【力士】釜屋‐埼玉県 伝統や酒造りの基本を大事にしながらも、日本酒の新たな可能性へ挑戦する
地域で愛される酒蔵の銘酒に着目し、酒蔵からの生の声と和酒情報を読者の皆様にお届けする連載企画。今回は、埼玉県加須市(かぞし)の釜屋(かまや)を特集します。
加須市で270年受け継がれる酒蔵の歴史
―酒蔵の歴史や地域について教えて下さい。
創業者の釜屋新八は近江日野商人の出身で、行商で蓄えた資金を元手に、利根川の豊富な水と武蔵野の優良な米、江戸を近くにするという地の利を得て、寛延元年(1748年)に現在の埼玉県加須市で創業しました。
釜屋新八の没後は兄の小森久左衛門が跡を継ぎ、以降小森家が代々蔵元を継承しております。
大火事や飢饉、関東大震災に太平洋戦争など数多の苦難がありましたが、地元の方々の支えと高い酒質が認められ、苦境を乗り越えてきました。
―代表銘柄は?
「力士 純米酒」
お薦めの飲み方:米の甘み・旨味がありつつキレのよい味わいで、冷やでも常温でも燗でも美味しく飲めます。食中酒としていつも食卓にあがる、そんな一本にして頂きたいお酒です。
「力士 大吟醸」
お薦めの飲み方:2024年春には埼玉県一位となり知事賞を受賞。華やかでフルーティな香りが引き立つ、冷やして飲むのがおススメ。
―イチオシ商品はなんですか?
「ワイン酵母仕込み純米酒 ARROZ -アロス-」
白ワインのような甘くて酸味のある味わいの中に、米の旨味も感じられる純米酒。和食・洋食どちらにも合わせられ、冷やして飲むが特にオススメです。
加須産トマトを使ったトマトのおでんや加須産ナスを使ったアヒージョなどに合います。
「新生 力士 純米酒 無ろ過生原酒」
今年新たな取り組みとして開発した新商品。低温・低精白・低アミノ酸からなる独自の三低製法という革新的な製造方法で醸しました。
原料米を最大限活かすため精米歩合を90%としながらも、アミノ酸の生成を抑えることで雑味の少ないしっかりとした味わいに仕上げました。
穏やかな香りと米の旨味、きれいな後口のバランスの取れた味わいで、加須産香り豚を使った叉焼や焼売、加須産ナスの麻婆茄子などによく合います。
伝統を守り進化し続ける酒造りの追求
―酒造りで心がけていることは?
一つ一つの作業に妥協せず、よりよいお酒を造り続けること。
言葉にすると簡単ですが、実際には簡単なことではなく、手を抜こうと思えばいくらでも抜けるし、手をかけようと思えばいくらでもかけれる、できる限り細部まで気を払い、心血を注いで酒造りに取り組んでおります。
また、これまで培ってきた経験・データに研究所や他社など外部からの情報も参考にし、基本に忠実でありながら、新しい手法も取り入れ、試行錯誤しながら進化していくことを心掛けております。
―酒蔵や地域、観光などでオススメポイントや盛り上がっている話題を教えて下さい。
蔵から800mほどのところにある「玉敷神社」は創建1300年の由緒ある神社で、4~5月には樹齢約400年の藤が壮観。
また5月の平和祭りでは利根川の河川敷で全長100mギネス記録のジャンボ鯉のぼりがあがる。
―最後に、読者へのメッセージをお願いします!
派手なお酒ではありませんが、米の特性や水の特性を活かし、しっかりとした造りで醸した味わい深いお酒です。
食事と合わせて美味しいお酒ですので、ぜひ食中酒としてご賞味ください!
今回ご紹介した酒蔵について
【埼玉県】
株式会社釜屋
埼玉県加須市騎西1162
https://rikishi.co.jp/