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夫婦二人三脚で 養鶏農家に。漁や猟も楽しめる、 豊かな伊豆半島暮らし【静岡県下田市】

田舎暮らしの本

夫婦二人三脚で 養鶏農家に。漁や猟も楽しめる、 豊かな伊豆半島暮らし【静岡県下田市】

カフェ開業を目指して下田市へ移住した稲田さん夫妻は、ペットのニワトリの飼育をきっかけに、放牧にこだわる養鶏場「farm1987」を立ち上げた。地域の人びととのつながりを大切に、漁や猟など自然の恵みを取り入れる日々を送っている。

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掲載:2025年6月・7月合併号

静岡県下田市 (しもだし)
伊豆半島南部の東側に位置する下田市。天城山系の南端から太平洋に至る豊かな自然に恵まれ、年平均気温は約17℃と温暖な、年間約300万人が訪れる観光都市。東京から新東名高速道路経由で約3時間30分。

地元の原料で餌を手づくり。24時間放牧の養鶏場

稲田健吾さん、みのりさん 
健吾さんは兵庫県出身、元ロードサービススタッフ、みのりさんは千葉県出身、元セラピスト。以前は明石市で暮らしていたが、健吾さんが海が好きだったことから移住を決意。2019年に下田市に移り住んだ。1匹の犬(アル♂)、3匹のネコ(ぐうた♂、めい♀、りん♀)と暮らしている。
farm1987

YouTube「 たまごとコーヒー 田舎暮らしの卵農家」/@eggandcofee 
Instagram/@shimoda_iju

 海の近くでカフェを開きたいと、移住先を探していた稲田健吾さん・みのりさん夫妻。2019年に移住先を探して下田を訪れた際、対応してくれた市の職員が、現在ふたりが暮らす集落の区長と知り合いだったことから地域との縁が生まれた。

 「集落の方がたともすぐに打ち解けて、『この家、よかったらあげるよ』と、空き家を無償で譲っていただけたんです」(健吾さん)

 移住後、カフェで使う食材を自給したいと、ニワトリを4羽飼い始めた。動物好きなふたりは、毎朝小屋の扉を開けてニワトリを庭に放す。すると、近所の人たちもニワトリの散歩を楽しみにするようになり、野菜くずを用意して待っていてくれるようになった。

 しかし、当初のカフェ計画はコロナ禍で頓挫。そんななか、有精卵からオスのヒヨコがかえったことをきっかけに、夫妻は事業の方向転換を決意する。

 「オスは朝早くから鳴いてしまうので、家では飼えないんです。そこでニワトリを飼える場所を探していたら、2000坪の山を手放したい方がいて、売っていただけることになりました」(健吾さん)

 こうしてスタートしたのが「farm1987」。ふたりに養鶏の経験はなかったが、実用書『自然卵養鶏法』(中島正著)を参考に、餌づくりから飼育方法まで独学で学んだ。

 「餌の主原料は御殿場産の玄米で4割ほど。あとは、修善寺のビール工場の麦かす、豆腐屋さんのおから、干物屋さんのアラ、農家さんのくず野菜など、廃棄されるものを頂いて活用しています」(健吾さん)

「自然のなか、ニワトリが野生化したような状態で飼っています」と、健吾さん。

一度食べたら普通の卵には戻れないと、全国からオンライン注文が入る自然養鶏卵「下田ブルー」。

風で落ちたニューサマーオレンジをもらったので、ニワトリのビタミン摂取の餌に。

 飼育しているのは、チリ原産のアローカナという品種。産卵数は少ないが、味がよく、栄養価の高い卵を産む。その殻は下田の海を思わせる青みがかった色をしており、ふたりはこの卵を「下田ブルー」と名づけた。

 卵はネット通販のほか、地元の食材にこだわる飲食店にも卸している。また、規格外の卵は餌の材料を提供してくれる人へのお礼に。鶏ふんは農家に引き取られ、地域内で循環している。

 健吾さんは念願の漁業権を取得し、夏には素潜りでサザエやアワビを獲る。また、山を購入した際に夫婦で狩猟免許を取得し、シカやイノシシを捕ることもあるという。

 さらにふたりは、移住サポーターとしても活動している。

 「1年のうち360日は働いています。でも、自然のなかで動物相手なら、変なストレスもなくて、不思議とできちゃうんですよね」(健吾さん)

スタート時は150羽だったが、現在は800羽を飼育。24時間放牧なのでたくましく育っている。良質な鶏ふんを利用して、パッションフルーツやレモンなども栽培し、出荷している。

「以前は同世代の友人がいなかったけれど、今はいろんな人が移住してきて楽しい。犬友達も増えました」と、みのりさん。

条件をクリアし、念願の漁業権も無事に取ることができた。夏は集落のみんなと海に潜る。

観光地で起業するためのアドバイス

観光客には地元産の食材が喜ばれるので、地域の飲食店のメニューに「下田ブルー」を使っていただくことも多いです。また、レモンやパッションフルーツなども栽培して卸しています。そういう横のつながりが大事だと思います。

• 稲田さんのとある一日 •

7:00 … 起床。朝食など。
8:30〜12:00 … 出勤。ニワトリに餌やり。卵を収穫し、きれいに拭いて発送の準備。注文があるときは納品。餌となるアラなどを鍋で煮る。
12:00〜13:00 … 昼休み。
13:00~16:00 … 餌の原料の仕入れ。卵の収穫、発送準備。ニワトリに餌やり。
16:00〜18:00 … 犬の散歩。
18:00 …夕食。
19:00〜21:00 … 事務作業など。
23:00 … 就寝。

下田市 移住支援情報


移住サポーターが毎週ブログを更新中!

 市内に9つのビーチがあり、そのほとんどが水質調査で最高ランクに認定されていて、海好きにぴったりな移住先。短期または中期のお試し移住には移住希望者滞在費補助金もある。また、子育て支援が手厚く、医療費も高校生まで自己負担0円。首都圏からも近いため、二拠点居住地としてもオススメ!

問い合わせ/産業振興課地域経済促進係 ☎︎0558-22-3914

首都圏などの移住フェアにも出展。オンライン移住相談にも対応している。

「海、山、温泉が楽しめる港町でのんびり田舎暮らしもよいですよ!」
地域おこし協力隊野添裕紀(のぞえひろとし)さん

文/はっさく堂 写真提供/稲田健吾さん、みのりさん

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