渓谷×手軽な山歩きで絶景と癒しを両どり|山梨・長野の山歩道(さんぽみち)5選
水の恵みを肌で感じる「渓谷×山歩」で最高の絶景と癒しをチャージ!
清流がもたらす最高の癒し(あっこさんの活動日記より)
山歩(さんぽ)とは、都会から少し足を伸ばすだけで出会える自然を、無理せず自分のペースで歩きながら楽しむこと。長距離移動の大旅行ではなく、思い立ったらすぐに出かけることができるプチトリップです。ふと予定が空いた休日や天気が良い日は、絶好の山歩日和。手持ちの歩きやすい服装と履き慣れた滑りにくい靴があれば、準備OKです。
今回ご提案するのは、絶景と癒しを楽しむことができる「渓谷山歩」。豊かな日本の森林に育まれた清流を間近で感じる渓谷は、山歩にぴったりの場所なのです。苔むした岩や神秘的な色の水をたたえた、瀬・淵・滝などが織りなす非日常の空間は、夏には涼をもたらし、秋には周囲の木々が鮮やかに色づいて目を楽しませてくれます。
なお、今回の山歩道選定の目安は以下の通りです。
・歩行時間:3時間以内
・歩行距離:5km以内
・上り累積標高差:400m以下
これは、ハイキング初心者でも無理なく気軽に歩ける数値。これから山や自然の中で遊びたいと思っている人にもぴったりです!
※一部、上記目安を超えるコースもあります。
※自然災害の発生などにより、現地の登山道や遊歩道、交通機関が通行止めになる場合もあります。お出かけ前に現地の最新情報を確認するようにしましょう。
【竜門峡】美しい滝や淵が連続する変化に富んだ渓谷美を楽しむ|山梨・甲州
水辺の近くを歩くことができる竜門峡(senaさんの活動日記より)
清流を間近で感じることができるように整備された山歩道
日本百名山・大菩薩嶺(2056m)周辺から流れ出る日川沿いに続く竜門峡は、落合三つの滝、竜門の滝、蜘蛛(くもん)淵など多彩な表情の水風景と、木賊(とくさ)の石割ケヤキ、平戸の石門など花崗岩の巨石が織りなす奇岩を同時に楽しむことができる渓谷です。
秋は色づく木々を眺めながらの川沿いトレッキングを楽しめる(むう父さんの活動日記より)
竜門峡遊歩道の特徴は、階段や橋が整備されており渓谷のかなり近くを歩くことができること。急流を渡る木製の橋など少しスリリングなポイントもありますが、清流が発するマイナスイオンを肌で感じ取ることができる山歩道です。
武田氏終焉の地ゆかりの古刹は「坐禅の聖地®︎」
天目山栖雲寺(KUMANOMIさんの活動日記より)
山歩のスタート地点にあるのが天目山栖雲寺(てんもくさんせいうんじ)、戦国武将・武田氏から手厚い庇護を受けた古刹です。最後の当主である武田勝頼は織田軍から敗走中にこの寺を目指しますが、寺は敵方によって全焼しており、失意のうちに自害します。現在は「坐禅の聖地®︎」として商標登録されており、自然の中での坐禅などを体験することができます。
コースの歩行時間・歩行距離・アクセス
・歩行時間:1時間
・歩行距離:1.8km
・上り:34m
・アクセス
バスで:
往路・JR中央線・甲斐大和駅から天目バス停まで甲州市営バスで約15分
復路・竜門峡入口バス停からJR中央線・甲斐大和駅まで甲州市営バスで約6分
車で:中央自動車道・勝沼インターチェンジから竜門峡入口駐車場まで約15分
・コースを詳しく見る
【大柳川渓谷】個性豊かな5つの滝をめざして吊橋をめぐる山歩道|山梨・富士川
渓谷美に調和した吊橋(muneさんの活動日記より)
様々な角度から滝を鑑賞できる10の吊橋をめぐる
日本三大急流河川・富士川に流れ込む大柳川(おおやながわ)、その上流部である大柳川渓谷には本流に天渕(あまんぶち)の滝・観音滝、南側から流れ込む支流に幻の滝・涼みの滝・五段の滝と5つの滝が点在しており、四季折々の渓谷美が魅力です。
紅葉に包まれた吊橋(鈴木 暹さんの活動日記より)
それぞれの滝へは10の吊橋や階段が整備されており、神秘的な色合いの竜馬淵や天渕の滝・観音滝を見下ろしたり、急峻な岩肌を流れ落ちる雄大な五段の滝を見上げたり、さまざまなアングルからの滝を鑑賞することができます。
地元・十谷に伝わる郷土料理「みみ」に舌鼓!
素朴な味わいの郷土料理・みみ(Akiさんの活動日記より)
山梨県の郷土料理として有名なのがほうとうですが、大柳川渓谷がある十谷(じっこく)地区の郷土料理は、小麦粉を伸ばして箕型にした「みみ」を地元野菜と手づくり味噌で煮込んだものです。地元のコミュニティセンター・つくたべかんでは、事前予約制でこの「みみ」を中心としたみみ御膳を味わうことができます。
コースの歩行時間・歩行距離・アクセス
・歩行時間:2時間
・歩行距離:3.1km
・上り:320m
・アクセス
車で:中部横断道・増穂インターチェンジから渓流公園駐車場まで約20分
・コースを詳しく見る
【道志渓谷】清冽な水をたたえた神奈川県の水源をたどる山歩道|山梨・道志
美しい水の色が印象的な道志渓谷(PIXTA)
澄んだブルーの水面と四季折々の表情を見せる森を歩く
丹沢山塊と道志山塊の間を流れる道志川は、津久井湖上流で相模川に合流する神奈川県の水源のひとつです。その環境を守るため、流域は横浜市が所有する道志水源かん養林(雨水を貯め水源を守るという観点から、特に重要とされている森林)として保護されており、豊かな自然が育まれています。
美しい水の色と紅葉が調和した、秋の道志渓谷(海遊さんの活動日記より)
大半は国道413号線沿いを流れる道志渓谷ですが、野原吊橋〜久保吊橋の間には対岸に遊歩道が整備されています。大半はコンクリート舗装ですが、水辺に近づけるポイントもある変化に富んだ山歩道。東屋・ベンチも整備されています。
渓谷を見下ろす2つの吊橋を渡って絶景とスリルを堪能!
