初出し情報オンパレード、スピッツ初の大規模展覧会が六本木で開催
日本が誇るロックバンド、スピッツ。ライブを目にすれば、一人だけでは生まれ得ない素晴らしいものがあると実感するだろう。同バンドのリードボーカル・ギタリストの草野マサムネが紡ぐメロディーと詩は、紛れもなく天才的だが、三輪テツヤ(ギター)、田村明浩(ベース)、崎山龍男(ドラムス)の4人それぞれの癖のあるアレンジや、永遠の放課後のような独特の空気感もまた、このバンドの唯一無二の魅力なのだ。
2024年11月8日(金)から六本木の「東京シティビュー」で開催される、スピッツによる初の大規模展覧会「SPITZ,NOW! 〜ロック大陸の物語展~ Special Supporter マイナビ」では、そうした4人の等身大の姿や遊び心が、さながら「スピッツユニバース」となって広がっている。
同展覧会はアルバム『ひみつスタジオ』の全国ツアー『SPITZ JAMBOREE TOUR ’23-’24 “HIMITSU STUDIO”』に関する展示を中心に、8つのエリアに分かれて展開する。
まず欠かさずに聞いてほしいのは、スピッツメンバー本人が務める音声ガイドだ。4人がツアー当日を回想する裏話や貴重な思い出話も収録されており、初出し情報が満載な上に軽妙な掛け合いは、まさにこのバンドだけが持つ独特の雰囲気を存分に感じられるものだ。
エントランスを抜けるとアリーナツアーで実際に使われた高さ5メートル超の「イチゴ&プライヤー」や「スケートボード」といった巨大オブジェが登場する。当時はステージにつるされていたものを、そのまま持ち込んでいる。
続いて、ツアーステージの再現エリアでは、メンバーが実際に着用していた衣装、演奏していた楽器が楽しめる。
ある日のスピッツの楽屋を再現したエリアは本邦初公開だ。なぜかドラムスの崎山用に用意されたウォームアップギターやスピッツモデルの「鼻セレブ」などちゃめっ気たっぷり。ツアーに訪れた場所ごとに異なる「ご当地ステッカー」が貼られた衣装ケースなど、ファンなら込み上げるものがあるだろう。
目玉は、『SPITZ JAMBOREE TOUR ‘23-’24 “HIMITSU STUDIO”』での演奏シーンを4台の360度カメラで撮影した8K映像に没入できるVR体験である。PICO社の高性能VRゴーグル「pico neo 3 pro」とFOCAL社のプロ用ヘッドホン「Listen Professional」を装着し、新感覚のライブ体験が楽しめる。
ステージ上から観客を見下ろしたり、目の前に歌い上げる草野の見上げたりと圧巻の体験だ。サウンドミックスを数多くのスピッツ作品を手がける髙山徹が担当しているのも心強い。
さらに、2013年以降のアルバムジャケットのために制作された「ミノムシさん」「モニャモニャ」「リリエンタールグライダー」など貴重なオブジェの実物が一同に集結した「スピッツ秘宝館」エリアも必見だ。ファンクラブによる展示では、ファンクラブ会報誌に4人が書いたコラムが掲載されている。学級新聞のようなデザインもスピッツらしく、微笑ましい。
TOKYO FMのレギュラーラジオ番組「SPITZ 草野マサムネのロック大陸漫遊記」の「ラジオの部屋」エリアでは、本人が描き下ろした 「ロック大陸の案内人」こと「ROKUCHAMU(ロクチャム)」の貴重な原画が初公開されている。会場限定のオリジナルグッズや同展の魅力を凝縮したパンフレットなども見逃せない。
会期は2025年1月15日(水)まで。チケットは公式ウェブサイトから詳細を確認してほしい。メンバーとともに新たな「ロック大陸」を探検してみよう。