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高月町 米づくりの歴史つないで NPOが初の体験ツアー

タウンニュース

耕作機で土を耕す参加者=はちぷろ提供

都内最大級とされる八王子市高月町の田んぼ。良質な水環境に恵まれた室町時代から続く伝統の稲作だが、生産者の高齢化や廃業、次代の担い手不足など、抱える課題は全国と変わらない。そんな地元の田んぼを守ろうと今年初めて、NPO法人はちぷろが「モニターツアー」を行った。

「はちぷろ」は、日本酒・高尾の天狗などの酒米づくりを通じて八王子を盛り上げようと活動する団体。毎年、田植えと草取り、稲刈りをメインイベントとし、日本酒愛好家や農業に興味がある会員が参加している。

そんな「はちぷろ」が新たに企画したモニターツアー。「今回は年間を通してもっと深く農業を知りたい人に集まってもらった。新規就農者の発掘や観光事業化など、高月の稲作が続くために、いろんな可能性を試したかった」とツアーを企画した同法人代表理事の西仲鎌司さんは話す。

西仲さんは今回のモニターツアーのため、市の助成金を利用し稲刈り機や田植え機などの農機具を購入。声掛けに応じた約10人が3月の土づくりから始め、4月には種もみを撒く苗づくり、5月は用水路の掃除である掘さらい、田んぼの土をならす代掻きなど、農作業の地味で大変な部分も体験。途中、稲穂が実り始めるとイノシシに荒らされるという洗礼も受けつつなんとか収穫までこぎつけた。ツアーの目玉として、9月の稲刈り日に酒造見学と実際に日本酒を味わう機会も提供し、年間を通したモニターツアーは終了した。

今回、農家として全面的に協力したのは、高月町で米や酒米、花苗やパッションフルーツ苗などを育てる石川農園の石川研さん(71)。石川さんは「豊かな生態系があって、美味しい米ができる高月の田んぼは東京都や八王子市の共有財産だと思っている。農業者だけではこの田園風景は守れない。いろんな人に見てもらって、いい所を教えてほしい」と話す。

持続可能な田んぼとは

農林水産省の統計調査によると2020年の八王子市内の田耕地面積は51ヘクタール。このうち高月町は21ヘクタールを占める。石川さんの体感では、高月町では年に1人くらいのペースで米農家が減り遊休農地は徐々に増えているという。遊休農地が増えると害虫や害獣の住処となり地区全体での稲作継続が難しくなっていってしまう。

高月地区は開発を控える市街化調整区域として地域計画策定のためのモデル地域になっている。土地所有者にアンケートを行い、生産者が減っていく10年先の田んぼをどうするか、住民や行政が共に話し合いを行っている。石川さんは「いかに持続させられるかを農家も真剣に考え始めた。いろんな可能性があるはず。外の視点からも宝物を見つけてもらいたい気持ちだ」と話していた。

稲刈り日に行われたきき酒=はちぷろ提供

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