野原吊橋(トプ・ガバチョさんの活動日記より)
この山歩道のハイライトは、スタート地点にある野原吊橋(全長76m・高さ37m)と折り返し地点にある久保吊橋(全長71m・高さ34m)の2つの吊橋です。渡る時に人数制限や重量制限を示す看板があり、ゆらゆらと揺れてスリリングな橋ですが、ここから覗き込む道志渓谷の水と緑の調和は絶景。勇気を出して渡ってみましょう。
コースの歩行時間・歩行距離・アクセス
・歩行時間:40分
・歩行距離:2km
・上り:140m
・アクセス
車で:中央自動車道富士吉田線・都留インターチェンジから野原吊橋駐車場まで約40分
・コースを詳しく見る
【横谷渓谷】八ヶ岳中腹のマイナスイオン豊富な滝と清流めぐり|長野・茅野
横谷渓谷のシンボル・王滝(makkoさんの活動日記より)
珍しい赤い川床を滑り落ちる豊かな水が織りなす情景
八ヶ岳の西麓から流れる渋川沿いに続く横谷渓谷は、水中に含まれる鉄分が酸化した赤い川床が特徴です。酸性が強いため魚も住めないという渓谷沿いには、頭上の断崖からシャワーのように流れ落ちる乙女滝をはじめ、霧降の滝や王滝などそれぞれ趣の異なる滝が点在しています。
秋の横谷渓谷(ちゅーさんの活動日記より)
渓谷の随所には空気中のマイナスイオン指数を示す標識もあり、1㎤あたり20000個という表示も。日常空間ではごく微量であることからも、横谷渓谷のマイナスイオンがいかに多いかを物語っています。
名画のモチーフとなった静かな池のほとりで憩う
緑の森を映す御射鹿池(撮影:鷲尾 太輔)
車で横谷渓谷を訪れた場合にあわせて立ち寄りたいのが、対岸にある御射鹿池(みしゃかいけ)です。農業用のため池ですが、日本画家・東山魁夷の名画「緑響く」のモチーフになったことで有名な場所。池畔を白馬がゆく光景は、高性能TVのコマーシャルでも再現されました。実際には白馬はいませんが、森に暮らす鹿の姿を対岸に目にすることもあります。
コースの歩行時間・歩行距離・アクセス
・歩行時間:2時間20分
・歩行距離:4.3km
・上り:311m
・アクセス
バスで:JR中央線・茅野駅から横谷峡入口バス停までアルピコ交通バスで約30分
車で:中央道・諏訪南インターチェンジから横谷渓谷入口駐車場まで約25分
・コースを詳しく見る
【松川渓谷】豊かな自然を庭園に見立てた風流な山歩道|長野・高山
深いV字谷が刻まれた松川渓谷(ヤマジィさんの活動日記より)
茶席に招かれた客人の気分で楽しむ“舞の道”
千曲川の支流・松川は長野県・高山村周辺で深いV字谷を刻み、松川渓谷として四季折々の自然美を見せてくれます。上流部には滝を裏側から鑑賞できる滝(雷滝)などもありますが、今回紹介する山歩道は、渓谷のシンボルのひとつである赤い橋・高井橋から始まる「舞の道遊歩道」です。
松川渓谷の深い谷間を彩る紅葉(maiさんの活動日記より)
日本には、庭園の外に見える山などを背景として取り込む“借景”という文化がありますが、この山歩道は松川渓谷の自然そのものが茶席の庭園。露地門・中門と歩き、茶室に見立てた茅葺き屋根の松楓庵へと歩けば、風流な気分で山歩を楽しむことができます。
山歩の心地よい汗を流す秘湯も堪能
山田温泉・大湯(yamaskiiiiさんの活動日記より)
松川渓谷沿いには、七味温泉・五色温泉・松川渓谷温泉などの秘湯も点在。「舞の道遊歩道」の対岸にも、多くの文人墨客に愛された山田温泉があります。中心部にある大湯は、木造の桃山風建築がレトロな雰囲気を醸し出す公衆浴場。山歩の心地よい汗を流すのにうってつけです。
コースの歩行時間・歩行距離・アクセス
・歩行時間:1時間
・歩行距離:1.8km
・上り:181m
・アクセス
バスで:長野電鉄・須坂駅から高井橋バス停まで長電バスで約40分
車で:上信越道・須坂長野東インターチェンジから信州松川渓谷舞の道駐車場まで約45分
・コースを詳しく見る
「渓谷×山歩」でマイナスイオンと絶景を両どりしよう
相模原散策部3さんの活動日記より
生命の源でもある“水”を身近に感じることができる渓谷は、リフレッシュにぴったりの山歩スポットです。マイナスイオン豊富な清流と木々が放つ芳香、ダイナミックな景観を満喫しに、渓流×山歩きに出かけましょう。
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トップ画像:きままにゆるりと過ごし中さんの活動日記より
執筆・編集協力:鷲尾 太輔