「子育てしづらいマチ」なのか?高校生まで医療費タダが目玉に 札幌市の“胸の内”
新幹線の開業時期が見通せず、物価高騰で再開発の先行きも不透明さを増す中、地域地域の未来をどう描いているのか。
ちょっと難しく感じる行政の「予算」の使い道からその胸の内を探ります。
1月27日、札幌市の2025年度予算案が約1兆2,666億円と発表されました。
前年度と比較して2.0%増、過去最大の予算規模となりました。
最重要課題の1つとして掲げたのが子どもや子育て世代への支援や見守り体制の整備です。
こちらには約93億円を計上しています。
中でも目玉は、子どもの医療費無償の対象を高校3年生までに広げる施策です。
この使い道の背景には、市長にとって耳を塞ぎたくなるデータがあります。
札幌市が2022年度に実施した子育て世代対象の市民アンケートで、回答者の半数が「札幌は子どもを生み育てやすい環境と思わない」と答えたのです。
「子育て支援サービスの不足」や、「子どもの医療費負担が大きい」などが理由です。
高校生の保護者はこう話します。
「インフルエンザなどには感染するので、医療費はなるべくかからないほうがいい。私立高や通信制の生徒も無償化にしてもらえればいい」
生後7か月の子どもの保護者の意見はこうです。
「教育費だったり、医療費だったり、なるべくかからない支援をしてほしい」
幅広い世代を診察する、とよひら公園内科クリニックの藤本晶子院長は、高校生あたりから医療機関にかからなかったり、薬の処方を断わったりする患者もいると話します。
「中学生までかからなかった医療費がかかるようになり、“受診控え”や高額治療に抵抗を感じる人もいる。お金を気にせずに治療ができるのは、いいことではないか」
そして、もうひとつ喫緊の課題があります。
バスの運転手不足にも対応
バスの運転手を募るため、外国人人材の受け入れやバスに代わる交通機関への支援には23億円を計上。
背景にあるのが深刻化するバス運転手不足です。
路線の廃止や減便で、通学や通勤が不便になるなどの影響が出ています。
「タクシーの運転手を仮で雇って、一時的に応用できないのかなと思う」
「地下鉄からバスに乗り換えるときに、便数がなくて不便を感じている。運転手の給料もアップしなければ、なかなか集まりにくいと思う」
その賃上げにも欠かせない、経済活性化。
千歳市の次世代半導体メーカー「ラピダス」の試作ラインが稼働する2025年、札幌市は国内外の関連企業を誘致することで、経済効果を呼び込み、まちづくりへの原資へつなげたい狙いです。
子どもが生まれず人口減少社会に
さらに今求められているのが「持続可能なまちづくり」。
札幌市が発表した最新の合計特殊出生率は1.02。
全国の政令指定都市の中で最下位クラスの数字で、人口減少への動きは深刻です。
来年度予算案では、敬老パスの見直し改修費も盛り込まれました。
2025年度は現在の制度維持のために約68億円、また「健康アプリ」開発に約3億円をあて、2026年度からの新たな制度へ動き始めました。
また、GXや企業誘致などを新たな経済の起爆剤としたい一方で、市民から見えやすい暮らしやすさにつながる施策に、てこいれをした印象を受けました。
秋元市長の任期は2025年度で折り返しとなります。
▼札幌市の2026年度予算案…1兆2666億円(一般会計)
・子ども医療費助成…約69億円
・路線バス関連…約23億円
・再開発…約100億円
・「健康アプリ」開発など…約3億円
・スポーツ振興…約2.6億円
・除雪…約280億円
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年1月27日)の情報に基づきます。