるので、その中で自分の何かしらの欠片が受け継がれていくのはすごく嬉しいです。色んなミュージシャンや、もう続けられなくなってしまったバンド、亡くなってしまったミュージシャンの意思は引き継ぎたいし、何かしらの形で受け継いでいたいので、「そうありたい」とは思っていますね。

●15周年を迎えた後の新しい自分たちを、ワクワクして見てもらいたい

androp 内澤崇仁

ーー「ICE」はクールに情熱を歌う楽曲ですね。

この曲のデモも4〜5年前にはありました。デモの中で愛を歌っていたんですけども、歌詞に関してはちゃんと標準が定まってなかったんです。それで今回のアルバムを俯瞰してみたら、色んな愛が歌われているなと思って、じゃあクールな愛を表現してみたいなと思って作りました。

ーーザリザリしたビートは何で音を出してるんだろうと気になりました。

初めのデモの段階では全部打ち込みで作ってたんですけども、今回7年ぶりに4人でツアーを廻っていたので、オーガニックな4人の雰囲気が出るものにしたらどうだろうと。それで打ち込みから生のドラムとベースにして、細かいニュアンスが伝わるような質感にしましたね。

ーー続く「Story」と「Tayori feat.荒谷翔大 」は愛情が詰まったあたたかい2曲で、最後はシンガロングできる「NaNaNa」で締め括られます。<こんな僕にだってきっと まだやれることだってあるさ>というのは、内澤さんの想いですか?

自分の想いですが、聴いてくれる人にも、メンバーにも言ってる感じがします。最後に書いた「NaNaNa」と1曲目の「Sound Check」は、アルバム制作の1番最後にレコーディングしました。

ーー<声にならない歌は 誰が聴いてくれるだろう 四小節も 音楽も 愛してるも 君に届いてほしいよ>は、今作で伝えたい全てが歌われているようです。大団円という感じですね。

まさに「NaNaNa」は合唱やみんなで歌い合うものにできたらいいなと最初から思っていて、最後を締め括る楽曲のイメージで書いていました。「NaNaNa」もできて、ようやく15周年の集大成と言えるアルバムが作れたと思います。

ーーアルバムリリース後のライブは、12月29日(日)にインテックス大阪で行われる『FM802 35th ANNIVERSARY“Be FUNKY!!” ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2024ーレディクレ15th-』ですね。androp x SHE'Sのコラボスペシャルステージということで、こちらも楽しみにしています!

今リハーサルをやってるんですけど、新しくバンドをスタートさせたくらいの面白さとワクワクを感じますね。お互いの曲をやったりもするんですけど、演奏する人や歌う人が違ったりもするので、すごく楽しみです。みんなわちゃわちゃしてます(笑)。

ーー15周年もあとは1月の集大成のライブを残すのみですね。

アルバムを出して満15歳になるのが12月16日(月)なんですけども、満15歳になって年を越して、1月に集大成的なライブをやります。思えば10周年の集大成的なライブ(『androp -10th. Anniversary live-』@東京・昭和女子大学人見記念講堂)も、1月11日と12日だったということがあり、運命を感じましたね。同じ日付で周年ですけど、中身が進化してたり、変化してたりする自分たちでありたいなと思っています。15周年を迎えた後の新しい自分たちをワクワクして見てもらいたいし、このアルバムにも込めた、15周年やってこれた想いと感謝を伝えられるライブにしたいですね。演出もモリモリでやる予定でおりますので、楽しんでもらえると思います。

取材・文=久保田瑛理 撮影=ハヤシマコ

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