全日本大学駅伝で敗れた駒澤大と青山学院大が得た収穫、国学院大との三つ巴で箱根の決戦へ
駒大は序盤の遅れが全て…2枚看板から脱却へ
国学院大の悲願の初優勝で幕を閉じた第56回全日本大学駅伝。国学院大とともに「3強」と見られた2位・駒大と3位・青学大は、課題と収穫を得た大会でもあった。
大会史上初の5連覇を狙った駒大は序盤が全てだった。1区で2年生の島子公佑が区間14位、2区で1年生の桑田駿介が区間17位。2区を終えてトップの青学大と2分23秒差の17位。この時点で優勝は難しくなったどころか、シード校(8位以内)すら危ぶまれる展開だった。それくらい序盤でのこの出遅れは痛かった。
一方でこれだけの差がありながら、3区以降でも諦めることなく、最終的に国学院大と28秒差の2位に入ったのは驚異的と言える。
立役者は7区区間賞の篠原倖太朗と8区区間賞の山川拓真。篠原は10月の出雲駅伝のアンカー対決で国学院大に敗れた悔しさを振り払う走りだった。そして、何より山川の猛烈な追い上げは鮮烈だった。
青学大とは2分37秒差、国学院大とは2分33秒差の3位でたすきを受けた。正直、オーバーペースと思えるぐらいのペースで突っ込んだが、最後は青学大をとらえて2位に。青学大の原晋監督に「あんなに力がある子だったのか」と言わしめた。
駒大は篠原と今大会を欠場した佐藤圭汰の2枚看板が売りだったが、ここに山川が加わった。もちろん、故障中の佐藤の復活や、今大会で苦戦した経験の少ない選手の底上げが必要だが、箱根に向けて得たものは大きい。
序盤の独走をいかせず…力強さを増してきた青学大
4区を終えて2位に1分以上の差をつけた青学大は6年ぶり3度目の優勝に大きく近づいたかと思われたが、相性の悪い全日本の壁は高かった。
エース区間ではない2区にスピードがある鶴川正也、4区にチームトップの1万メートルのタイムを持つ黒田朝日を配置。この区間にこの2人を配置できるのが青学大の強みであり、この2人の走りで独走態勢を築いた。青学大の原監督が「鶴川と黒田のところで勝てるなと(思った)」と振り返る通り、ここまでは狙い通りだった。
5区の田中悠登、6区の白石光星で国学院大に差を詰められたが、田中が区間4位、白石が2位だから、悪い走りではない。エースの7区太田蒼生も、学生長距離界を引っ張る国学院大の平林清澄に差を縮められなかった。ただ、8区で塩出翔太が区間15位と沈み、3位でゴールした。
原監督は「出雲よりは力強さが出てきた」と話す。塩出も今年の箱根では8区区間賞を獲得するなど、本来は力はある。もともと青学大の選手は箱根の距離への対応力はぴかいちで、国学院大の3冠を阻むとすれば青学大が筆頭だろう。
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記事:鰐淵恭市