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近年の米中関係を振り返る ー中国にとって厄介だったバイデン政権

草の実堂

画像 : バイデン大統領公式肖像(2021年3月3日)public domain

米国のバイデン大統領と中国の習近平国家主席は2021年11月、オンラインで3時間半に渡る首脳会談を実施し、米中関係や台湾問題、新疆ウイグル自治区の人権問題、気候変動などについて意見を交わした。

両者は米中競争が衝突に発展しないよう、世界の2大経済大国である中国と米国が協力を強化する必要性に言及したが、台湾問題では考え方の違いが改めて鮮明となり、共同声明などは発表されなかった。

当時も、米中が協力できそうな分野は地球温暖化など一部に留まり、安全保障や人権、経済など主要な問題では激しい対立が続いた。

バイデン時代も激しかった米中対立

画像 : バイデン大統領公式肖像(2021年3月3日)public domain

2021年にバイデン政権になって以降、人権という問題が米中対立のキーポイントに浮上した。

バイデン政権は、新疆ウイグルの人権問題を前面に出す形でその改善を度々習政権に要求したが、それによってバイデン政権は同問題を扱う中国当局者などへ制裁を発動し、その影響は企業活動にも影響を及ぼすようになった。

特に欧米企業の中から、強制労働によって作られた綿花などを使用しないとする動きが強まり(人権デューデリジェンス)、日本企業の中にもユニクロのように米国で輸入差し止めにあったり、フランスで刑事告発されるケースも見られた。

バイデン政権は、トランプ政権が4年間で発動した中国への経済制裁は解除せず、むしろ人権というキーワードを武器に中国政府関係者や中国企業への制裁を拡大していった。

また、トランプ時代の米中対立は正に“米中”だったが、バイデン政権はそれを拡大し、欧州や日本など価値観を同じくする協力を強化し、多国間で中国に対抗する戦略を重視した。

バイデン政権は発足当初から、トランプ政権下で冷え込んだフランスやドイツなど欧州との関係改善に努め、自由で開かれたインド太平洋の実現を目指す日米豪印によるクアッドを本格的に始動させ、米英豪による安全保障協力オーカスを発足させるなど、中国に多国間包囲網という形で対抗する動きを進めた。

他の国々と協力しながら中国に対抗しようとしたバイデン政権

習近平国家主席

反対に、バイデン政権になって以降、中国は米国以外の第三諸国へ神経を使う必要性に迫られるようになった。

トランプ政権下では米欧の間で亀裂が生じ、孤立主義的な視点から中国に対抗してきたので、習政権も一帯一路などで関係を強化する諸国へ配慮を示す必要性はそれほどなかった。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大と真相解明を巡る動向に加え、バイデン政権が多国間主義を重視し、欧州主要国やオーストラリア、インド、またリトアニアやポーランドなど中小国からも中国と距離を置く動きが顕著に見られるようになると、習政権もワクチン外交などを拡散的に展開することで自らの勢力圏の維持・拡大に神経を使わざる得なくなった。

そして、2022年2月に北京冬季五輪が開催されようとする中、習政権はそれを大々的に成功させることを目標とした。しかし、新型コロナウイルスの真相究明など中国への不信感が高まるなか、欧米諸国は相次いで政府高官の開会式や閉会式への出席を控えさせた。

習政権としては五輪の成功を大々的に掲げていたが、それは大きな影響を受ける形になった。

バイデン時代の米中関係は、トランプ政権とやり方で違いがあったものの、基本的な姿勢は変わらなかった。

むしろ、他の国々と協力しながら中国に対抗しようとするバイデン政権のやり方は中国にとって非常に厄介なものだったと言えよう。

文 / エックスレバン 校正 / 草の実堂編集部

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