真っ黒な新名物誕生? 低利用魚・カナガシラと規格外のワカメを使用<黒い笹かまぼこ>開発【宮城県仙台市】
仙台名物である笹かまぼこを製造する株式会社鐘崎は3月20日、日本航空東北支社と共同開発した黒い笹かまぼこ「仙臺(せんだい)BLACK」を発売開始しました。
本製品の原材料には低利用魚である宮城県産のカナガシラと、市場に出回りにくい規格外の石巻産のワカメを有効活用してます。
カナガシラとワカメを使った笹かまぼこ
同社は、日本航空東北支社で地域活性化活動に取り組む「JALふるさとアンバサダー」で石巻出身の相澤枝穂さんと協力し、産業の活性化とフードロス削減を目指した笹かまぼこ「仙臺BLACK」を開発しました。
原材料の一つは縁起物でもある<カナガシラ>
「仙臺BLACK」の原料に使用されたカナガシラは、スズキ目ホウボウ科に属する底生の魚。本種は日本各地に生息する魚で、ホウボウ科の中でもよく見られます。
底曳網などで時に大量に漁獲されるものの、地域よっては低利用となっています。一方、長崎県ではカナガシラが節分に欠かせない魚として重宝されており、煮付けなどで食されています。
また、カナガシラは漢字で「金頭」と書くことからも分かるように、非常に頭部が硬い魚。これに由来して、「子どもの歯が丈夫に育つように」という意味を込めて、お食い初めの魚としても用いられています。
宮城県の郷土料理「笹かまぼこ」
笹かまぼこは、明治中頃から宮城県で多く漁獲されるようになったタイやスズキ、ヒラメを有効活用した加工品です。
今ほど輸送技術が発達していなかった時代において、焼きかまぼこが保存方法として誕生。当時は「手のひらかまぼこ」「ベロかまぼこ」などの呼び名があったそうです。
しかし、初代仙台藩主・伊達政宗の家紋「竹に雀」に似ることから“笹かまぼこ”と呼ばれるようになり、昭和からはこの呼び名が定着したといいます。
イカスミで黒い「笹かまぼこ」に
「仙臺BLACK」は、宮城県産のカナガシラ、市場には出回りにくい石巻産の規格外のワカメのほか、イカスミを使用することにより<黒い笹かまぼこ>となりました。
また、うま味と食感を実現するためにデンプンや卵白などのつなぎは不使用。調味料も必要最小限にとどめたそうです。
仙台の新しい名物に?
黒い笹かまぼこはインパクトのある商品ですね。
笹かまぼこという仙台の伝統的な料理とフードロスの取り組みが組み合わさった「仙臺BLACK」は、宮城県・仙台の新たな名物となるかもしれません。
(サカナト編集部)