藤沢市 農業課題対策に8事業 機器導入・設備補修を支援
藤沢市は次年度から、市内農家の安定生産・供給を図る機械の導入や設備補修への支援を行う。設備の老朽化、気候変動、担い手不足などへの対策が目的。近隣市町村との競争力強化も見込まれている。
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市農業水産課は2月市議会定例会の予算等特別委員会に8つの支援策を提出。「産地競争力強化事業費」として2713万円を盛り込んだ。
物価高騰や温暖化、新規就農者の働きやすさ、開発が進む周辺地域への配慮など、近年の農業を取り巻く問題に対応した事業に取り組んでいく。
要望を反映
この事業では、ビニールハウスフィルムの張り替え支援を行う。さがみ農業協同組合(西山國正組合長)によると、物価高騰などの影響から張り替えが困難となり、「ハウス農業の継続を断念せざるを得ない」との声があったという。鈴木恒夫市長が掲げた公約の一つでもあり、同組合を通じ昨年8月にアンケートを行った際も47件から張り替え希望があった。市は次年度の生育状況を鑑み、再来年度には効果を報告する予定だ。
ほか7つは、地元農家が昨年6月に同組合のハウス・花卉温室・果樹などの7部会を介して提出した要望が反映された。
支援策では、ハウス内の細霧冷房扇風機の設置への補助を行う。近年の夏の酷暑化による室温上昇から、花の生育の遅れが発生することへの対応策となっている。
農薬の散布を行うバッテリー式コンパクトキャリー動噴導入の補助も行う。軽量化による作業時の負担軽減のほか、エンジン式による近隣への騒音を防止する狙い。農耕地周辺の宅地開発が進む市内の状況に合わせた施策となる。
また、枝豆の脱莢機導入を補助する。枝豆栽培は休耕地でも始めやすく、新規就農者が参入しやすい品目とされるが、作業の効率化や人件費の抑制が課題となっている。同機器の利用により収穫後の脱莢作業の負担を軽減し、農業の担い手を確保する狙いがある。
同組合では「市内で主要となるトマトやキュウリ、キャベツなどの作物を中心に品質をより良くし、近隣市町村に負けない、消費者に選ばれるブランド力の向上につなげていきたい」と話した。