社長の出身大学調査、日本大学が14年連続でトップ 業績好調企業の社長は一橋大学出身者が最多
東京商工リサーチ(東京都千代田区)は10月28日、2024年「全国社長の出身大学」調査結果を発表した。調査によると、日本大学出身の社長が14年連続で最多を維持しているものの、初めて2万人を割り込み、勢力に変化の兆しが見られる。
一方、売り上げ・利益がともに好調な企業を経営する社長には一橋大学出身者が多く、業績における出身大学の傾向も明らかになった。また、老舗企業の社長には日本大学と慶応義塾大学出身者が上位を占めている。
社長ランキング、上位10校の顔ぶれには変動なし 地域別では地元国立大も健闘
同調査によれば、日本大学出身の社長数は1万9974人で、前年の2万248人から減少し、調査開始以来初めて2万人を下回った。それでも2位の慶応義塾大学(1万737人)、3位の早稲田大学(1万582人)を大きく引き離し、首位を維持している。
4位以下は明治大学(8071人)、中央大学(7356人)、法政大学(5948人)が続き、いわゆる「MARCH」私立大学が多くを占めた。上位10校の顔ぶれは前年と同じで、変動は見られなかった。
上位11位から20位には、関東の青山学院大学、立教大学や、関西の関西大学、立命館大学などが名を連ねている。地方大学では福岡大学(16位)、愛知学院大学(18位)がランクイン。国公立大学では東京大学が4454人で10位を維持しており、次いで京都大学が2652人で19位となった。
なお、10月1日より東京医科歯科大学と東京工業大学が統合した「東京科学大学」は、合計すると1990人となり、東北大学を上回り30位に入る(ただし、今回の集計では個別に集計)。
都道府県別でも日大優位 付属高校の影響も
都道府県別では、日本大学が最多の14都県でトップを占めたが、前年より2県減少し、西日本では初めてトップを占める県がゼロとなった。また、複数の都道府県でトップに立ったのは日本大学、近畿大学、福岡大学の3校にとどまっている。
東日本では、日本大学が21都道県中14都県で首位を占めるものの、岐阜県では岐阜大学が1位となり、前年よりも1県減少した。それでも、日本大学は東日本に所在する日本大学の付属高校から進学した経営者の子女が多く、宮城県と愛知県を除く19都道県で上位3位以内に入り、事業承継での上位入りに貢献している。
また、関東を中心に明治大学が6県、早稲田大学が5県で3位以内に入っており、地域内の影響力を示した。
一方、西日本の26府県では、日本大学出身の社長がトップの県はゼロとなったが、上位3位以内には16県で入っている。
近畿大学は大阪府、奈良県、和歌山県でトップに立ち、卒業生数の多さを背景に、地域での存在感を発揮している。また、西日本全体のうち16県で地元国立大学がトップを占める傾向が顕著で、地元志向の強さがうかがえる。
私立大学が多い近畿地方では、2府4県すべてで近畿大学や同志社大学といった私立大学がトップとなっている。九州では福岡大学が福岡県と佐賀県でトップを維持し、地域内での影響力を示した。
業績別では、一橋大出身社長の企業が2年連続でトップに
業績別では、一橋大学出身の社長が経営する企業が「増収」「増益」「増収増益」の3部門で2年連続トップを維持し、安定した成長が見られる。一橋大学は前身の東京商科大学以来、経済界に多くのリーダーを輩出してきた。
増収企業の社長出身大学は東京大学と神戸大学が続き、上位20校中14校が国公立大学を占めた。一方、増益企業では私立大学が健闘し、利益面での存在感を示している。
なお、今回の調査では、2023年1月期以降を最新期とし、2期連続で売上高と当期利益が判明した企業を対象に算出した。
老舗企業でも最多は日本大学出身、2位は慶応義塾大学
2024年に創業100年を超える企業は全国で4万5189社に上り、このうち出身大学が判明している社長では日本大学が最多の1194人となった。2位は慶応義塾大学で1112人、僅差で続いている。慶応義塾大学は付属校からの進学者も多く、老舗企業においても強みを発揮している。
上位20校に入った国立大学は東京大学(12位)と京都大学(20位)の2校のみで、老舗企業社長における私立大学の影響力が顕著である。
同調査の詳細は、東京商工リサーチの公式ウェブサイトで確認できる。