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「赤穂ルネッサンスの父」画業たどる特別展

赤穂民報

展示作品=前期=の一つ『カンカンポア街』

 日本からパリへ渡り、数多くの作品を残した赤穂ゆかりの洋画家の特別展「林鶴雄が描いたニッポンとフランス」が御崎の赤穂市立美術工芸館・田淵記念館で開かれている。30代から晩年期までの作品を並べ、画業の足跡をたどる。

 林鶴雄(1907ー90)は龍野生まれ。出生後に岡山県福河村(現在の赤穂市福浦)の林家に預けられ、そのまま養子に迎えられた。成人して図工教諭となり、現在の原小学校などで教鞭を執ったが、画家を志して29歳で上京。安井曾太郎、藤田嗣治に師事した。1968年に藤田を慕って渡欧。15年後に帰国するまでパリを拠点に制作に励み、写実的でありながら詩的な情感が感じられる作品は「静謐な美の息吹」と評された。

 戦中戦後に赤穂に疎開した時期には美術を愛好する若者たちを指導。名字にちなんで「爽林会」として活動した。当時のメンバーには後に赤穂美術協会絵画部を創設する米谷朝五郎さん、神吉栄治さん、田中繁雄さんらがおり、「赤穂ルネッサンスの父」とも呼ばれる。

 3年前に遺族から遺作44点が赤穂市に寄贈され、同館所蔵の林鶴雄コレクションは145点(寄託を含む)となった。特別展では、『富士と少年』『姫路城』など国内で描いた18点と『パリ ベルヴィユ街』『夏のノートルダム』などヨーロッパで制作した40点を前後期にわけて展示。『御崎港風景』『網漁』など赤穂を描いた作品も含まれる。滞欧中に詠んだ短歌にスケッチ画や挿絵を添えて出版した『歌集巴里』も紹介している。

 藤田忠彦学芸員によれば、渡仏後の作品は「写実主義としてのスタイルに変わりはないが、色彩は明るさを増し、豊かな詩情が感じられる」といい、「日本で活躍し、フランスでさらに画力を磨いて評価を高めた赤穂ゆかりの画伯の作品をじっくり鑑賞してもられば」と話している。

 来年3月9日(日)まで午前9時〜午後5時(入館は4時半まで)。1月15日(水)から一部を除き展示品を入れ替える。火曜休館(2月11日は開館)。入館料300円(小・中学生150円)。『歌集巴里』は1部1000円で特別販売している(限定16部、なくなり次第終了)。Tel42・0520。

「赤穂ルネッサンスの父」と呼ばれる林鶴雄

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