【2025年最新】いくらまでOK?学生バイト「103万円の壁」
学生でアルバイトをしている人の多くが「アルバイト代は103万円を超えないように!」と親から口を酸っぱくして言われているのではないでしょうか。筆者の家庭も同様です。いわゆる「103万円の壁」ですが、103万円を超えると税金や扶養面で不利になってしまいます。
ただ、2025年からこの壁に関わる「扶養範囲」が見直されることになりました。本記事では、親の扶養内でアルバイトをする時に知っておきたい扶養に関する税金・社会保険料について見ていきます。「月いくらまで稼いでも問題ないのか」や、2025年の変更点と注意点を確認していきましょう。
学生アルバイトが知っておきたい「親の扶養控除」
学生がアルバイトをする際に知っておきたいのは「親の扶養控除」です。一定以上の収入を得ると親の扶養から外れてしまいます。扶養には「税金」の扶養と「社会保険」の扶養の2つがあり、「親の扶養控除」は税金に関係するものです。アルバイトでたくさんの収入を得たことで親の扶養から外れると、控除を受けられず親自身の所得税や住民税の負担が増えることになります。
扶養控除の基本:扶養とは?対象は?
扶養とは、自分で稼いで生活できない家族や親族に対して経済的援助をすることを指します。学生アルバイトの大半は親から生活費や学費を支援してもらっているので、扶養されている状態と言えます。
こうした親の経済的負担を軽減するために設けられているのが「扶養控除」です。具体的には、所得から各種控除と一緒に扶養控除を差し引き、それに所得税率(5~45%)をかけて計算します。扶養控除が適用されることで納める所得税が少なくなるのです。(住民税にも扶養控除はありますが、ここでは所得税に絞って説明します)
これまでは「103万円の壁」が最初の年収の壁
扶養控除は、扶養される者の年齢によって控除額が決められています。子が19歳以上23歳未満の「特定扶養親族」の場合、控除額は63万円です。大学などの学費が非常にかかる時期でもあるため他の年齢の扶養控除より控除額が高く設定されています。なお、控除額はあくまで年齢で決まるため実際に学生かどうかは問われません。
扶養として認められるのは、学生アルバイトをする子の1年間(1~12月)の収入が103万円以内かどうかで判断します。103万円以内なら63万円の控除が受けられますが、これを超えると扶養控除はゼロです。
例えば子の収入が105万円と2万円超えただけでも、親の所得税は大きく変わります。概算ですが、親の年収が600万円なら所得税は約6万円アップ、年収800万円なら約12万円アップという具合です。別途、住民税にも扶養控除があるためそれも考慮するとさらに税負担は増えます。
そのため親が103万円の壁を強く意識するのも無理はありません。なお、103万円は学生アルバイト自身の所得税が発生する壁でもあります。とはいえ103万円を超えた分に5%の所得税がかかるというくらいですので、そこまで気にするものでもありません。やはり影響が大きいのは親の方と言えます。
【2025年度】103万円の壁が「150万円」まで緩和へ
103万円の壁によって学生の働き控えが起こっている現状がある一方、少子化が進み社会は労働力不足に悩まされています。そのことから2025年度の税制改正では扶養控除が見直され2025年分から103万円の壁が「150万円の壁」に緩和されることになりました。
具体的には、以下のように段階的な控除制度に変更されます。
年収123万円まで:特定扶養控除(63万円)が適用
年収123万円超~150万円まで:新設の「特定親族特別控除」(63万円)が適用
年収150万円超~180万円まで:控除額が段階的に縮小
年収188万円超:控除なし
扶養控除の壁が150万円に引き上げられただけでなく、150万円を超えても徐々に控除額が下がっていく仕組みですから、ずいぶん緩和されたことが分かります。
注意!「130万円の壁」を超えると社会保険の扶養から外れる
特定扶養控除の壁が2025年度から150万円に引き上げられるとはいえ、もろ手を挙げて喜ぶわけにはいきません。なぜなら社会保険に関する「130万円の壁」があるからです。
これは子が親の健康保険の扶養から外れて自ら健康保険などの社会保険に加入し保険料を支払わなければならない壁となります。そのため有識者の間では、社会保険の壁も含めた改革が必要という声が上がっています。
FPによくある質問「掛け持ちバイトの計算はどうする?」
FPである筆者は、アルバイトを複数掛け持ちしているケースで、「収入はどう考えればいい?」といった質問を受けることがあります。
このようにアルバイトを掛け持ちしている場合は、各アルバイト先の収入を合算し管理することが必要です。一カ所で働いている場合は、アルバイト先が壁を超えないように注意を払ってくれるケースも多く、シフトをたくさん入れていると「このペースが続くと壁を超えますが大丈夫ですか?」と声をかけてくれるようです。
しかし、複数のアルバイトを掛け持ちしている場合は、1カ所のアルバイト先では管理しきれません。たとえば就活前にインターンシップで職場体験をする学生も多いでしょう。中にはインターンで給与が支給される場合もあります。こういったインターンでの給与なども含め1年間の収入を自身で管理しないといけないという点は覚えておきたいものです。
まとめ
2025年分から特定扶養控除の103万円の壁が緩和され、188万円までは何らかの扶養控除が受けられるようになりました。しかし、社会保険の扶養から外れる130万円の壁があるため、大胆な働き方の見直しには繋がりません。社会保険の壁も含め見直すことができれば、働きたい学生や人手不足の雇い主にとってさらに良い環境が整いそうです。とはいえ103万円を超えて毎月1万~2万円多く働いても親に注意されることがなくなるのは、学生にとって大きな改正と言えるでしょう。