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埼玉県飯能市にハイパーミュージアムが誕生(取材レポート)

アイエム[インターネットミュージアム]

埼玉県飯能市で北欧のライフスタイルを体験できる施設「メッツァ」。フィンランド語で「森」を意味し、豊かな自然に囲まれた「メッツァビレッジ」と、ムーミンの物語をテーマにした「ムーミンバレーパーク」の2つのゾーンを楽しむことができます。

2025年3月1日、現代美術を紹介する新しいミュージアム「ハイパーミュージアム 飯能」が施設内に誕生しました。


ハイパーミュージアム 飯能


アーティストやアート作品の新たな可能性を引き出し、従来の美術館を超える“ハイパー”な現代美術館を目指す「ハイパーミュージアム 飯能」は、自然とデジタル、そしてキャラクターアートを組み合わせた新しい形態の美術館です。

オープニング特別企画展は、造形アーティスト・ヤノベケンジによる「宇宙猫の秘密の島」。美術館の入り口には巨大な猫が出迎えてくれます。


ハイパーミュージアム 飯能


ヤノベケンジは1965年、大阪生まれ。1990年代初頭から、ユーモラスな形態に社会的メッセージを込めた大型機械彫刻を制作し、国内外で高い評価を得ています。2017年から制作している船乗り猫をモチーフにした旅の守り神「SHIP’S CAT」シリーズは、大阪中之島美術館の恒久展示や、GINZA SIXの吹き抜け空間での「BIG CAT BANG」展示でも話題を呼びました。

会場では約35年の作家活動をふり返りながら、立体作品や原画、特別映像で構成しています。


「宇宙猫の秘密の島」会場


「BIG CAT BANG」は、岡本太郎が1970年の日本万国博覧会で作った太陽の塔をオマージュした作品で、宇宙船LUCA号に乗船した宇宙猫が無数に飛び散る爆発の瞬間を描いています。この物語の絵は、AIを使用して画像生成によって生まれました。


「BIG CAT BANG」の物語


戦争や災害が起こる現代の世界に対して、希望を示すことがアートの役割だと考えるヤノベ。彼の作品にはそれぞれ背景があり、ファミリーを感じさせるものも多くあります。象の背中に子ども用映画館を乗せた作品では、箱の中で「トらやん」と腹話術を行うヤノベの実父による核攻撃から生き延びるための術を伝える番組が流れています。


「宇宙猫の秘密の島」会場より青い森の映画館


ヤノベによる絵本『トらやんの大冒険』と『ラッキードラゴンのおはなし』の全ての原画も展示されています。ビキニ環礁の水爆実験で被爆した第五福竜丸をモチーフにしたこの物語は、夢を諦めずに仲間と共に希望を取り戻す旅を描いています。2009年には「ラッキードラゴン構想模型」として「トらやん」やその仲間たちが乗った船を立体作品化しました。


「宇宙猫の秘密の島」会場より「ラッキードラゴン構想模型」


「宇宙猫の秘密の島」会場より絵本『トらやんの大冒険』


美術館を出ると、宮沢湖にはヤノベの妄想から生まれた宇宙猫が休むための「猫島」が出現しています。

昔々、地球に生命が誕生していない頃に宇宙猫の偵察艇が地球に到着しました。その後、偵察艇は人々によって文化的価値を見出し、歴史的な遺産として保存されます。その内部は「猫島美術館」として一般公開し、芸術を体験できる場となりました。

さらに、偵察艇の一部はグランピング施設としても利用され、宿泊者は宇宙猫が遺したアートともに特別な時間を過ごすことができる、芸術と歴史の聖地となったという物語です。


「宇宙猫の島」


8月31日までの土日祝日、大型連休(GW・夏休み期間等)には「宇宙猫の島」への上陸探索ツアーも実施。猫型宇宙船内には、バスタブやテーブル、アトリエなど、宇宙猫の棲み処を彷彿とさせる空間が広がっています。限られたボートと風のない日だけ、上陸が可能です。


「宇宙猫の島」


メッツァ内の「ムーミンバレーパーク」では、ムーミン一家が暮らすムーミン屋敷や水浴び小屋・灯台など、物語を追体験できる複数の施設があります。運が良ければ、ムーミントロールやスナフキンたちとのグリーティングができるかもしれません。ハイパーミュージアムと合わせて、ぜひ楽しんでみてはいかがでしょうか。


「ムーミンバレーパーク」


「ムーミンバレーパーク」


ヤノベケンジは「宇宙猫の島」に本当に泊まることができたら、まるで夢のようだと語っていました。妄想が現実になることへの期待が膨らみます。

[ 取材・撮影・文:古川幹夫、坂入 美彩子 / 2025年2月27日 ]

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