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大分トリニータ 試される控え選手の覚悟、胸を突いた沈黙の10秒 【大分県】

オー!エス!OITA

写真/オー!エス!OITA SPORTS

 深いため息の後、沈黙が流れた。たった10秒、されどその空白に、片野坂知宏監督の胸の内が表れていた。大分トリニータは25日、天皇杯全日本選手権1回戦でレベニロッソNC(愛媛)相手に2-0で勝利した。だが、試合後の会見に現れた指揮官の表情は、勝者のそれとは程遠かった。

 

 相手はカテゴリーが二つ下、しかも前半に退場者を出して10人となった。数的優位を得ながらも、後半は無得点。引いて守る相手に手を焼き、攻撃の交代策も奏功せず、もどかしい時間が続いた。「交代の選手を含めて追加点が取れなかった。力になっていない。これが我々の現状だと思った」と、片野坂監督は感情を抑えながら語る。期待を込めて起用した控え組のパフォーマンスはあまりにも物足りなかった。

 

 「(サッカーに臨む)姿勢を変えてほしい。プロとして何をやるべきか。試合に出たらアピールすることが大事だ」。会見では言葉を選びながらも、翌日の練習試合前の青空ミーティングで、全選手を前に率直に語りかけた。「気持ちを出して覚悟を示してほしい。クロスが合わない、シュートが枠に飛ばない。個の質が足りない。だが、アグレッシブさは誰にでも出せる」と訴えた。

 

試合後に胸の内を明かした片野坂知宏監督

 

 その叱咤(しった)は、確かに届いた。練習試合は控えメンバー主体の布陣だったが、九州リーグのチームに7-0の快勝。プレーには飢えと気迫がみなぎり、チームに漂っていた停滞感を吹き飛ばした。

 リーグ戦は前半戦の折り返しに差し掛かる。これまで固定された先発構成だったが、ここからは真の総力戦が求められる。チームに新たな風を吹き込む存在を待っている。

 

 その筆頭が、長期離脱から復帰したベテラン中川寛斗だ。天皇杯1回戦では2アシスト。試合を決定づける働きで、その存在感を改めて示した。「今は控え選手も自問自答しながら変化しようとしている。僕も彼らを生かすプレーをしたいし、自分もその中で好パフォーマンスを発揮したい。交代の瞬間に空気を変える。そういう選手が今のトリニータには必要だと思う」と語る中川の言葉には、実感と覚悟がにじむ。

 

 苦言と奮起、沈黙と再起。そのすべてが、今のトリニータには必要だった。競争が生まれ、選手層に厚みが増す。その変化は、確かな希望となってチームを押し上げていくはずだ。

 

練習から選手にアグレッシブさを求めている

 

 

(柚野真也)

 

 

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